しりとりで綴る交際倶楽部奮闘記 10

風の歌を聴け→ケーキ

ナナ姫と別れた後はダブリンへ。

中学生の同級生がこの地で頑張っていて数年前に同窓会で会った時、再会を約束していた。

何度かの催促の後、ようやく今回それが実現したのだ。

夜、日付が変わる前にダブリン入りして 2 泊。

アイルランド国立美術館(思いの外良い美術館でした)へ行ったほかは友人と共にパブ巡りを数十パインとのギネスそして素晴らしいアイリッシュウイスキーでベロベロに。

日本とやっていることが変わらない。

ほぼ酔っ払っていたし、特に観光もしていないので、どんな街かはよくわからないが、噂通り人々は温厚で親切、そして美しい街でした。

何より、時間が中学時代にスリップしてこの地で奮闘している友人と馬鹿話ができたのは嬉しかったし、刺激にもなった。

是非、今度はゆっくり再訪したい。
 

アムステルダム 1 日目

性懲りも無く、再びナナ姫と待ち合わせ。

再会のハグとキスをホテルロビーで交わした後、早㏿イケナイカフェへ。

今回の目的はマリファナでトリップすること。

ご存知のように?アムステルダムでは制限の下、マリファナが合法化されている。

ジョーは 10 年前にアムステルダムに立ち寄った時、悪友に勧められて試したがマリファナの魅力が分からなかった。

神経が研ぎ澄まされ、落ち着いた気分になるという触れ込みだったが、その前に頭が痛くなった。
と同時にめちゃくちゃ汗をかいた。

そのことをナナ姫に話すと

「それはジョーちゃんのやり方が悪いんだよ。量は少なめにしてゆっくり吸えば新たな世界が待ってるから。ナナがちゃんと教えてあげるから」

と不敵に笑う。

そこでアムステルダム再集合となったのだ。

ナナ姫は隣国のベルギー留学時代(詳細は教えてくれない)マリファナを覚えたらしい。

ホテルから少し歩いて目的のコーヒーショップに到着。

店の前で姫が深呼吸している。

「久しぶりだな。この匂い」

と早くもトリップ?しているかのように笑う。

まだ入店していないのに、確かに入り口では既にマリファナの匂いが拡がっている。

紙タバコの臭さとは全く異なり、甘い香りが嗅覚を刺激する。

ジョーもこの匂いは好きだ。

店に入るとナナ姫に連れられて(苦笑)奥のカウンターで注文する。

メニューもあるが、ジョーは見ても分からないので、姫のなすがままに支払いだけを
済ませる。

グラムで買って自分で刻んで吸うこともできるが、既にジョイントされているものを姫は選んだ。

「ジョーちゃんは初心者だから、1本をシェアしよう」

ということになり、エスプレッセも注文して席につく。

まずはナナ姫が火をつける。

ジョイントの先が火で赤くなり、ゆっくりと煙を吹かす。

マリファナの良い香りが二人の鼻腔を刺激する。

「とにかくゆっくりね」

と姫がジョイントを手渡す。

アドバイスに従って慎重にそしてゆっくりと吹かす。

強い匂いと共に、口の中が熱くなり、舌を刺激する。

悪い感覚ではない。

これはナナ姫からの受け売りなのだけれど、マリファナの成分は腸で吸収されるので、効果が出るまで時間がかかる。

そして依存性も低い。

後者はやや疑問だけれど、それを指摘すると

「依存性はないよ!その証拠に私、ハノイにいる時も日本にいる時も吸いたいと全然思わないもん」

と反論する。

でも普段のようなキツさはなくて、ゆったりとした口調になっている。

既に姫の方は効果が表れているようだ。

ジョーの方は効いているのか、いないのかよく分からない。

ただ思い込みは激しいタイプなので、いつもよりはゆったりとした気分なったような気がする。

これが効果というなら、そうなのだろう。

そしてしばらくすると、明らかに普段とは違う状態であることが自覚できた。

ジョーは話したいことがあると早口になってしまうのだが(ナナ姫からは「慌てずに話しなさい」と注意される)早く喋ろうとしても舌がよく廻らないのだ。

酔っ払った時のように舌がもつれる感じでなく、丁寧に話す感じだ。

その時のジョーはダブリンの様子を話していた。

