しりとりで綴る交際倶楽部奮闘記9 後編 2 泊3 日
パリ1 日目
12 月5 日から始まったパリを中心としたストライキ。
ハノイでナナ姫とパリでの再会を約束したのは年末。
まさか年を越して1月中旬になっても継続しているとは。
影響はパリ市内の交通網に留まらず、国際列車にも及んでいた。
ジョーはブリュッセルからパリ入りの予定だったが、予約した列車は運悪く運休。
何とか振替できたが予定よりも1 日遅れてのパリ入り。
ナナ姫との待ち合わせはパリ北駅近くのホテル。
地下鉄はほぼ停まっているし、車は大渋滞との事前情報で駅から歩いていけるホテルを予約したのだ。
ナナ姫は先に着いていてロビーでコーヒーを飲んでいた。
遠目からでも機嫌が悪いのがわかる。
勇気を持って声を掛ける
「姫、遅くなってごめん。」
「ジョーちゃん、遅いよ!遅れたらいけないと思って空港から急いで来たんだよ!」
姫はハノイから。
ドゴール空港からは友人に送ってもらったらしい。
どんな友人かは突っ込みどころ満載だし、そして聞けば姫は正直に答えるだろうけれど、その場合、ジョーの想定を超えることは間違いないのでもちろん聞かない。
そんなことより、姫の機嫌を直す方が先決だ。
空腹の時の姫をなだめるには方法が一つしかない。
とにかく美味しいものを。
そこでホテルのコンシェルジェに紹介されたタイ料理のレストランへ直行。
パリでタイ料理は普通であれば選択外だけど、背に腹は変えられない。
タイ料理が大好きな姫の胃袋を満たすことで、怒りを鎮めて貰わねばならい。
果たして素晴らしいトムヤンクンが姫の舌と胃袋を満足させ、姫を上機嫌にさせてくれた。
そしてパリ1 日目はホテルの窓からパリ北駅の喧噪を眺めならの立ちバックで姫の下の口も満足させた(ハズ)。
パリ2日目
6 時起床。
日の出は9 時近くだからまだ外は暗い。
今日のスト情報を確認すると、午前中は間引き運転ながらほぼ全線が動くようだ。
昨夜、姫のリクエストでルーブル近くのホテルを予約しているから、交通渋滞になる前に移動だ。
姫を叩き起こし、シャワーを浴びさせて慌しくチェックアウトし、アプリで予約したウーバーに乗り込む。
移動中はストの話題で盛り上がる(正確には姫と運転手が。姫のフランス語の能力はなかなかである)。
日本ほどではないにしろ、フランスでも高齢化が進行中で、数年前に年金受給年齢が引き上げられた。
そして今回は、これまではアンタチャッブルであった既得権益団体(鉄道関係)にも手をつけたことで、大規模なストに発展したという。
日本でも同様だが、年金は基本自分が掛けた金額以上に受け取るとなると、誰かが補填しなければならない。
そして、掛け金の収集と分配にコストを掛けないように制度を工夫することも大事な点だ。
だからフランス政府が画策している年金の一元化は、安定した年金支給にとって必要な改革であるということで、ホテル到着までに二人の結論(姫とドライバー)が一致した。
姫の卒論のテーマは「ヨーロッパの社会保障制度」だからこの問題に詳しいし、一家言あるのだ。
ただし乗車中常にジョーの控えめな股間を弄り、これまた控えめな膨張を楽しむのはやめてほしい、というのはもちろん嘘です。
渋滞の影響はほぼなく、ホテルには8 時前に到着。
チェックインにはまだ間があるので、荷物を置いて散歩がてら朝食を食べに行こうと思っていたが、朝食も用意できるし、アーリーチェックインも可能だという。
そこでホテルラウンジで簡単な朝食をとり、部屋へと入った。部屋へ入れば、やることは一つだ。
昨夜のドーピング効果と、今朝の車内での弄りの相乗効果でジョーにしては珍しく臨戦体勢で、朝から2発。
これにはジョー自身だけじゃなくナナ姫もびっくりで
「ジョーちゃん、どうしたちゃった?オ○ニー覚えたての中学生じゃん!」
とお褒めの言葉をいただきました。
えっ?褒められてない?
