拝啓 コラムニストさま

【おでん屋の席取りはお任せください】
先般フラグメーカーさんがヒール役を引き受けてくださり、男性コラム陣に対して喝を入れてくださいました。 外面の良いジョーにはとてもできない所業です。まずはヒール役だけでなく少なくともジョーの気持ちを代弁し ていただいたこと、深く感謝申し上げます。フラグメーカーさんにどれくらい感謝しているかと申しますと、団 栗橋近くで、予約できない 17 時 30 分開店のおでん屋に遅くとも 17 時から並び、フラグメーカーさんのためお 席を確保するなんてお易い御用ですわぁ、くらい感謝しております。ありがとうございました。

【憚りながら提言させてくださいませ】
とは言え、フラグメーカーさんと意見を異にしている点もあります。ジョーはそれらのコラムを「つまんねえ ー@!」と言いながら最後まで読み、時には読み返したりする点です。なぜかといえばそれらのコラムが自分の 通ってきた道、あるいは通っている道、通るかもしれない道だからなのでしょう。つまらないけれど「俺もそう だったなぁ」とか「俺もそうだよなぁ」あるいは、「俺とは違うなぁ」と広い意味で共感しているからなのでしょ う。そしていくつものコラムを読み直すうちに気が付いたことがあります。それは一つ一つのコラムは面白いと 思えなくても連作を一気に読むと(最近の傾向としてちょっと刻み過ぎかなとは思いますけど)一つの物語とな っていることもあるということです。悪くないし、おもしろいというのに躊躇はありません。ただ一つ一つのコ ラムをみると少し視点が狭いし、表現の工夫も多いとはいえないというのが、正直にな感想です。要するにもう 少し、読者の身になって書いて欲しいというのがジョーのささやかな願い。そこでコラムを書くにあたっての幾 つのかの提言をさせて頂きたいと思い、キーボードを叩いております。
【俺を誰だと思ってんだ⁉︎】
 ここまで読んだ読者の中には「お前にそんな資格と能力があるのか!」と思われた方も少なくとないと存じま
す。結論から申し上げると「それが、ありますのやぁ」というのがジョーの回答です。根拠(理由?)は 2 点。 1 ジョーは本コラム欄最古参のライターだと思われること
2 木田代表お墨付きのライターであること
1 と2について概説します。
ジョーがユニバースに入会したのは 2017 年です。当時既にコラム欄はありましたが、当時のコラムは全て? 倶楽部スタッフが書いていました。と同時に木田代表の名で外部コラムライター募集をしていました。その時点 では外部コラムライターはいなかったと思われます。そこでジョーは自分の活動備忘録のためコラムライターに 応募しました。すぐに木田代表から返信があり「草稿を送れ」とこのことだったので、短い原稿を送ると返信が あり、「是非ライターに」ということで採用になったのです。3 本目のコラムまでは木田代表に原稿を送り、返信 がくるという状態でした。つまり初の外部ライターはジョーだったと思われます(初記事は 2017 年 10 月 12 日)。 事前に頂いた代表お墨付き?のメールを紹介します(抜粋)。 <すばらしくリアルな投稿に興奮しております。本当に面白いしリアルだしデートでの興奮を、自分のことのよ うに体感することのできる記事でした>
<書いて頂いた内容は倶楽部にとって耳障りのよいことばかりです。 これだと読者様は「なんだ、身内の褒め合 いか」と思って、せっかくのリアルな記事の信憑性が薄くなると考えます。可能であれば、もっと倶楽部にとっ て耳の痛い内容や、批判、懐疑的な部分を追加して頂けないでしょうか?読者は「素晴らしい倶楽部でした」と いう投稿と「倶楽部に騙されました」という投稿であれば、 自然と後者を読みたくなるものだと思っています。 (中略)とはいっても、このままでも、素晴らしい記事です。本当に続きが読みたいです。この記事に共感され る読者はかなり多いのではないでしょうか>
少し長く引用したのはその時点での木田代表のコラムに対するスタンスが分かると思ったから。そして誰がな んと言おうとジョーは木田代表にお墨付きを貰ったん最初の外部コラムライターです(と自分では思っていま す)。

