しりとりで綴る交際倶楽部奮闘記 13 前編

うれし恥ずかし→舌ビラメのムニエル

暫くです。もうお忘れかと思いますが、マックさんとのしりとりコラムです。前回の「うれし恥ずかし」の「し」を受けてイケシャーシャーと始めます。

日々状況が変化しているので、4 月に出された全国的な「緊急事態宣言」はもう随分と昔の話のようですな。
ユニバース倶楽部も大っぴらな活動はしにくくなったのか、原則新規オファーは自粛ということになった。

しかしながら、ジョーのようなダメ○○であっても、いやむしろダメ○○だからこそ、自粛と言われると意に反して劣情を催し、まるでドーピングをしたかのように屹立してしまう(ごめん、嘘な)。
だから自粛期間の方がセックスばかりしていた気がする。もしかしたら気のせいかもしれないのだけれど、
自粛期間の約1ヶ月の間に「F カップ3人娘」、そして愛妻と合計 10 回くらい射精したはずだ。おそらくマックさんの6分の1だけれど(ジョー調べ)、普段のジョーの3倍から4倍だ。って、これ何の報告だよ。 

解除後の状況

その後、兎にも角にも緊急事態宣言は解除された。解除直後は少し落ち着いていたが再び大都市圏を中心として全国的な感染拡大が続いている。各地でクラスターも発生している。未だ先行きは見通せないし、経済への本格的なダメージはこれからだろう。

ジョーの地元では既に歓楽街を中心に閉店が相次ぎ、「テナント募集」の看板ばかりが目立つ。何度も足を運んだ、お気に入りの店がいきなり閉店するのは本当に寂しい。
そしてその中でもジョーにとって特にショックだったのは地元の老舗クラブが2店休業をへることなく、早い段階で閉店したことだ。
リーマンショックも耐えたのに、今回は簡単に白旗を上げた。

ジョーは「クラブ活動」が必ずしも得意じゃないし、例え接待を受ける側であってもその魅力がよく分からないのだけれど、女性を介してグラスを交わすと商売がし易くなったり、取引先との本音が見えたりと一定の効果があるのは分かる。

そして単なる損得関係ではなく、クラブという場所で繰り広げられる人間模様(必ずしも男女間だけでなく)や社交のノウハウを身につける場でもあり、
文化とまで言うと大袈裟だけれど、少なくともわが街の縮図とも言える場所だった。得意じゃないと言いながらジョーがここで学んだり身に付けたりしたことは少なくない。
クラブはそういう教育的?機能も担っていたのに、早い段階で休業ではなく閉店を選択したことは、この街に負の烙印を押されたような気分だ。

ナナ姫の一時帰国

唐突だけれどナナ姫は銀座出身だ。酸いも甘いもそこで学んだという。留学費用をそこで捻出し(正確にはスポンサーを見つけ)、人生を切り開いていったのは運もあったと思うけれど、天賦の才能によるところが大きい思う。そしてその中でも一番の武器は予知能力というか勘の強さだ。

1 月下旬にアムステルダムで別れた後、武漢のコロナ騒動は日に日に悪化の一途を辿っていた。ただしこの時点で世界中にこれほどこのウイルスが拡がると予測した人は少なかったと思う。
日本でも卒業旅行シーズンで多くの若者が欧米へ旅立っていた。一方ナナ姫は拠点をハノイからヨーロッパへ移すことを画策しており準備も着々と進んでいた。
しかしながら 2 月上旬の段階でヨーロッパでの流行が明らかになった時、姫のアラートが鳴り響いたのだろう、日本に一時帰国する選択をした。今までの準備を 0 にしかねない選択だったらしい。

とは言え、姫はこれまでもしばしば帰国していたし、日本滞在中は他のパパ?との逢瀬に忙しくて(苦笑)、ジョーまで順番が廻ってくることは稀だったから、特に気にせずにいた。
ところが今回の一時帰国はなぜだか姫から頻繁に LINE がきた。当たり障りのない内容にさりげなく?今の窮状に触れられている。