事前に読んだジョイスの短編集「ダブリンの市民」の感想を交えながら、街の美しさや、親切な人が多かったことなどをゆっくり話す。

ナナ姫は時々相槌を入れながら静かに耳を傾けていた。

時間までもゆったりと流れていると感じた。

すると、30 前後と思われる白人男性が日本語で声を掛けてきた。

「日本の方ですか?」

「そうですよ」

「少しお話しして良いですか?」

「もちろんです」

外国人に日本語で話しかけられて良い思い出がほぼないから、本当は断りたいのだけれど、マリファナ効果で寛容な気持ちになっているから

心ならずも?「YES」と言ってしまった。

顔立ちの綺麗な青年だったのでナナ姫は喜んでいたけど。

彼の名前はミケル。

高校時代に交換留学で1年間日本にいたという。

日本に興味を持ったきっかけはありがちだけど日本のアニメと漫画。

一番好きな作品は「となりのトトロ」と「ONE PIECE」だという。

「アニメと漫画で日本語を勉強しました。『ONE PIECE』は全巻持っています。」

と言って最新巻の「ONE PIECE」(日本語版)をカバンの中から取り出す。

ジョーは読んだことがないが、ナナ姫はマニアなのでその話でひとしきり盛り上がった。

「人生で大切なことはすべて『ONE PIECE』から学びました」

とミケル。

20代の小僧(彼は歯科医の卵)にこんな言われた方をしたくないけれど日本の漫画で日本贔屓になったのならそれはそれで嬉しい。

人生の秘密を学ぶためにジョーも読んでみようかしらん(苦笑)。

「ジョーさん、これ食べてみませんか?」

とミケルが差し出したのはケーキ。

マリファナ入りのケーキで「スペースケーキ」というらしい。

茶色の焼き菓子のようだった。

「ジョー、ひと口だけにしときなさいよ」

というナナ姫の忠告にも関わらず結局半分以上食べたらしい(記憶がない)。

しばらくすると体が熱くなってきた。

セーターを脱いでシャツ一枚になっても発汗が止まらない。

10 年前の経験が蘇る。

記憶があるのはこの辺りまで。

どうやってホテルに帰ったか全く記憶がない。

気が付いたのは翌朝。

裸で寝ていた。

ナナ姫は隣でカワイイ寝息を立てている。

アムステルダムには 3 泊したのだけれど(パリ 2 泊)セックスをしなかったのはこの日だけだった。

「マリファナとセックスは相性がいい」とナナ姫から聞いていたから、密かに楽しみにしていたけれど、ジョーの場合はダメみたいです。

シリアスに勝てるものはないですな。
 

アムステルダム 2 日目

ナナ姫の目的はマリファナが第一だけれど、ジョーはゴッホ美術館だ。

10 年前にも訪れたが、その後改装されたので、楽しみにしていた。

以前とルールが変わり、完全予約制になったから11時入場の予約券を持って美術館へと急いだ。

ナナ姫は明らかに機嫌が悪く、いつもならあの手この手でなだめすかすところだけど、気がゴッホにいっているので無視した。

いつも通り入り口で一旦解散し、それぞれのペースで鑑賞する。

ゴッホ美術館の魅力は一にも二にもゴッホの絵画をたくさん鑑賞できることだ。

「量は質に比例する」という思想?を信奉するジョーにとって「たくさん」は何より嬉しい。

オルセーやメトロポリタンもなかなかの数を所蔵しているけれど、ここと比べたら勝負にならない。

新装なったゴッホ美術館は多くの来場者を見込んで建物の構㐀に工夫があり、以前より鑑賞しやすくなったような気がする。

日本人も多くてあちらこちらから日本語が聞こえる。

最初の展示は自画像でその後はほぼ時代順に並んでいる。

この展示方法はゴッホの変遷が分かるので、有難い。

いつものように美術ノートから引用してみる。

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ゴッホの自画像は実験の場だ。数十点の自画像が展示されているが、それぞれ目の色、帽子、パイプの向き、色づかい、表情の相違、そして何よりタッチが異なる。