心ならずも昼近くになったので、ホテルを出発。
午前中は動いていた地下鉄もほぼ停まっているようだし、その影響で市内は大渋滞なので、歩いて移動。
普段は少しの距離でもタクシーを所望される姫だがパリは別物らしい。
もちろんジョーも楽しい。
大渋滞の通りを横目に時々気になる店(もちろん姫が)を冷やかしながらあてもなく歩いていくとサン=ジェルマンに。
ここは有名カフェや高級ブランドの店舗が並び、姫の目は輝きを増す(苦笑)。
嫌な予感は当たるもので、某ブランドの新商品バックをお買い上げになりました。
(当然支払いはジョーね。心の中で泣いた。だって2500€なんだモン。あっくまもんじゃないよ)
その後は近くの日本蕎麦屋で昼食。
個人的には外国で日本食を食するのは趣味が悪いと思うけれど、姫のリクエストを断れるほどジョーは勇気がない。
寒い日だったので暖かい天ぷら蕎麦を食べたけれど、蕎麦はコシがないし、何より天ぷらがダメ。
たまたまなのか廻りのお客はフランス人だけだったが、蕎麦を音を立てずに食べるのはどうかと思う。
蕎麦ってズルズルと食べてのど越しを味わうもんでしょう?
まずい蕎麦でお腹を満たし、腹ごなしに歩いてオルセーへ。
20 分ほどで到着。
入り口で姫と解散して閉館までそれぞれのペースで美術鑑賞。
ドガの特別展を開催中でドガを1 度に沢山鑑賞できたのが一番ガンフクでした。
少し恥ずかしいけど、美術館に行くときは必ず取るメモから引用します。
「ドガの作品をまとまって沢山鑑賞できるのが何より嬉しい。
下絵やデッサンも展示されていてドガの視線が一瞬の肉体の動きに注がれているのがまずはよくわかる。
ドガの絵といえばバレエを中心とした作品に優れたものが多いが熱烈なバレエファンだったらしい。
その視線は舞台だけに留まらず、舞台裏での練習風景やオーケストラにも注がれる。
その中でも今回の特別展でも展示されもともとオルセー所蔵の「オペラ座のオーケストラ」は特に好きな作品だ。
オーケストラにフォーカスしつつ、舞台で踊るバレリーナの姿が遠景で少しぼやけながら浮かび上がる。
この絵を名画たらしめているのは、」演奏者やバレリーナの動きだけでない。
オーケストラが位置する舞台袖とスポットライトの当たる舞台との陰影もまた素晴らしい。
絵画は様々な定義が可能だが、「空間を2次元に描く色彩の芸術」だとしたらドガは絵画らしい絵画を描いた画家だ
いつもこんなことを考えているわけではない。
ナナ姫との旅がジョーの気分を高揚させているのだろう。
やっぱり旅はいいね、特に外国は。
ナナ姫とは閉館間近に出口で待ち合わせ。
近くのカフェで1664 年を飲みながら、姫と芸術談義。
ジョーにとってこの時間が一番幸せだ。
ナナ姫は描く人だから、ジョーとは絵画の見方が大きく異なる。
そしてその違いはいつも刺激的だ。
1664 年を2杯やっつけてからオペラ座まで歩いて移動。
日はすっかり落ち、一段と冷え込んだがナナ姫と手をつないでいるから身も心も暖かい。
ゆっくりと歩いているから少し時間はかかったがオペラ座近くの下着屋さんに到着。
「SELL」の文字に姫の瞳孔が開き、爆買い。
もし同じ量を日本で買ったら、3倍近くの値段になるし、「ジョーちゃん、今夜はランジェリーショーだね」の言葉に止めることができなかった。
実の娘になら「これくらいでやめておきなさい」と言えるのに。
ショッピングの後はディナータイムだ。
日本食に飢えているナナ姫のリクエストで寿司。
事前の情報で予約時間に厳しいとのことだったので、ジャストタイムで入店。
カウンター席は満席でジョー達だけが日本人。
ミシュラン星付きだからなのか人気店のようだ。