そして珍しく「ジョーちゃんに一番会いたいよ」と添えられていた。

ナナ姫と再会

ナナ姫の色仕掛け?LINE を無視することは当然ながらジョーにはできない。

仕事もないのに、尻尾振りながら上京することになった。まだ緊急事態宣言前だったが、日に日に状況は悪化していて世論は「非常事態宣言をしろ!」の大合唱だ。
この時点で既に営業時間を短くしたり、休業しているお店も多かったので、 姫のマンションで会うことになった。
ここで会うのはずいぶん久しぶりだったけれど、海外に拠点を移し、年間に限 られた日数しか利用しないのに同じ場所に住んでいることにまず驚いた。
恵比寿駅から徒歩圏内だし、分譲賃貸の 1LDK だから(60m2!)普通の若い OL なら給料が吹っ飛ぶ賃料だろうに。スポンサーの存在は明らかだし、色々と疑念も 湧いてくる。
しかしエントラスで部屋番号を押して「はーい、ジョーちゃん、待ってたよ」と言われると、全ての疑念が吹き飛んでしまうのは我ながら情けない。

ナナ姫への疑問

エレベーターに乗っていた時間は実際にはわずかであるけれど、あれこれと 考えが駆け巡る ナナ姫は今までジョーが出会った女性の中で、どう考えても一番の美人だし その立ち振る舞いは優雅で上品だ。

だいたい美人というのはそれだけなら30分で飽きるものだし、例えばお泊まりをするような関係になれば、基本スッピンは 避けられない。
すると大抵別人28号が登場する(性的にはそれでムラムラする こともあるけれど)ことになる。しかし姫に関してはその容貌を見飽きることはなかった。
たとえスッピンになってもその美しさが1ミリたりとも損なわれることはない。そして特に外国では姫といるといつも注目の的になるし、男性からの羨望の 眼差しと女性からの非難の眼差しの両方がジョーの虚栄心を満足させくれた。

一方でジョーはといえば自分で言うのもなんだけれどどう考えても容姿その他が洗練されているとは言い難い。
歩くのは早いし、レディーファースト精神には欠けてるし。多くの女性に嫌われる(らしい)音量調節のツマミが壊れたかのような大きな声だし。明らかにジョーはナナ姫の対岸にいる人間だ。
橋は架かってないはずなのにどうして出会ってしまったのか(オサムくんの紹介ですけどね)、そしてナナ姫が洗練とは程遠いジョーを受け入れたのも謎である。

魅惑的な肉体の持ち主のエロスワット戦士で「F カップ3人娘」の一人である Jasmine 女史に言わせれば 「そんなの簡単よ。ジョーちゃんの財布の中身が目的でしょう」と言い切る。
普通に考えればそうなんだろうけれど、ジョーは反論したくなる。だってジョーの 財布は姫が満足できるほど厚くないのだ。
しかも後々明らかになるのだけれど、 ジョーが束になっても敵わない厚い財布をお持ちの諸士が揃っているのにだ。思わず歌いたくなる。

�もしかしてだけど、もしかしてだけど、ジョーのことが好きなんじゃなかろう か?(←バカ)

ナナ姫の魅力

ナナ姫の魅力はその美しさだけにあるわけではない。諭吉病であるのは間違いないけれど、その病を覆い隠す魅力が姫にはあった。
そこで出会った頃のエピソードを一つ披露したい。

ジョーが出張中にアポがドタキャンされて時間ができたことがあった。駄目元でランチに誘うと OK の返事。待ち合わせ場所にスキップしながら(恥)馳 せ参じた。
姫は先に来ていて本を開いている。ジョーが声を掛けるとその美しいお顔を上げ、本を閉じる。

「ごめん、お待たせ。何を読んでいたの?」
「エリックホッファーの自伝。アメリカの哲学者だけどジョーちゃん知って る?」

知ってるどころの騒ぎではない。敬愛している思想家の一人で、晩年彼が住んでいたサンフランシスコのゴールデンゲートセンターにあるフラットを見に行 ったこともある。
ジョーは読書家と自称しても良いレベルだと思う。
しかし乱読派でしかも読んだ端から内容を忘れてしまうから愛読書と呼べる本は少ない。 その数少ない愛読書の1冊がホッファーの自伝だ。
ジョーにとっては栄養剤で この本を手にすると元気が出るし、勇気が湧く。驚いたことに姫もジョーと同じ で、繰り返し読んでいるという。