【提言その1 女性のお召し物に注目しよう】

ジョーに提言する資格があると確認できたので(苦笑)早速提言をします。ジョーのコラムを含めてですけど、女性に対する印象や心情の変化は書いてもお相手の女性について詳しく書 くコラムライターは少ないと思っています。結果として「おっさんの心情告白」となりがちです。読むに耐え得 る「心情告白」もありますが、概して表現が平板で深掘りも足りない印象があります。もちろん女性の匿名性は 担保しなければなりませんから、容姿やプロフィールについて抑えた書き方になることはあるでしょう。しかし 男性視点で書くコラムですが、なんといっても主役は女性です。匿名性に気を配りながら、お相手の女性を立体 的に表現したいものですね。そのための提言として「デート時の女性のお召し物に注目し、詳しくそして自分の 言葉で書いてみましょう」を最初に提言したいと思います。ポイントは「詳しく」と「自分の言葉で」です。「そ んな必要ある?」という声が聞こえてきそうですが僭越ながらジョーのお手本(?!)を披露させてください。
【提言1のお手本】
<状況>
・登場人物 ジョー、サツキ(既婚)、波瑠美先生(既婚)
・場所 銀閣寺近くの和食割烹
・その他特記事項(笑) 波瑠美先生とサツキはジョーが習っている茶道の先生。波瑠美先生とサツキは付き合っている(波瑠美先生は男性とのセックスで逝ったことがない。性的には女性で しか満足できない。サツキは先生に口説かれ初めてレズを経験した)。一方ジョー とサツキは旦那公認で付き合っている。

 波瑠美先生から誘われた時、断ることもできたはずだと今になっても思う。柄にもなく緊張していたジョーは その店に開店 20 分前に着いた。既に店の前では妙齢の上品な女性が数組同じく店先に暖簾が掛かるのを待って いた。波瑠美先生の指示でジョーは某元首相が常連だというテーラーで誂えたスーツを着ている(ワイシャツは 同じ店で仕立てたブルーのストライプ。迷ったけどノーネクタイ)。テーラー店主から「このスーツを着る時は形 が崩れるからポケットには何も入れるな。太っても痩せてもいけない」と厳命されていたから当然財布もハンカ チも鞄の中だ(ただし後者の指示は必ずしも守られていない)。靴は 1 足だけ持っているジョンロブ。こちらも 当然昨晩入念に磨いてきた。雨が降ったらやめようと思っていたが、幸い今日は爽やかな秋晴れだ。しかしなが ら前日に比べ、5°C以上温度が下がり、昼間なのにそしてお日様も照っているのに昨日の最低気温にしかなって いない。思わずコートの襟を立てるジョー。辺りを見渡すと紅葉が一気に進んだように見える。と5分前になっ て黒いセンチュリーが店先に停まる。運転手の斎藤が素早く車から降り、後部座席のドアを開けると二人が車か ら降りてきた。まずは波瑠美先生が、続いてサツキが。するとジョーだけでなく、開店を待っているご婦人方の 視線も一斉に二人へと注がれる。それは単に二人が着物姿だったからではない。実際ご婦人方の中には着物の方 も数人いらっしゃった。二人に全員の視線が集まったのはその佇まいが圧倒的に華やかだったからで、二人の廻 りはまるでスポットライトが当たったように光輝いていたからだ。しかも着物自体は単色なのにだ。(今から思 うともしかしたら実際スポットライトが当たっていたかもしれない。それぐらいの演出は波瑠美先生ならやりか ねない)。
 二人の身につけている着物は色無地、一つ紋の袷でそれほど派手なものではなかったが、細かく視線を落とし ていくと帯と帯留めには二人の個性が出ていてそれぞれの美しさを引き立ていた。派瑠美先生の着物は桐竹鳳凰 唐草文がうっすら浮かび上がる地を淡い薄紫で染め抜かれた上品な地染の西陣で、二つ引両の家紋が色合いの異 なる同色でさりげなく染め抜かれていた。袋帯はクリーム地に色合いの異なる紅葉を織り込んだもので臙脂の帯 留と合わせている。共に季節感を波瑠美先生らしい色彩感覚で、細部にまで意匠を凝らそうとする繊細さはジョ ーを唸らせるのだった。波瑠美先生はサツキほどではないが、どちらかといえば派手な顔立ちで、白人が着物を 纏っとた時のような違和感があるようにジョーは思っていたが、優美な西陣の着物は彼女の美しさを引き立てるだけでなく、その美しさは日本女性らしいものであることに気が付かせてくれるのだった。 一方のサツキもまた地染の西陣だったが、稲穂が浮かぶ地紋を鮮やかな少し濃いめの水色で染め上げていてサツキの年齢を感じさせないみずみずしい美しさをさらに引き立てる。袋帯は黒地に大小色合いの異なる紅葉があしらわれているが波瑠美先生との紅葉とはデザインも色合いも異なるので、被っているという印象は受けない。 帯留は袋帯の黒地に合わせた卯の花色で、サツキもまたに負けず劣らず細部にまで心を配っているのが伺えた。 そしてサツキを波瑠美よりもさらに派手な顔立ちで洋風の美人だとジョーは思っていたが、着物はサツキの本来 持っている美点が日本的な奥ゆかさなのだと気が付かせてくれる。ただしサツキの奥ゆかさは誰よりも官能的で あったけれど。いずれにせよ、二人が今日身に纏う着物ついて綿密に打ち合わせしているのは間違いなく、それ は単なる打ち合わせではなく二人の親密さを官能的に示している。やっぱり二人は恋人同士なのだ。
「ジョーさん、お待ちになりはったの?」

