2018年06月03日

ゴミと神様

最近ニュースやワイドショーを賑わわせている悪質タックル騒動について思ったことを書かせていただこうと思いました。

あの映像を見たときは衝撃でした。
あってはならない行為なのは言うまでもないですが、なんと言っても騒動となっているのは日大の対応かと思います。

当事者の日大選手は立派だと思いました。
ハタチそこそこの若者が、何百という報道陣を前にしてたった一人で会見を開く。
一般人ならそんな機会、一生に一度もないかと思います。

きっとそうしなくてはならない状態に追い込まれていたのではないでしょうか。
自分の上長だと思っていたコーチが、監督が、大学が助けてくれないのですから。
自分の所属団体が何もしてくれない。
このままでは、悪質タックルを実際にかました自分は一生蚊帳の外のまま、謝罪の気持ちも伝えられないまま屠られてしまうのではないか。
試合でのひとつのシーンが大学の対面だの存続だの派閥だの人事だのということに発展し、連盟や対外試合にも影響を及ぼし、誰が失脚して誰がどうなって…
ハタチの若者にとって魑魅魍魎のオトナの世界に巻き込まれていく恐怖、当事者なのにまったく圏外に置かれている不条理とはいかほどだったでしょうか。

「知らんがな」
と言ってすべて放り出してしまいたい衝動に、私なら駆られると思いますし、責任者が何もしてくれないなか、マスコミの矢面に立って自分の気持ちを伝えるということ。
なかなかできることではないと思います。

私も大学時代、バリバリの体育会に所属しておりました。
自分はマネージャーでしたので、男性選手のような過酷なルールからは少し遠いところにおりましたが。
その部では、とにかく縦社会。

4年生は神。
3年生は人。
2年生は見習いみたいな(うろ覚えです)。
1年生はゴミ。

入部した際真っ先に教えられるのがそれでした。
もう卒業して20年近く経ちますが、昔の話なのでしょうか。

いろんな厳しい決まりがありました。
その殆どが意味不明、時代錯誤のものでした。
大学生にもなって、1年生は入部当時は丸刈りマスト。
制服もありました。学校関係の場所は制服以外でうろうろしてはいけないのです。
(マネージャーは試合や公式行事のときのみでOKでした)

・部にかかってくる電話は3コール以内
・授業があっても1年生は○時までに寮に帰り練習・準備をする
・門限○時
その他諸々、練習や試合では細部に至るまでアホみたいな決まりがたくさんありました。
違反すると

・丸坊主
・外出禁止
など、先輩の気分一つで発令されます。しかも連帯責任。

当時は全寮制で、休みは週1回。お休みの前の夜は、そこはやはり若い学生ですから皆街に繰り出します。
彼女と外泊できるのもそのときのみです。
なので皆週1回のその日を楽しみにしていましたが、先輩の機嫌が悪いと下級生は全員外出禁止。
なんとも理不尽な。

私達はそれを横目に、気の毒だねとしか言えませんでしたが、皆よくそんな環境で4年間やっていかれたなと、感心してしまいます。
2年生以上になりますと、少しずつ待遇や地位もあがるのですが。

4年生は神、ですが、そこで終わりではないのが体育会。
もちろんその上にコーチ・監督がいます。
これは絶対的な存在でした。
口答えなどできるはずもありません。
そして監督の上にはOB。序列は無限です。

そのスポーツがしたくてその大学に入学している人がほとんどですから、選手生命=大学生命、なのです。
私の母校はプロを多く輩出するほどではなかったので、退部したものも普通に大学生活を送っていいましたが、スポーツ推薦などで入学した学生は退部=退学という学校も多いのではないでしょうか。

試合での起用や練習中のこと、生活のこと、全て監督の鶴の一声です。
ベンチに入れてもらえなかったら。試合に出してもらえなかったら。
恐怖だと思います。
ベンチ入りしないことには始まりません。
試合で結果を出さない者はスカウトの目にも触れず、将来もありません。

やっと試合に出られたその選手、監督の指示に従わないなんて選択肢はなかったのだと思います。
指示に忠実に従った結果、自身の卑劣な行いをどれだけ悔いるのは自然なことですが、こんな展開になるとは誰も思わなかったかもしれません。

監督も人間ですから、好き嫌いはあると思います。それは批判できません。
でも、責任者としてどうあるべきか。
今回の件は、全てそこが破綻していました。
全部が酷かった。

試合後すぐに監督が相手方に謝罪していれば。
報道された時点ですぐに会見を開いておけば。
会見があのタイミングになったとしても、司会者含めあの対応しかできなかったのか。

前置きがかなり長くなってしまいましたが、やはり人や会社の資質って、何かが起きた時にわかるものだな、と思いました。
信頼できる、守ってくれる責任者に恵まれなかったあの選手は不幸にも、自分が愛して打ち込んできたアメフトというスポーツ自体が忌まわしいものになってしまったかもしれません。

私どもも信用第一の業種です。
過ちは過ちと素直に認め、批判は真摯に受け止め、原因究明に努め、改善し日々向上を目指していく、そんな会社でありたいと思いました。
もちろん、過ちを犯さないことが一番なので、当然にその対策を怠らないことが大事です。

もともとが胡散臭い業種ですから、信用的にはマイナスからのスタートとなるかと思います。
そこからいかにして信用していただけるか。
これまで、私どもの拙い運営を温かい皆様のご厚意で支えていただきました。
今後、少しでもそのご恩をお返しできるよう、スタッフ一同日々勉強していきたいと思います。

ユニバース東京
北村 香

この記事の筆者

昭和の人間です。 面白いことは書けませんが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

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