ホッファーの思想は中途半端な知識人を厳しく批判し、肉体労働者の立場から時代の気質を論じるところにその特徴がある。アウトサイダーの人でもある。
自分のことは棚にあげるけれど、ホッファーはナナ姫のような諭吉が大好きで 高級志向の人間にとっては対極にあるような哲学者だ。
ジョーも姫もアウトサイダーとはい言い難い。 その姫が彼の熱烈な信奉者ということで「姫の頭の中は諭吉ばかりではない」 とジョーに勘違いさせた。

最終的にはジョーの勘違いであったことを痛感させられるのであるが、付き合いの中で主にベットの中で、ホッファーについて語り合ったことは忘れ難い思い出の一つだ。

まずは高級ワインで乾杯

当然ながら、エレベーターはあっという間に5階に着き、ドアが開く。するとナナ姫は部屋の前で待っていて手招きしている。
この段階で本日の敗北を確信するジョー。 姫に促されて部屋に入りダイニングテーブルに座る。

「まずは乾杯だね」と言いながら簡易ワインセラーから白を取り出し、器用に抜栓する。コルクの匂いを嗅ぐ一連の所作は慣れたものだ。
そしてテーブルに置いたバカラのワイングラスにワインを注ぐ。グラスを持って鼻を近づけると、素晴らしい香りが鼻腔に拡がる。そして乾杯。姫のセレクトだから悪いはずはない。

「おおお!今まで飲んだ白で一番美味しいかも」とお世辞を言うジョー。
 「でしょ?リオハ産は圧倒的に赤が有名だけど、個人的なおすすめは白なの」と ナナ姫。

ジョーはバカ舌だから産地の違いなんか分かるわけないけれど、姫の口上を聞くのは大好きだし、2割増しで美味しく感じる。

そして舌平目のムニエル

「料理も用意したから持ってくるね」と姫は席を立ちキッチンに向かう。
ややあって美しい皿に盛られた舌平目のムニエルが登場。舌平目の上には少し焦がして溶け出したバターが載せられている。適度に振りかけられたパセリが食欲をそそる。
付け合わせのミニトマト、アスパラ、にんじんグラッセが彩り を添え、焦がしたバターの匂いがたまらない。

ジョーはかつてレシピ本を姫にプレゼントしたことがある。「アリス・B トランクの料理読本」がそれである。
この本はレシピ本としては有用とは言い難い(カエルの足 100 匹分とかライチ ョウ肉とか簡単には用意できませんよね?)が、この舌平目のムニエルは数少な い比較的簡単に作れるレシピだ。

本書の著者であるトラクスはフランス絵画のコレクターであったアメリカ人 ガードルド・スタインの秘書兼恋人で、このレシピ本ではスタインの日常生活 と、印象派を中心とした画家(セザンヌ、マティス、ピカソなどなど)との交流 が描かれている。
ナナ姫は描く人だからこの本をジョーが驚くくらい喜んでくれて、いくつかのレシピは実際に挑戦したそうだ。今年 1 月パリに行った時、 リュクサンブル公園近くの彼女たちの旧宅に二人で立ち寄ったことは忘れ難き思い出で、このレシピ本を更に特別なものにした。

そして本日の本題

ナナ姫はなかなかのグットクッカーだから舌平目のムニエルのお味はもちろん素晴らしい。姫のセレクトした二本目のワインは少し甘めのアルザス産の白。
料理との相性も抜群である。

しかしながら本日のメインイベントは他にある。 仄かに酔いが廻った頃、ナナ姫が口を開く。第一声は予想外のもので、ヨーロ ッパから一時帰国したことをとても後悔していた。

「ヨーロッパで生きて行きたいんだから苦しい時こそヨーロッパに留まるべきだった」と姫は言う。
「今まで、 二つ選択肢があれば必ず厳しい方を選択したのに、今回は勇気がなかった」と珍しく弱音も吐く。