ほとんどが 1887 年制作で、1886 年にパリへ移住しているからこの年を契機に画風が変化しているのが分かる。

最初は印象派の影響が強かったようだが短い期間で独自のスタイルを確立したのが分かる。

例えば 1887 年制作の「The trees and underground 」は好きな作品の一つだが、自分のスタイルを確立しようとする意志が感じられる作品だ。

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ジョーにとってのベストは「Tree Roots」で有名な作品ではないけれど、ゴッホらしい色遣いとタッチ、そして何より狂気じみた迫力がある。

事前学習として日本で「ゴッホ最期の手紙」という自伝的な映画を観ていたが、この絵を描くシーンもあったから余計に親近感が湧いたのかもしれない。
(因みに「ゴッホ手紙」ではピストル自殺ではなく村人に殺されたことになっていた。ほんまかいな?)


ゆっくりと鑑賞した後、ナナ姫と再合流。このころには姫の機嫌は直っていたけれど

「ジョーちゃん、昨日セックスしてくれなかったから、ペナルティーでなんか買って」

と言われる。

その場合ミュージアムショップで「ひまわりの絵葉書」というわけにはもちろんいかない。

目ざとい姫は一般的なショップとは別のジュエリーショップを発見し、熱心に物色している。

「ピアスで勘弁してあげる」とナナ姫。

確かに指輪やペンダントに比べるとリーズナブルだけれど、400€〜2000€以上のものまで値幅がある。

基本ゴッホの「ひまわり」をあしらったデザインだ。

もちろん?ジョーは心の中でも「お願いだから 400€を選んで!」と念じていたが、願いも虚しくover2000€のものを選択なさいました。

ひまわりの周りに極小のダイヤ、そしてひまわりの中心部に少しだけ大きなダイヤがあしらわれている。

おかげでジョーはゴッホの「ひまわり」が大嫌いになりました。

結局アムステルダムには 3 泊した。

常に同一行動したわけではない。

基本夜ナナ姫は夜コーヒショップに日参していたが、ジョーが足を踏み入れたのは初日だけだ。


アムステルダム国立美術館(素晴らしかった。ジョーにとってはゴッホ美術館以上)は一緒に行ったけれど、ナナ姫が小さなギャラリー巡りをしている間、ジョーはボートに乗って運河巡り。

ツテを頼って、運河沿いのボートハウス(アムステルダム市民の憧れだ)を見学したり(150 万€で売り出されていたものを内見した)、レンタサイクルで市内をふらふらしていた。

あっ、有名な「飾り窓」も覗いてみました。

もちろん?覗いてだけです。

アムステルダムで残念なのはご飯が美味しくない点。

もっとお金を出したり、ちゃんと調べればあるのかもしれないけれど、とりあえず紹介してもらった店は全部ダメだった。

だからというわけではないけれど、ナナ姫がトリップしてホテルに帰ってきてからはやることは一つだ。

でもちょっと意地悪してすぐに応じないでいると、嘘か誠か

「ナナ、ミケルとやってきちゃった」

とのたまう。

ご存知のように?ジョーはこの種の挑発が大好きで、異常にに興奮してしまう。

アムステルダムではいつもとは全く違うキャラで、服を脱がせ、激しく下着を剥ぎ取ってみた。

姫の方も姫の方で、トリップしているからなのか

「いけないナナを罰してください」

と普段なら絶対言わないようなことを言っている。

運河沿いのポルノショップで買った鞭で姫のお尻を赤くなるまで叩く。

姫の絶叫が響き渡る中アムステルダムの夜は更けていくのだった。
 

お断り

日本には「大麻取締法」という法律があり、当然ながらその所持は禁止されております。

1991 年の法律改正によって国外についても処罰の対象となります。

つまり日本人がアムステルダムで大麻を「所持」したり「譲渡」した場合、処罰の対象となる可能性があるということです。

更に言えばよく「アムステルダムでは大麻(マリファナ)は合法」と言われていますが、ジョーの見聞した限り、グレーゾンもあり、かなり曖昧なようです。

どうかアムステルダムにご旅行の際は十分気をつけて楽しんでください。
 

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