恋愛ワクチン 第十四話「支配」
他の男性とは絶対に会うな、って言われている
「今日は泊りにしない?」
マックさんは女の子に提案した。三回目のデート。時間が合わず遅めのスタートとなってしまった。セックスは済ませたけれど、これで別れるのはちょっと物足りない。
「うーん・・私、門限があるの。」
「門限って、1人暮らしって言っていたじゃん?」
実は彼氏がいて一緒に暮らしているのだろうか? そういうこともあるよな、マックさんは彼女の次の言葉を覚悟した。
「前に会っていたおじさんの話、覚えている?」
「うん、忙しく海外を飛び回っている人」
「実は今のアパート、そのおじさんが借りてくれているの」
「じゃあ、おじさん、今日は日本に帰っていて、アパートにいるってこと?」
「ううん、もう半年会ってない。だけど、他の男性とは絶対に会うな、って言われている」
マックさんにはそういう趣味はないけど、男性によっては、女の子に他のパパとは会わないでほしいとか、退会を強要してくる人もいるそうだ。そのタイプなのだろうな。
「自分の都合で会えないのに酷いよね」
「だけど、毎日必ず夜10時に部屋の写真を撮って送れって言うの。それが門限。それをしなかったら、翌日人を手配して部屋から追い出すからって」
「はあーっ・・(絶句)」
「おじさん、一日に何回もライン送ってくるんだけど、それに一時間以内に返信しないといけない。それもしないと、翌日部屋追い出すって言われている。私、学生で定収入ないし、親に1人暮らし反対されているから、追い出されたら新しいアパート借りられない。家に帰るのは嫌だから、従うしかないんです」
「凄い話だなあ」
「最初は、一人暮らしサポートしてくれる良いおじさんだなあと思っていたんだけど、私が部屋を出ていけないのをいいことに、最近は裸の写真を顔出しで撮って送れって指示されることもある。アプリで微妙に顔変えて送っているけど・・もう、私頭おかしくなりそう」
「それはストレスだよね」
「おじさん、お金持ちで、あちこちにそういう女の子がいるみたい。一緒にいるときも、いつもラインしていたから」
旦那はパパ活していること知っている
マックさんは、メールやラインの返事が遅い。
面倒くさがりだ。
メール打っていても、途中で面倒になって、電話をかけてしまうタイプの昭和育ちです。
だからシュガーダディなどのアプリには向かない。
コンシェルジェが仲介するユニバースなどのほうが向いている。
そういうマックさんから見ると、彼女のおじさんは、ある意味尊敬に値する。ご苦労様なことだ。
セックスしなくても女性を支配することで喜ぶ変態男性も世の中いるんですね。
一方、真逆の男性もいる。
「彼氏いるの?」
「うーん、実は私、結婚してます」
マックさんたじろぐ。マックさん人妻が嫌いというわけではないが、夫が知ったら怒るだろう。リアルでそういうスリルは過去に経験している。なるべくリスクは避けたい。
「・・旦那さんが知ったら怒るよね?」
「ううん、旦那さんは私がパパ活していること知っているから」
平然と彼女は言った。
旦那が定職がなくヒモなのかと思ったら、そうでもなく、普通にサラリーマンらしい。
セックスは週2回、ただし時間が短くて物足りないそうだ。
性欲の旺盛な嫁を放牧しているのか、旦那も浮気しているのか、旦那が実はバイセクシュアルで男の恋人がいてのカモフラージュ結婚か、旦那が嫁と第三者とのセックスを想像して興奮する性癖の持ち主なのか・・
マックさんには、このくらいしか思いつきませんが、性の闇は深い。マックさんが思いもよらない理由があるのかもしれません。
高校生が校則破って遊びにいく気分
さて、おじさんのクモの糸にかかってしまった女子大生の話に戻ろう。
彼女は、マックさんとのお泊りが嫌ではなくて、10時に部屋の写真を撮って送らないといけないのだった。時間がわかるように、部屋の時計を一緒に撮影する必要がある。
「じゃあ、今からあなたの部屋に行こうよ」
「それならいいけど、二人が寝るには狭いですよ」
「またホテルに戻ってくればいいよ」
タクシーで彼女のアパートまで行って、写真を撮って、もう寝ますおやすみなさいメッセージとともにおじさんに送った。
これで厳しいおじさんの拘束からはおさらばだ。
アパートからホテルに向かうタクシーで、二人はちょっと興奮している。
「なんだか、高校生が校則破って遊びにいく気分だね」
おじさんのお陰で、マックさん、彼女とプチ不良な高校生ごっこができました。良かった良かった、ありがとうございました。
マック
※「恋愛ワクチン」に登場する女の子は、マックさんが実際にデートした複数の相手とのエピソードから再構成しています。まったく一致する女性会員は存在しません。またデリケートな話においては、重要な個所を変更しています。