恋愛ワクチン 第十九話「お金への「復讐」」

湯葉はカフェで二人の女の子に、今日の3Pデートのプランを説明していた。
 

この二人、詩織と沙也加は、プロフィールが良く似ている。どちらも偏差値の高い有名大学を卒業し、一流企業に勤務している二十代前半のOLで、経済的に恵まれない家庭に育ち、奨学金とバイトで苦学して卒業した。二人とも結婚願望がまったく無い。親を見ていると、結婚して幸せになれるというイメージが沸かないからだ。
 

しかし、二人ともセックスは好きだ。感度はとても良い。今日はこの二人の初顔合わせで、湯葉は小柄なこの二人の娘を両腕に抱きかかえて楽しもうと考えていた。最近の湯葉のお気に入りの体位は、湯葉が上になって、両腕で女の子二人を抱き、一人の膣にペニスを挿入しながら、もう一人の口にキスをするというものだ。

初対面の詩織と沙也加は、お互い慎重に言葉を選びながら挨拶し、警戒と関心を交錯させながらゆっくりと心を近寄せる。二人とも知性は高く、コミュニケーション能力は優れている。なんだか、プロジェクトチームの企画会議のようだ。
 

「今日は、この建物の上層階にあるホテルのシティビューのスイートルームをとってある。いまから三人でそこへいく。」

 二人は頷きながら聞いている。

「二人とも部屋でこれを付ける。そして服を着てラウンジに行く。」

 湯葉はバッグの中を見せた。アマゾンで購入して今日届いたばかりの、膣用のローターと、乳首につけて振動させる器具が二人分入っている。詩織と沙也加は驚きながらも色っぽく少し笑い出した。嫌がる素振りは全くない。変わったことの好きな湯葉が、今日は何をしてくれるのだろうと、期待して来ているのだ。

湯葉はこの半年ほどで、女の子二人との3Pを数回経験した。最初は気疲れしたが、慣れてくると、二人だけのセックスよりも体位のバリエーションが豊富で楽しい。最近は新しい女の子と会うと、この子は誰と組み合わせるのが向いているかな、と考えるのが常となった。

沙也加は過去に一度だけ3Pの経験がある。以前付き合っていた彼氏が、デリヘル嬢を呼んだのだそうだ。そういうシチュエーションOKなデリヘル嬢がいるらしい。なおかつ、元彼は、その申し込みの電話を彼女にかけさせたそうで、彼女をいたぶるプレイの一環だったのだろう。元彼は一回り以上年上で、彼女の初体験の相手でもあった。

 詩織の初3Pは湯葉がセッティングした。以前デートしたことのあるバイセクシュアルのブロンドの子を呼んで、どちらかというと受け身な詩織をしっかりと愛撫して仕上げてもらい、出来上がってわなわなと痙攣しながら宙を見ている詩織の膣にペニスを挿入した。なので、詩織も沙也加も、3Pは二回目だ。

三人は仲良く、既にチェックインしてあるホテルの部屋へと向かった。

 部屋に入ると、湯葉は、まず詩織に先にシャワーを使うように命じた。3Pの場合には、リーダーである男性が、明確な指示をする必要がある。三人で行う共同のパフォーマンス、プロジェクトなのだ。リーダーがしっかりと指揮をとらなければ良い仕事は出来ない。

 シャワーからあがった詩織を全裸にして、膣にローターを入れ、両乳首をクリップで止めた。クリップは小さなモーターと連動しており、コードの先のコントローラーで振動のパターンを変えることが出来る。