「だからね、1 日も早く、ヨーロッパに帰りたいの。一旦ハノイに立ち寄って 色々と手続きしなきゃならないから方法は限られているけど、遅くなるほど、難しくなるからね。私、ヨーロッパで生きていく」

この時ほど、ジョーが姫を眩しく感じたことはなかった。羨ましくも思ったし、応援したいとも思った。ジョーにはできない選択だ。
そして姫の方もジョーならば「応援=資金提供」してくれると思ったからここに呼んだのだろう。ジョ ーが「YES」と言えば全てが丸く収まっただろう。

しかしこの時のジョーは素直に「YES」と言えなかった。二人の付き合いはお金が大前提であることは百も承知だけれど、それ以上の関係である確証がジョーには欲しかったのだ。
だから少し渋ってみた。「最終的には出すことになるんだろうなあ」と思いつつ、曖昧な返事をした。ジョーとしてはポーズのつもりだったのだ。

すると姫の反応はジョーの予想を遥かに上回るもので、牙を剥かれた。まずは驚いた。
姫の本心が明らかになり、Jasmine 女史の言う通りだった。 本当に失望した。

しかし人はショックの度合いが大きいとうまく反応できなくなるらしい。後から姫に聞くとこの時ジョーは笑っていたそうだ。
思わせぶりなのは本当に申し訳ないけれど、その詳細を語ることは今のジョーにはできない。ただ姫の希望額をその場で(インターネットバンキングで)振り込んだことを付記しておこう。

ジョー、恵比寿から品川まで歩いて帰る

とにかく居たたまれなくなって姫のマンションを辞去して、トボトボと歩いた。
恵比寿駅は思いの外人通りが少なく、ネオンが消えているせいなのか少し薄暗い気がした。

ジョーはと言えばいろんな思いが頭をぐるぐる駆け廻っている。 ナナ姫がジョーの厚いとは言い難い財布にしか興味がないことがこれではっきりした。

ついさっきまでどぶろっくを熱唱していたのに、今度は悲しい一編の 詩を繰り返し口にする。 さんま、さんま、さんま苦いか塩つぱいか。 そが上に熱き涙をしたたらせて

当然ながら姫の作った舌平目のムニエルは苦くも塩っぱくもない。でもこの詩を口に出さずにはいられなかった。
作者佐藤春夫とジョーの今の状況は全く異なり(ジョーが食べたのはサンマではなく舌平目だしね)本当は今の気分に相応しい詩とは言い難いのだけれど、なぜかジョーの心を慰めた。

ジョーは亡き母から「女の子にフラれても男は泣いちゃダメ」と言われていたから、涙は流してないはずだ。
でも品川までずっとその風景がぼやけていたのはどういうわけだろう。

ナナ姫との時間を振り返る

ジョーのささやかな人生経験によれば、時間が解決しない問題は少なくないと思う。
まして倶楽部活動はまあどう考えてもお遊びだからズルズルと後に引きずるのは大人のやることではない。

ご存知のように?ジョーは恋愛体質だから、 フラれる時はいつも未練たらたらだけど、本音を言うと「未練たらたらのおっさん」を演出してところがある。

何度かこのコラムで書いたことがあるが交際倶楽 部の魅力の一つが「フラれること」にあるとジョーは思っている。
負け惜しみに聞こえるかもしれないし、実際負け惜しみなんだけど、そうでも思わないとやってられないというのもある。
いい歳したおっさんが小娘に翻弄されるのだから 何か理由がないと醜悪でしかないだろう。

しかしそれでもやっぱりナナ姫は特別だった。
会った回数で言えばかつてのお気に入りサクラちゃんやコイさんの方が多いだろうけど、旅行に行って過ごした時間はナナ姫が圧倒的に長い。
バルセロナ、ハノイ 、ルアンパルバーン、 パリ、アムステルダム。楽しかったな。

