ミス・パイロット

特定を避けるため、モデルになる人物は居ますが、半分ぐらいフィクションです。

2012年、私は那覇のソープに居た。

愛人遊びを覚える前は、たまに風俗に行く事もあった私。

男3人で那覇へ遊びに行き、フリーで入った辻のソープでした。

出てきたのは  しのちゃん(21)

金髪ギャル系で小さいけどタトゥーまである。

おっぱいが若いのにたれていてしわしわで、細身なのにひどい体型。

「これははずれだなあ。やっぱり指名するんだった。」

と流れ作業をしてもらって、適当に帰ろうと思っていたが。

話してみるとハキハキ話し、誘導もさわやかでとても明るくて楽しい人。

話す内容にも、何か知性が感じられる。

とても満足して帰り、気に入ったので地元へ帰る前日、また指名でソープに行った。

短期間でまた指名で行ったので、しのちゃんはますます気に入ってくれて楽しい時間を過ごせた。

見ればみるほど、E-girls に居た Ami に似ている。

帰る時間がせまり、

「また那覇に来るよ。ぜひまた会いたい。」

と私が言いますと、

「もうすぐここやめるんだ。実は、来月からずっとなりたかったCAに受かっていて、それまでのつなぎだったから。」

とおっしゃる。

どうりで頭いいわけだ。

CAの試験、倍率高くて簡単じゃない。

十倍の倍率だったと言っていた。

名残惜しいけど、旅好きの私なので、いつか機内で会えるかもねと言いながら健闘を祈りお別れをした。


それから1年半後のこと。

私は、札幌行きジェットスターの機内に居た。

ジェットスターは、席指定の追加料金を払うと、400円分の飲み物がもらえたりする

太ったCAさんが、飲み物を聞きにきてくれた。

お茶と水をもらった5分後でした。

そのCAさんが、またおしぼりをくれた。

うん?おしぼりと一緒の紙に何か書いてある。

「覚えてますか?しのです。また会えましたね。よい旅を。」

わっ、あの子だ。

太ってる、分からなかった。

でも、あの時のかわいい顔は変わってない。

髪だって、暗めのさわやかなボブヘア。

札幌の愛人に会いに行く事で頭がいっぱいだったので、手を振って満面の笑みで飛行機を降りた。

その次の週、帰りの飛行機に乗ると、なんとまたあのしのちゃんがテキパキと働いている。

私から呼び止めて、おみやげのグッズなど買ってみた。

すれ違うたびに、楽しそうな笑顔をくれる。

行きと違って窓際の席だったので、購入以外は話せなかったけど。

意を決して、降機するとき、捨てたかったゴミと一緒に¥5,000相当の金券をしのばせ、私の連絡先を渡して降りた。

その夜、しのちゃんからメールがあった。

それからすぐ電話かかってきたっけ。

「立派にCAになっているね。ほんと、涙が出るほどかっこ良かったよ。」

「偶然でも会えるんですね。嬉しい。でも、仕事が大変で、ストレスですごく太ってしまって、お恥ずかしい。」

160cm 65kgぐらいだろうか。

初めて会ったときから、15kg太っている。

過食症になってしまい、吐いたりしているそう。

たまに1日15時間労働で、月給20万円も無くて苦しいらしい。

何回か相談にのっているうちに、自然とたまに会う愛人になっていました。


沖縄の宮古島に一緒に旅行したのですが、確かにすごく食べる。

まけに、ずっとスナック菓子食べていて、トイレに行っては吐いている。

でも、薬を飲むようになって、軽快してきているよう。

体重もやや落ちてきているかな。

私が援助する事で、かなり不安が和らいだとも言ってくれる。

フライトスケジュールもあり、仕事も忙しく、月に1回ぐらい会う関係が1年以上続いたある日、彼女はたまに急に電話かけてくる人だったけど。

「私、CAやめてパイロットになりたいと思うんだ。安月給が悔しい。パイロットになって、見返してやりたい。」

パイロットって、そんな思い付きでなれるんだろうか。

彼女は、いま24才か。

それから、小樽の朝里川温泉というところに旅行したのだけど、合い間の時間に分厚い航空の参考書をずっと解いていて、書き込みが山のよう。

その夜に、彼女の昔の話をいっぱい聞いた。

中学まで運動も勉強もずっと1番で、高校も進学校で人気者だった事。

実家がとてもまずしくて、大学へ行くよりも就職したくて、CAの試験を受ける前に遊び納めと思って、那覇へ高3の時一人で遊びに行ったこと。

これがいけなかった。

那覇で現地の男にひっかかり、妊娠させられた事。

どうしても産みたくなり、那覇で18歳で結婚して19歳で出産。

男が働かないうえにDVで入院させられて、退院後に託児所付きのソープに逃げた事。

彼女の目の上には、その時の傷跡がある。

もう少し出会うのが早ければ、私がその男を告発してやりたかった

時効前に告訴をすすめるも、もう忘れたいと言う。

やけになってそのころタトゥー入れて、すぐに離婚して、そのままソープで働きながら、20歳で独学でCA試験に挑んだ事。


子供居るの、初めて聞いた。

体型で分からなかった?と言われたけど、我ながらにぶいなあ(笑)

親に預けてきたという娘の写真見せてもらった。

5歳になる彼女そっくりの美少女だった。

それから何ヵ月かして、北海道のパイロットの学校へ行きたいので、700万円貸して欲しいと言われた。

高卒なので、年齢制限もあって、民間の学校しかないらしい。

私も簡単な額ではないので、ある程度学校の事も調べ、夢を見るのもいいかと略式の借用書作って700万円をあげたつもりで貸した。


それから5年。

彼女とは北海道に行ったときに、年に1回ぐらい食事をしている。

体の関係はない。

月に10万円ずつ欠かさず返済があり、もう700万円完済は見えてきた。

彼女はチーフまで出世したCAをやめ、5年間札幌のヘルスで働きながら、パイロット学校に通い続けた。


2019年8月、彼女はついに5年かけて事業用操縦士試験の合格を勝ち取った。

私にとっても、2019年で一番嬉しいお知らせだった。

貸した残りの100万円ほどだって、あっという間に返せるだろう。

一度、

「合格祝いにもう残金返さなくていいや」

と言っちゃったんだけど、

「いや、ここまで返してきたんだから、最後まで返させてください。副操縦士までは、地上勤務とかもう少しかかるけど、さすがに月10万円はもう余裕があるので大丈夫。」

5年前に、彼女が言って半信半疑で聞いていた言葉だけど、

「娘には寂しい思いさせながら育ててきた。転校もさせてしまった。失敗ばかりの母だけど、かっこいいお母さんになって、娘が自慢できる母になってみせる。」

2019年8月9日、吉報を聞いて思ったさ。

君はいま、世界一かっこいい29歳だよ。

近付く初フライトの日には、必ず乗りたいと思っているシアトルです。

もう、気安く紙を渡せる場所には居ないけどね、君は。
 

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