恋愛ワクチン 第十話「風俗嬢」

『恋愛ワクチン』

恋やセックスの欲求は時として病気のように人生を破壊します。これを予防するのが恋愛ワクチン。
入会費とセッティング料を払えば、誰もが接種でき、安全に疑似恋愛を体験できます。
 

彼女は偏差値の良い私立の女子大生だ。

「私の友達が交際タイプCなんだけど、今まで会った男性全員食事だったんですよ」

今日のデートの相手はどうも愛想がない。登録して初めてのデートだそうだから緊張しているのか?

そこに、このフレーズである。私はC登録だけどあなたとは食事だけよ、期待しないでね、って念押しされているように思える。マックさんはすっかり委縮した。

一応、食事後のオファーをしてみた。あっさりOKだ。

タクシーでの移動の間、携帯で何やらメールしている。おいおい、一応デートなんだから、少しはおじさんのこと気遣ってくれよ。男性の前で携帯って、私はあなたに興味がないって意思表示だろ?

彼女は女子大生。偏差値の良い私立だ。頭が悪いわけでもない。
 

私、本当は風俗嬢なの。

ベッドで彼女は豹変した。それまでとは打って変わったにこやかな笑顔で、

「私、本当は風俗嬢なの。私とデートして良かったって思わせてあげるわ」

マックさんは、いつもはまず二人並んで添い寝してハグし、髪の毛をやさしく撫でる。ところが彼女は、横になったマックさんにまたがると、いきなりディープキス。

上手い。

確かにプロの技だ。

次いで、乳首。マックさんは乳首触られるとくすぐったい。性感帯は下半身に集中している。しかし彼女の口と指は、そんなマックさんをも感じさせた。

「うーん、凄い」

「でしょ、うふふ」

ついで下半身。ここから怒涛のラブマッサージ。マックさん思わず身をよじらせた。
 

3120本のペニスをこなしている。

彼女は大学二年生。学費のために一年前からヘルス嬢をしている。彼氏は高校のときにはいたが、今は仕事に専念するためにいないそうだ。

「回転ヘルス」というお店で、女の子が20分ずつ交替で口と手のサービスをしてくれるらしい。一日20人相手するそうだ。これを週3日。

延べ20×3×52=3120本のペニスをこなしている。上手くもなるわけだ。

マックさん、実は、風俗のお店に行ったことがない。

ヘルスもソープも、実にけばけばしい箱である。あそこに入っていく勇気がない。そもそも、交際クラブだって、ウィンさんが後押ししてくれたから入ることができた。

なので、プロの風俗嬢は初体験である。

以前、クラブの事務局に、自分は風俗に行ったことがないのだが、風俗嬢で登録している人がいたら、一度経験してみたいので、教えてくれないか、とわざわざ申し出たことがある。挙げてくれた女性たちが、たまたまマックさんの好みに合わなかったので、オファーはしなかったが。

女子大生にオファーして、現役の風俗嬢だったら、がっかりする人もいるだろう。風俗嬢としたければ最初から風俗店にいけばいい。そのほうが安上がりなのだから。

しかし、マックさんの場合は、事情が違う。今回の経験はマックさんにとって実にラッキーだ。

それまでの低かったモチベーションが一気に上がった。
 

発射のための最後の起爆剤

彼女はその後、ラブホの自販機でローションを購入して、小一時間も様々なテクニックを披露してくれた。

ああ、これはたまらん、もう潮時だ、という頃になったので、彼女を下にして、彼女の膣に挿入する。

膣の締りはいいし、感度も良い。

スタイルも顔もマックさん好みだ。

しかし・・射精しない。

マックさんにとっては初めての感覚だ。

振り返って今考えるのだが、マックさん、射精の間際になると、頭の中でいろいろエッチなイメージ・妄想を働かせる。

それは、昔見たエロ漫画の一コマであったり、村祭りで娘が裸でセックスの生贄にされるとか、自分でもなんでこんなイメージが現れるのかわからないのだが、とにかくそれが、発射のための最後の起爆剤になる。

最近では、自分は若く、目の前のこの娘と恋愛していて、今初めて思いを遂げるのだ、そういった妄想であることが多い。

この子、物理的には気持ち良いのだが、最後の射精に必要なそのイメージが湧き上がってこない。
 

関係性を重視する男性もいる。

女性は、セックスに当たっては、まず男性との関係性を重視すると言われる。

男性はもっと即物的で、そういう要素はあまりなく、単に上手にこすれば射精する、そう考えている人は多いのではないだろうか?

マックさんもそう思っていた。

しかし、男性の場合も、射精に至るには、単に物理的な刺激だけではなく、イメージが必要だ。オカズと言ってもいい。

風俗嬢の子、プロであり、腕は良いと思うのだが、マックさんは、彼女にそのオカズを感じることが出来なかった。

彼女は決して悪い子ではない。自身の、どちらかというと愛想の無い性格はよく自覚しており、だからこそ、ラウンジやキャバクラではなく、ヘルスを選んだそうだ。裸になって自分の特技を発揮できるベッドの上では、嬉々として水を得た魚のような気持で、サービスしてくれたのだと思う。

そして彼女の技で、毎日多くの男性が射精して満足しているのも事実だ。

 

しかし、マックさんには、こういう性欲処理の方法は向いていないようだ。マックさんにとってのオカズが無い。

これって、交際クラブと風俗の違いのキモではないかと思う。疑似恋愛のようなオプションが無いと射精しにくい男性はいるのだ。マックさんみたいに。

今回の記事は女性によく読んでほしいと思って書いた。女性とは違う意味でだが、関係性を重視する男性もいる。そして、そういう男性が交際クラブに登録するのだろう。(続く)



マック

※「恋愛ワクチン」に登場する女の子は、マックさんが実際にデートした複数の相手とのエピソードから再構成しています。まったく一致する女性会員は存在しません。またデリケートな話においては、重要な個所を変更しています。

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