妻を除けばこの先、こんなに何度も旅行 に同伴してくれる女性は現れないだろう。 パーソナルな嗜好が一致していたこともナナ姫を特別の女性にした理由だ。
二人とも絵が好きだったから美術館にはたくさん行った。
海外だけでなく、宮城 や山形の美術館に付き合ってくれたこともある。
帰りの新幹線の中でその日観 た絵についてあれこれと話を交わすのはジョーにとって至福の時間だった。

セックスの相性が良かったかは全く自信がない。
それでも姫とのセックスは いつも楽しかったし、全力のキスはジョーを興奮させ、同時に安心もさせた。

そしてお酒。姫はワインだけでなく、アルコールなら何でもこいというタイプだ。嬉しいのはビール党でもあったこと。
お酒の強い女性でも「ビールは苦手」 な場合が多けれど、姫は違った。

ジョーの地元には「営業は5時から 2 時間、一人2杯まで、おつまみなし」という全国のビール党にその名が知れたビールスタンドがある。
その話をナナ姫にするととても興味を持ってくれて、4 時間かけて当地に来てくれたことがある。
翌日は仕事ということで、日帰りだった。往復 8 時間かけてビール2杯。滞在時間は 2時間弱。

もちろん交通費その他(!)はジョー持ちだけど、これを特別な関係と言わなかったら、何が特別だろうとジョーは思っていた。
だからこそ 恵比寿での出来事はジョーを相当落ち込ませたのだった。

ところが意外な結末が待っていた

未練タラタラなのは間違いなかったし、相当に落ち込んだけれど、立ち直りの早いのはジョーの美点だ(多分)。

全国的な自粛期間に Jasmine 女史と急接近し、あんなことやこんなことやそんなことまでした。
出会ってから最初のベットインまで半年かかったのに一度魅惑的な情事を体験するとオナニーを覚えだての中学生ばりにセックスした気がする(あくまで気ね)。

想定外だったのは、Jasmine 女史は妙齢の女性だから、落ち着いた静かな潤いのあるお付き合いができると思っていたが、全く違っていたことだ。
ジョーが お付き合いした不特定少数の女性の中でもダントツの暴走女史だったのだ。
もちろん褒め言葉なのだけれど、性的には誰よりもハラハラ・ドキドキさせらた。 50半ばにして Jasmine 女史とのセックスの虜にさせられるとは夢にも思わなかった。

そして事件?は Jasmine 女史との逢瀬のため上京した折に起こった。
前の晩に2 回、朝も 1 回搾り取られ(オイオイ)、目の下にクマを作りつつ、宿泊先のラウンジでコーヒを飲んでいた。
女史は仕事のため、先に席を立った。
ジョーは 列車の時間までもう少しあったから2杯目のコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。その時未登録の番号から着信があった。

「あっ、ジョーちゃん?あなたの愛しの人、ナナだよ」

いたずら電話かと思ったけれど、声は確かにナナ姫だ。
何が起こったのか分からず、すぐに反応できない。

「ジョーちゃん、聞いてる?愛しのナナだってば」

とにかく何か言わなければ。

「姫、今どこにいるの?」
「東京だよ。2 週間前にハノイから帰ってきたんだ。一昨日隔離から解放された。ひどい目にあったよ。あっ、ジョーちゃん、今品川にいるでしょう?」
「なんで知ってるの?」
「オサムさんに聞いたよ。ねえ、今からそっちに行ってもいい?」
「ダメだよ。もうすぐ新幹線に乗るから」
「キャンセルすればいいじゃん、どうせ暇でしょう?ちょっとだけ顔見るだけだから。襲ったりしないから心配しないで」

決して暇ではないし、夜には地元で会合があるから、どうしても帰らなければならない。でも断れなかった。
「30 分だけね」と言って電話を切った。
電話を切った後もしばらく鼓動が止まらない。 ああ、ジョー、全然立ち直ってないじゃん。

業務連絡

マックさん、随分時間が経過しておりますが、「しり取りシリーズ」のコラムをアップしました。
後編は今週入稿予定です。前編も含めアップされる日程は不明ですが、今後もお付き合い頂けますのならよろしくお願いします。

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