大将はいかにも寿司職人らしく貫禄がある。
寿司に対するこだわり強く、フランスのレストランなのにワインを置いてない。
もう少しだけ笑顔があれば良いと思ったけれど、話しかけると気さくに色々と応えてくれる。
これは知らなかったのだけどフランスでは冷凍を含めて日本からは魚貝類を輸入できないそうだ。
魚は全てEU 圏内で調達しているという。
肝心のお味だが、悪くはない。
目をつぶって食べればここがパリであることを忘れるレベルだ。
お値段も一番高いおまかせのコースが255€だから、特別割高感はない。
ただしもう一度来たいかと言われればNo だ。
わざわざフランスで寿司を食べなくても美味しいものがここにはたくさんあるからだ。
それでもナナ姫が「銀座にいるみたい」と言いながら嬉しそうに食べていたので、まあお連れした甲斐がありました。
ゆっくりと寿司を味わった後は歩いてホテルに帰る。
ホテル内のバーで1杯やった後、お部屋でランジェリーショー。
5セットお買い上げ頂いたので時間がかかる。
朝から2発発射しているので「絶対無理」と思っていたが、3セット目が終わった後、我慢できずに姫を押し倒した。
そして全ての試着が終わった後、姫一番のお気に入りをもう一度身につけてもらって再び押し倒す。
1日4回はジョーの記録更新だ。
齢50 を超えてから記録更新をすると思わなかった。
ただし、当然ドーピングはしているので、参考記録だけれど。
パリ3 日目
7 時前に起床。
目を覚ますため急いでシャワーを浴びてルーブルへ。
朝9時に開催中の特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500 年展」を予約している。
9時前にルーブルに到着し、列に並ぶ。ところが9時を過ぎても入場できない。
係員によると現在ルーブル職員がスト中で待って欲しいという。
不機嫌なナナ姫を宥めつつ、10 時前になって「ダヴィンチ展だけ鑑賞可能」という条件で入場開始。
ルーブル職員の集団が気勢を上げる中、特別展のエリアに入る。
展示数は179 点。
ダヴィンチの真作と判断されている絵画作品は50 点余りだから、この特別展での絵画作品はそれほど多くなく、ほとんどが素描や草稿、そ
してメモ類がほとんどを占める。
途中「最後の晩餐」が展示されていたのにびっくりしたが、説明を読むとダヴィンチ生存中の弟子と言われる人物による模写で当時の色遣いや現在失われている箇所(17 世紀に食堂の入り口を作るため、切り取られた。
また、ナポレオンがミラノを占領していた時代は馬小屋だったという。
修復途中で書き足された部分がなく、ダヴィンチの「最後の晩餐」を推測させる模写である。
ストの影響でダヴィンチ展のみ公開ということもあり、会場は大混雑でゆっくり鑑賞できなかったが、それでもこれほどダ・ヴィンチの作品が集まることはそうそうないからそういう点では貴重な時間であった。
ルーヴルを後にして近くのレストランでランチ。
3 日目にしてようやくフレンチ。
そしてナナ姫とは解散。
昼間からワインを開けたので、少しふらつきながら、ジョーは空港へ。
ダブリン在住の中学生時代の友人に会うため機上の人となった。
こうして怒涛の2 泊3 日が終わる。
書かなかったけれど、今朝も起きがけに1回スッキリしたので、この3 日間で6スッキリ。
こんなことは2 度とないだろうな。
というか今までもない。
人生何が起こるかわかりませんな。
業務連絡
マックさん。
いつもながらの遅筆ですいません。
次回のジョーは「ケーキ」で書く予定です。
じりじりしてお待ちの事と思いますので、先に「き」コラムをアップされてください。