宇宙倶楽部的交際日記「私的心像風景」立ちバック編

Σ月€日

本土より早く既に沖縄は梅雨入りしていたが、その日は三日ぶりに晴れ間が広がった。

空港まで迎えに行くとナナ姫は如何にも「リゾート地にいきますよ」という華やかなイデタチで否が応でも周囲の注目を浴びる。

「どう?今日のお召し物は?」

「100点」

思い出した。

姫によくその日の服装に点数を付けさせられていた。

ただし、100点と言わないと許してもらえないから答えは最初から決まっているのだが。

姫のキャリーバックを受け取り、車へと移動する。

姫とは2度目の沖縄。

前回はオサム君たちとも一緒だったけれど。

あれから1 年ちょっとが経過している。

ずいぶん昔のように思えるし、昨日のようでもある。


姫のリクエストでオープンカーを調達し、再び北部を目指す。

高速に乗ってしばらくすると沖縄の美しいと海が広がる。

天気が悪ければこの美しさは半減するんだけれど、今日は梅雨の合間の快晴だ。

ナナ姫は「私の日頃の行いがいいからね」と嘯くが、ジョーは自他認める?晴れ男だ。

そもそも姫の「日頃の行い云々」については突っ込みどころ満載だけれど、もちろん黙っていた。

名護で高速を降り、更に北を目指す。

高速を降りてからはオープンにした。

梅雨時なのに湿気の少ない乾いた風が頬に当たり気持ちがいい。

やっぱり沖縄本島は北部に限る。

しばらく行くと道は狭くるとともに共に交通量も減り、風景が那覇市内とは一変する。

◯◯◯村に入ったようだ。

「〇〇◯小学校前」の信号機が赤になったので止まった。

ランドセルを背負った3人の女の子が横断歩道を渡ろうとしている。

3人はまずジョーたちの車に向かって深々と頭を下げる。

そして大きな声で「ありがとうございます」と声を揃えた。

オープンにしているからその可愛らしい声が聞こえる。


心が洗われるようだった。


ナナ姫も「可愛らしい子たちだねえ」と声を上げる。

3人は如何にも楽しそうにおしゃべりに花を咲かせながら、渡っていく。

渡り終えると3人共ジョーの車に再び向き直り、やはり大きな声で「ありがとうございました」と言いながら深々と頭を下げるのだっ
た。

ナナ姫と顔を見合わせるジョー。

「ジョーちゃん、今の見た?」

「見たよ。驚いたねえ」


「沖縄の小学生ってみんなあんなに礼儀正しいの?」

「どうかなぁ、◯◯◯小学校が特別だと思うけど」

孫が小学生になったら、この小学校に入学させたい。


でもごめんね、君たち、おじさん、今夜すごくいやらしいことするんだよ。


この日の宿泊は北部のリゾートホテルだ。

前にチラリと何処かで書いた気がするが、ここへは今は退会している(と思われる)ユニバース女子と泊った。

全室オーシャンビューで広めのバルコニーが特徴だ。

その女子とは昼間に

「今夜はバルコニーで立ちバックな」

と宣言したのに、夕食で泡盛をしこたま飲んで撃沈してしまったという苦い思い出がある。
(翌日機嫌を直して貰うのに苦労した)

人は経験から学ぶものだ。

だから今夜はお酒を控えめにするつもりだ、と書いたところで、前回ここに来た時もそう誓ったことを思い出した。

ホテルに到着したのはチェックインタイム前だったので、荷物を置き、早速?テラス席でビール。

このホテルはビール会社が経営しているから生ビールがうまい。

初夏の風が頬に当たり気持ちがいいし、眼前に広がる青い海とそれに続く離島が何とも美しい。

「あの島なんていう島?」

とナナ姫が指差しながら尋ねる。

「伊江島」

「伊江島牛の?」

「ブランド牛だね。石垣牛の方が有名だけど僕は伊江島牛の方が好きだな。そうそう、伊江島といえば乗馬だな。馬に乗って海に入るんだよ」

「えー行ってみたい!」

乗馬がご趣味のナナ姫は目を輝かす。

明日のフライトは夜遅い便だから、朝一番のフェリーで渡れば十分間に合う。

すぐに電話をして予約をとった。

ホテルへのチェックインまでは周辺を散歩したり、フクギ並木まで足を延ばす。

ここはインスタ映えする場所だから、多くのカップルが写真を撮っている。

当然?ナナ姫もリクエスト。

姫は本職だからポージングは手慣れたものだ。

後日彼女のインスタを見ると、この時の写真が何枚もアップされていた。

恐らく複数いるはずの他のパパ様や何より本命の彼氏はこれを見て何を思うのだろうか?