「痛くない?」

 湯葉は前もって自分の乳首で実験してみたのだが、乳首が女性と違って小さいのでうまく挟むことが出来なかった。実際に使用するのは初めてだ。

「痛くないです。大丈夫です。」

 次いで沙也加をシャワーに行かせて、同様に器具を装着し、二人ともに服を着せた。会社帰りなのでスーツ姿だ。

 湯葉は二人の女の子それぞれ二つ、計四個のコントローラーのスイッチを順にONにした。刺激で思わず「うっ」とのけぞる詩織と沙也加。

「これから、廊下を出て、クラブラウンジまで行こう。そこでソファに座ってお酒を飲みながら三人で夜景を見ようね。」

「はい・・行けるかなあ?」

 沙也加が自信なさげに答えた。詩織は黙ったままひたすら刺激に耐えている。

 三人は部屋を出て、廊下をゆっくりと進む。

「大丈夫?乳首痛くない?」

「痛くは無いですけど、刺激が強くて・・音って周りの人に聞こえないかしら?」

 湯葉は一メートルほど離れてみる。

「大丈夫、離れれば聞こえないよ。それより、腰に引っ掛けてあるコントローラー、LEDが光るから、見えない様に腕で隠してたほうがいいね。」

「すみません・・もう少しゆっくり歩いていただいていいですか?」

 黙っていた詩織がせつなそうに小さな声を上げた。湯葉はさらに歩調を緩める。女の子二人、おなかを押さえながらゆっくりと歩く姿は少し奇妙だが、まあ、体調でも悪いのかと思われる程度だろう。ローターを乳首と膣に装着されているためとは誰も思うまい。

 クラブラウンジに着いた。平日の遅い時刻なので、人はまばらだ。三人は夜景の見える横長の大きなソファに座った。左右から小柄な詩織と沙也加が真ん中に座る湯葉の肩にもたれかかる。それだけでも結構なシチュエーションだが、二人はおもちゃを付けられて、振動の快感に浸っているのだ。ジーっという振動音とともに、二人の押し殺したよがり声が時折漏れる。もちろん離れたほかの客に気が付かれるほどではない。湯葉の耳元にだけ、ささやきのように聞こえてくる。

「気持ちいい?」

 二人は目をつむったまま、同じように頷く。夜景が綺麗なのに、二人とも見ようともしない。

 三十分ほど、じっと座ってプレイを楽しんだ後、そろそろ部屋に戻ろうか?と湯葉は問いかけた。二人は無言のまま頷く。だいぶ出来上がっている様子だ。

 エレベーターの箱に入った途端、詩織が、

「もう駄目、本物がいいです。早く挿れてください。」と声を上げて湯葉に抱き付いてきた。一方の沙也加は、目を瞑ったまま、何も言わず、気持ちよさそうに快感にひたっている。

 部屋に戻って、詩織と沙也加の上着を脱がせて、ベッドに横にする。詩織は湯葉に激しくキスを求め、沙也加は相変わらずとろんとした表情で目をつむって快感にひたっている。このあと、湯葉は詩織と激しくセックスし、その間ずっと、沙也加はまるで薬物中毒患者のように、おもちゃの刺激に一人ひたっていた。湯葉と詩織がすぐ隣でセックスしていることなど意にも介さず、一人快感の世界に入り込んでいる。似た二人だと思っていたが、やはり並べてみると違うものだ。

 違いと言えば、この二人、お金についての考え方がまた異なる。同じく経済的に苦労した学生時代という過去を背負っているのだが、詩織は、結婚願望が無いながらも、玉の輿的な良い条件の愛人の話があれば乗ってしまいたいタイプだし、沙也加のほうは、さらに会社で上へと昇って、自力でお金を稼ぐのを目指している。聞けば、お金に苦労したから、お金に「復讐」したいのだそうだ。なるほど、玉の輿でお金を得ても、それはむしろお金に屈服したということであって、復讐にはならないのだろう。
 

 自分とは違った境遇の人間と触れ合うのは刺激になる。それが若い女の子で、セックスを介してならなおさらだ。湯葉はまだまだ交際クラブを卒業できそうにない。


 (ちなみにアマゾンで購入したローターは、「バイブ 電動乳首クリップ 乳首マッサージ 乳首責め SMプレー ネジ付き 調節可能 カップル ピンク 女性用」と「EROCOME ローター 電動マッサージ器 シングルタイプ遠隔操作 Gスポット刺激 12振動モード デュアル 強力振動 小型 」です。どちらも好評でしたよ。クリップやコントローラが落ちない様に、医療用絆創膏で貼り付けてやるといいです。ご参考までに。)
 



マック

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