恋愛ワクチン 第十三話「関係性」
私、まだ経験が無いんです
「私、まだ経験が無いんです」
19才になったばかりの女の子。一貫性の女子中高から女子大に進学して、出会いがまったくなくて交際クラブに登録したという。
わかるような気がする。清楚な美人ではあるのだが、真面目そうで、学級委員長タイプだ。声を掛けたら叱られてしまいそうな気がする。
「オファーは僕が初めて?」
「いえ、2人目です」
「前の人とはそういう関係にはならなかったの?」
「5回お会いしたんですけど、食事だけでした・・5回目のときに、そろそろ真剣にお付き合いをと言われたんですけど、真剣にって言われると、私も考えてしまって・・結局その後連絡が無くなりました」
マックさんは、心の中で溜息をついた。今日は外したかな。
一応、いつものように誘ってみる。
「食事のあとなんだけど、1時間くらい付き合ってくれたら5万円だけど、どうだろう?」
「お付き合いって・・」
「ホテルの部屋でエッチするってことだけど」
「わかりました」
「えっ?」
マックさん驚いた。
「大丈夫?」
「頑張ります」
実際には、もう少し、マックさんなりの口説きの工夫があります。そこは秘密(笑)。
しかし、大体の流れはこんな感じでした。
なぜ、この話を思い出して書いているかというと、最近会った子が、とても興味深いことを教えてくれたからだ。
ピンク色のハートに包まれたひととき
その日、マックさんは、お気に入りの女の子とのセックスを終えて、彼女を腕枕しながら、ピロートークを楽しんでいた。このピンク色のハートに包まれたひとときが、マックさんは大好きだ。
「ほかにパパいるの?」
「食事だけの定期のおじさんが一人いるよ」
「へえ、その人とはセックスしないの?」
「うん」
「そのおじさんがセックスしようって言ったらする?」
「しない」
「なんで?・・清潔感とか?」
「そうじゃなくて、そのおじさんとは食事する関係って決まっちゃってるから」
「・・そのおじさん、きっとセックスしたいんじゃないかな?したくないはずは無いと思うんだけど」
「うーん、だけど、食事と買い物だけのお付き合いが長すぎるから、もうその気にならない」
「じゃあさ、そのおじさんがもう少し早くホテルに誘ってたら、セックスしたっていうこと?」
「うん」
「・・じゃあ、そのおじさんとのセックスが生理的に嫌い、受け入れられないってわけじゃないんだ」
「全然」
「買い物って言ったけど、何かあなたのもの買ってもらうんだよね?」
「うん、この間は銀座でバッグ買ってもらった」
「でも、今おじさんからホテルに誘われても行かないんだ」
「うん」
「何回目までにホテルに誘われてたら、あなたの場合、OKだった?」
「私の場合は2回目まで。2回目まで食事だったら、そのあとはずっと食事だけ。だってそういう関係性が出来た後でエッチなんて気持ち悪いじゃん」
あなたとは、そういう関係じゃないから。
はあーっ、と男性読者の皆さんの溜息が聞こえてきそうな気がします。私も目からうろこでした。
交際クラブの女性にとって「関係性」って、そういうことなんだ・・
全員ではないと思いますよ、もちろん。
マックさん、個人的に思い出すのは、昔サラリーマン時代に、同じプロジェクトを任された年下の女性と、ほとんど寝食をともにした時期があって、お互い気も合ったので、
「こんなに仲良くなったんだからさ、一回くらいセックスしようよ」
「だめー」
「だめなの?なんで?僕を嫌いじゃないでしょ?」
「嫌いじゃない。好きだけど、あなたとは、そういう関係じゃないから。考えられない(笑)」
今書いていて、気が付いたんだけど、セックスって男女が仲良くなるためのツールなのかもね。
だから、仲良くなりすぎてしまうと、もうセックスする気がなくなってしまう。
解釈は、人によってそれぞれでしょうけど、とにかくとても興味深い発見だったので、コラムで報告しておきます。
男性の皆さんで、交際クラブでセックスしたい方は(全員だと思いますが(笑))、タイミングを間違えないほうがいいですよ。獣丸出しではいけないけど、ひたすら紳士を装い続ければいいってものでもなさそうです。獣がゼニアのスーツを着てるくらいがちょうどいいのかな?(続く)
マック
※「恋愛ワクチン」に登場する女の子は、マックさんが実際にデートした複数の相手とのエピソードから再構成しています。まったく一致する女性会員は存在しません。またデリケートな話においては、重要な個所を変更しています。