ホテルに帰ってから、ナナ姫はホテル内のバカ高のタラソスパなるものをご所望され、その間、ジョーは部屋のバルコニーでビールを飲みながら読書。

姫が大満足で部屋に戻って、再び部屋を出て、ホテル内のレストランで食事をした。

普段、泡盛を美味しいと思うことはほぼないけれど、沖縄で飲む泡盛はいつも美味しい。

しかし今日は何はともあれ立ちバックだから泡盛は1杯も飲まなかった。

食事を済ませたから部屋に戻る。

何はともあれ、今回の最重要ミッションである立ちバックを決めなければならぬ。

ジョーが先にシャワーを浴び、部屋の照明を少し落として、ナナ姫の登場を待つ。

姫はバスローブ姿で登場。

薄暗い部屋の中で姫の姿が浮かぶ。

この辺りの自分の見せ方は姫の得意技である。

ジョーに近づき、目の前でバスローブを脱ぎ捨てる。

ジョーがプレゼントしたフランス製のランジェリーが露わになる。

やっぱり姫は美しい。

「ジョーがプレゼントしてくれたのを付けたよ」

「久しぶりだ。もう見れないかと思ったよ」

最初はゆっくりとそして激しく。

長い長いキスを交わした。

バルコニーに移動してからは姫にバルコニーの手すりを持たせて下着は脱がせず予定通り立ちバック。

姫の吐息と汗の匂いや海の潮の香り、背中を愛撫した時の感触がジョーの五感を刺激する。

昔のように「ナナの中に出して」の声と共に、ジョーは果て、短い「官能タイム」は終わる。

しかし取り敢えず、最大のミッションは完了し、ホット胸をなで下ろすジョーであった。
 

D月◯日

翌朝は朝早く起き、1番の船で伊江島を目指す。

本島側の海も十分綺麗だけれど、船が島に近づくに連れてその青さが増していくようだ。

港には予約した牧場のスタッフが迎えに来ていた。

車で厩舎まで移動し、今日乗る馬にご対面。乗馬歴の長い姫は手慣れたものである。

ジョーは手綱を引いて姫は乗馬して海辺に移動。

海辺に到着するとナナ姫は歓声を上げながら馬を海へと誘う。

そのはしゃぎよう、昨日の小学生と変わらない。

こういうナナ姫を見ると谷川俊太郎じゃないけど「と、突然すべてを信じすぎてしまう」のだ。

午後の船便で本島に戻り、ナナ姫のリクエストで水族館にもチラリと寄る。

予想通り、お土産売り場でジンベイザメの一番大きなぬいぐるみをご所望される(そこへ案内したジョーが悪いんだけど)。

慌ただしく水族館を出た後は、途中空港近くにある無名のしかしジョーお気に入りのソーキそば屋に立ち寄った。

「沖縄に来たらこれを食べないとね」

言いながら単品でテビチを追加。

ビールなしでテビチを食べるのは沖縄県条例違反だから(?)姫はジョッキを2杯やっつけてご満悦だった。

空港では当然のようにお土産売り場に直行され、友人知人パパ達?へのおみやげを大人買い(支払いはもちろんジョーね。涙)。

大量の荷物を持ってチェックインカンターへ。

そして搭乗口で見送る。

いつものように?ハグで別れる。

「ジョーちゃん、とっても楽しかった。色々買ってもらったし、本当にありがとうね。ジョーちゃんと旅行に行きたいなぁ。今度は海外だね」

「計画しておくよ」

手を振りながら、ナナ姫は検査場へ。

姫の姿が見えなくなるまで、ジョーも手を振る。

ナナ姫の姿が消えた後、ジョーは物凄い疲労感に襲われて立っているのが辛いほどだった。

この2日、姫を全力で案内した。

2日が限界で、スペインではよく1週間も居たものだと今更ながらに思う。

もちろん今回も楽しい旅であったのは間違いない。

最大のミッションである立ちバックも完遂させたし大満足のはずだ。

しかしながら、再びナナ姫と旅行、特に海外旅行に一緒に行くイメージが全く湧かない。

そこで一句(唐突ですが)

めでたさも中くらいなり立ちバック 情男

お粗末でした!
 

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