 「いや、先ほど来たばかりです」(波瑠美先生にはホントのことは言えない)

「それにしも馬子にも衣装やねえ、スーツよくお似合いやわ。でもノーネクタイはあきまへんな。靴も昨晩磨きはったんでしょうけど、ムラがありますし。それじゃあせっかくのロブが泣いてはるわ。うちの旦那は靴磨き が趣味やから今度習いはったらよろしい」 

 褒めただけで終わらないのが波瑠美先生で必ず注文をつける。後ろで サツキは何も言わず笑っていた。
程なくして店の扉が開き暖簾がかかる。待ってましたとばかりお客が次々と暖簾をくぐっていく。我々が一番 最後だった。三人の先頭にいたジョーは暖簾の前で立ち止まり二人へ先に入るよう促した。いつもと同じく先に 波瑠美先生、続いてサツキ。そしてサツキがジョーの横を通り過ぎる時、一瞬彼女の着物の袖がジョーの素手に 触れる。すると経験したことのないような強い刺激が自分の股間に伝わっていくのがわかった。ドーピングはま だなのに、そして普段は反応が良いとはいえないのに、この一瞬の出来事、つまり袖が素手に触れただけなのに、 ジョー自身が激しく硬直する。ジョーはそれまで「衣擦れ」とは単なる比喩表現と思っていたが、そうではなか ったのだ。ジョーは食事の後に展開されるだろう波瑠美とサツキとの目眩く世界を妄想し、いま自分が品のない 下卑た笑いを浮かべていることをはっきりと自覚した。
【提言 2 コメント欄をオープンしませんか?】
「コラム Daring」は基本ご自分の経験に基づき書かれています。それは当然といえば、当然なんですが、経験 したことが強すぎると時として近視眼的になりがちです。それを避けるために提言1をさせてもらいました。そ の他、デートした場所やお店の雰囲気、店員さんとのエピソードを交えるとコラムはグッと立体的にそして面白 くなると思っています。又これはジョーも書いたことはないんですが、思い切ってお相手の女性になりきって書 いてみるのも面白いかもしれません。
ただ、以上は簡単ではないし、すぐには実行できないかもしれません。そこで提言したいのが、「コメント欄を オープンにする」です。そうすることで読者からの視点を取り込めると思うんです。「他人からあれこれ言われた くない」とか「時間がなくて対応できない」というライターの方もいらっしゃるでしょう。お気持ちよく分かる つもりです(ジョーの場合、時間はあるので、対応できないという言い訳はできないですけど)。ただ少ないと言えども、原稿料も発生している以上広い意味での読者からの批評を受けるのはライターの義務だと現在のジョー は考えています(かつてコメント欄を閉じていたこともありました)。お考えは様々でしょうが、是非ともジョー の意を汲んでくださり、再考していただけると幸甚です。よろしくご検討くださいませ。

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