恋愛ワクチン 第三十四話 スローなブギにしてくれ
ラオス→スローなブギにしてくれ
ジョーさんとのしりとりコラムの続編である。
「ラオス」の「ス」。
「スプリットタン」のフェラの気持ちよさについて書こうとひらめいたのだが、「ン」でいきなり終了してしまうので断念。
「スローなブギにしてくれ」にしました。
原作のラストが下記リンク先に書かれています。
https://blog.goo.ne.jp/jb66_2005/e/6a1321d6081f3d51d90050c4c0d15d19
「スローなブギにしてくれ」という台詞は、男性のところに戻って来た女性が、また一緒に居させてくださいと懇願したときに、男性がバーでバーテンダーに向かって発した言葉だ。
「スローなブギ」の曲名は原作には書かれておらず、諸説あるが、映画では南佳孝の「Want you俺の肩を抱きしめてくれ~♪」である。
いいよ、また仲良くやろうぜ。
男性の懐の広さがかっこいい。
さて、最近のジョーさんのコラム記事が、とても興味深い。
ナナ姫やAV女優さんに諭吉を巻き上げられながらも、ジョーさんはその経験を喜んでいるように見える。
いや、喜んでいるといったら語弊があるが、全てのコラム記事は自慢話であるというのはジョーさんの言だ。
ということは、満更でもないのだろう。
もっとも、最新記事のラオス旅行記では、ナナ姫と朝からセックスしているし、ダイナマイト嬢ともしっかり楽しんでいる。
登山と同じで、頂上に至るまでの苦労にも味わいはあるということだろうか?
考えてみれば、セックスなんて、単なる挿入という身体的快感に過ぎない。
Aさんが以前語っていたが、オナニーで十分。
むしろ、最近はオナホールも精巧なものがあるようだし、挿入それ自体の快感を追求すれば、生身の女性からどんどん離れていくだろう。
マックさんも登山の途中の景色をもっと楽しんだ方がいいのかもしれない。
「切ない」「いたたまれない」「悔しい」
コラム記事に出てくる一見ネガティブなキーワード。
ここにも快感が存在するということだろうか?
マックさんは以前、ジョーさんの記事「私的心ジョー風景 ~ジョー、バチがあたるの巻~後半」
https://universe-club.jp/column/loneliness_date
に触発されて、失恋の甘美さを味わう中年男の小説を書いた。
アマゾンで絶賛発売中である。リンクは下記。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07CDR7YLZ?ie=UTF8&bspp
まだお読みでない方、良かったら読んで下さい。
話を戻して、「切ない」「いたたまれない」「悔しい」。
失恋の痛手のみならず、こういった周辺感覚も、味わい深いのだろうか?
マックさんは、最近こういった感覚を女の子に感じたことがあっただろうかと自問した。
そうだ、愛ちゃんがいた。
お洋服が大好きな大学生である。
マックさんは女の子に服を見立ててあげるのが好きなので、ときどき一緒に買い物に行く。
最近では初夏のワンピースを買ってあげた。
アウターが布面積の少ないレースで、隙間から素肌が見えてしまうのではないかと思わせるセクシーな服だ。
同系色のインナーとセットで、インナーで肝心なところはしっかりと覆われるようになっている。
服を買った後はいつも、そのまま着替えさせて、少し街歩きを楽しんだ後ホテルに行く。
自分が選んだ服を女の子に着せて、並んで歩くのは気分が良い。
買い物デートの数日後、マックさんは、いつものようにユニバースのアルバムをPCで開いて眺めていた。
愛ちゃんの写真が上がっている。
そういえば近々再撮影に行くと言ってたっけ。
愛ちゃんの着ているこの服・・・先日買ってあげたやつじゃん!
ううっ。
いたたまれない、切ない、悔しい・・
ちなみにこの感覚は女性には理解しにくいらしい。
マックさん、女性社員たちにこの話を愚痴ったところ、
「どこがおかしいんですか?買ってあげたお洋服を、気に入って着てくれているなら、結構じゃないですか?」
と、口々に言われた。
女友達とのお出かけに着ていくのなら問題はない。
あるいは、彼氏や、既存の他のパパとのデートで着るのも許せる。
むしろその場合は、密かに「勝った」気分にもなれる。
しかし、マックさんの知らないパパ候補の男性たちに媚を売る目的で使うというのは、ちょっといただけない。
セクシーな服を選んだのがまずかったかなあ・・
男性の皆さんはマックさんの気持ち判るよね?
新しい競争相手を増やすために、自分が買ってあげたアイテムが使われるというのは、ちょっと「切ない」。
愛ちゃんとは、もう二年以上続いている。
マックさんのお気に入りだ。
あそこの相性が良い。
もしも無人島に、誰か一人女性を連れて行ってもいい、ということになったら、愛ちゃんを選ぶかもしれない。
だから別れるつもりはない。
マックさんは愛ちゃんにラインした。
「再撮影のアルバム写真見たよ。この間の服だね。似合っているよ」
優しいが気の小さいマックさんなりに、精一杯の皮肉を込めたつもりである。
しかし全然通じない。
「本当ですか?嬉しいです。次、〇日が空いてるんですけど、また会ってくれますか?」
切ない、悔しい、いたたまれない。
こうして思い出して書いていると、梅干しのような酸っぱい感情がよみがえってくる。
ジョーさんは、この酸っぱさが大好きということか。
これを快感なのだと、自分の脳に教え込まなければならない。
うーん、微妙な珍味だ。
マックさんは愛ちゃんのラインに返信した。
「スローなブギにしてくれ」
・・・嘘です。
「大丈夫だよ、またいつもの時間にいつもの場所でね」
でした。
Want you俺の肩を抱きしめてくれ~♪
懐の広い、かっこいい男を演じなければならない。
さて、デート当日、愛ちゃんは例のセクシーな服を着て来た。
マックさんはインナーを外して下着も脱がせ、レースの合間から素肌が見えるアウターだけを着せてバックで犯した。
マックさんはそもそも、これをしたくてこの服を選んだのだ。
射精の瞬間は、ユニバースのアルバムに出ていた、にっこり微笑んだ愛ちゃんの写真を思い出した。
年甲斐もなく、いつもより二割増し精液の量が多かったような気がする。
転んでもタダでは起きないぞ。
そうか、「切ない」「いたたまれない」「悔しい」。
こういう前振りがあると、仕上げのセックスの快感は確かに増す。
スイカに塩を振ると甘く感じるようなものだ。
交際クラブと風俗の違いは、疑似恋愛の有無である。
「切ない」「いたたまれない」「悔しい」。
甘酸っぱいどころか、単に酸っぱいだけのこれらの感傷も、精液の量を二割増しにするという意味では、恋愛に似た効果を持っているのかもしれない。