【実録】性の極み乙女──理学療法士の瑞希ちゃん[第2話]

 

<あらすじ>

パパ活を始めて2か月弱。理想に近い4人の女性との交際がスタートし、すでに当初の目的は達成していた。それにもかかわらず、僕は満足しながらも、少し物足りなさを感じていた。刺激が足りない……。いや十分に刺激はあるのだが、「真っ黒くて邪悪な刺激」が足りない……。美人との普通の交際もよいが、もっと倒錯したアングラ感が欲しくなったのである。

そこで、僕は女性のプロフィールリストのなかから一人の女性を見つけ出した。地味で素朴な理学療法士、瑞希ちゃん(22歳)である。容姿は十人並みで、庶民的な印象が光る。そして何より、プロフィールの「家族にいろいろと問題があって経済的に余裕がなく、パパ活を始めました」という一文が輝いていた──。

第1話

 

瑞希ちゃんへの邪悪な妄想


さて、どうしてくれよう……

 

まだオファーを出しただけでマッチングしていないのに、僕はもう、そんな妄想を膨らませていた。

男とは、傲慢な生き物である。特にパパ活の場合、金さえあって、女性が許容できる程度の外見なら、すごく人気の女性や「富裕層の猫」志望の女性を除けば、断られることは少ない。超買い手市場である。

 

せっかくお金を使って、こんな没義道(パパ活)をやっているのだ。没義道のさらの先、地獄変に進んでやろう。

想像するに、彼女は家族が裕福でなく、何らかの事情でお金が必要なのだろう。

ならば、ある程度のことは我慢するはずである。

プロフィール写真の素朴な印象からすると、それほど男性経験があるとは思えない。

そんな女性を玩具にする。

団鬼六先生が描く物語に出てきそうな、ゾクゾクする状況である。

(団鬼六先生の作品はあまり好きではないけれど)

 

お互いにその性癖があって、慣れた者同士のSMプレイも楽しいけれど、

やはりそれは、筋書のあるドラマであり、予定調和のフィクションである。

人間が一番性的に高ぶるのは、筋書のないドラマ。フィクションではなく、ノンフィクションとしての「苦痛と屈辱に歪む表情」が見たいのだ。

 

さすがに、若い幼気な女性相手にそこまでひどいことはできないけれど、軽く縛って目隠しして、軽いスパンキングくらいから始めて、徐々に開発してやろう。次に会ってくれないことがないよう、ギリギリの線を攻めてやる。お手当も少し多めに払おう。プレイ以外では、たくさん優しくしよう。いろいろな相談にも応じよう。「生かさぬよう、殺さぬよう」の、精神である。
 


   (瑞希ちゃんのイメージ)


 

瑞希ちゃんとの顔合わせ


待ち合せは、渋谷・道玄坂の珈琲茶館「集」。水曜日の夕方6時半の約束である。

 

珈琲茶館「集」は、都内に十数店舗ある喫茶店チェーン。アール・デコ調のアンティークな雰囲気が年齢層や性別を選ばず、ちょっとした待ち合わせなどにちょうどよい。ケーキの種類が豊富で、どれもそこそこ美味しく、到着した女性に勧めることもできて便利である。
 


珈琲茶館 集プレミアム 渋谷駅前店

 

オファーしたらすぐOKの返事が来ると思っていたところ、なかなか返事が来ずにやきもきした。「まさか、断られるのか」「それともスルー?」などと思いながら、1週間ほど経ち、半分諦めていて、別のコを探そうとしていたところ、ようやくOKの返事が来た。

 

忙しくて返事ができませんでした。ごめんなさい

 

お返事のメッセージは、こんな言葉で始まっていた。医療職で、まだ新人なら忙しいだろう。家族の問題で忙しかったということもあるかもしれない。

この返事からも、いろいろな妄想が膨らんだ。

 

何度かメッセージを往復して、今日とうとう会うことになった。

30分程度、顔合わせをして、お互いに良ければ食事でも、という話になっている。

約束の時間を少し過ぎたところである。

 

カラン カラン

 

店の扉の鐘がなる。5分ほど遅れてきた彼女は、想像とは少し違っていた。

プロフィール写真よりも少し可愛く、少しおしゃれで、拍子抜けした。

この日の服装は、白い北欧風のワンピースに、ライトブラウンの革のトートバック。

美容室も、行ったばかりのようだった。

地味で素朴ではあるが、ごく普通の小柄で細身の22歳の女性だった。
 

 

どうせなら、少しくたびれたユニクロの服と、しばらく切っていない髪くらいがちょうど良かったのだが、当てが外れた。まあ、いいだろう。

 

少し人見知りする様子が可愛かった。

性格は、多少おとなしく、控えめのようだった。

「これならいいか」と、僕は思った。

 

まず、僕を引き付けた「家族にいろいろと問題があって経済的に余裕がない」というプロフィールの一文について、聞かなければならない。

 

「あ、そういえばプロフィールに、家族にいろいろ問題がとか書いてましたけど、今、何か大変なことがあるんですか? 差し支えなければでいいですけど……」

 

少し心配するような神妙な面持ちで、会話の流れの中で、さりげなく尋ねる。しかし僕にとっては、この部分こそが重要である。

家族の病気など、とても喜べない状況は別として、父親の失業、ギャンブルによる借金、家計の破綻、未成年の兄弟の教育費が払えない状況などは、不謹慎ながら「ぜひあってほしい」と思うばかりである。

 

彼女は、口を開いた。

 

父がアルコールの問題を抱えていて、母も働けない状況で大変なんです……、それで……

 

状況は分かった。これ以上は聞くまい。

事情は追い追い分かってくるだろう。
 

               *   *   *


僕らは「集」を出て、ご飯に行くことにした。

道玄坂沿いにある大衆寿司寄りの中級店だが、回転ずししか行ったことがない彼女はとても喜んでくれた。

 

この日、分かったのは、

彼女は専門学校卒で、学費はすべて奨学金だったということ、

今、奨学金を支払うのが大変なこと、

本当は大学に行きたかったということ、

歌うのが好きで、ボーカロイド(ボカロ)の歌い手として活動していること、

ひとり暮らしをしたばかりで生活が大変なこと、

だった。

 

(続きます)

 

※白い北欧風ワンピースの写真は Doliss「無地刺繍スタンドネックカジュアルワンピース

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