【実録】千円札と、コーヒーの話:ミキ④

ミキから返ってきた返答は、とても自分自身を見直すような素敵な言葉でした。

 

ミキ「東京に行ってから、東京に染まらないといけないと思って少し派手なファッションにしたんですが、地元に帰って来て思ったんです。多少おしゃれはしてもいいけど、自分自身を染める必要はないなって。だから、実家にある、普段来ていた服に着替えたんです。」

 

夜のP「なるほどね」

 

ミキ「ここで少し休憩したら、帰れそうですか?」

 

夜のP「うん、大丈夫だと思う。ホテルもそんなに遠くないし。駅まで送っていくよ」

 

ミキ「そうですね!」

 

ーーそう言って、繁華街を抜けて駅に向かいました。

 

駅に向かう途中、私同様に酔い潰れている人が多くいました。

 

ミキ「なんでこんなにたくさん飲むんですかね?仕事で飲まされるんですか?」

 

夜のP「なんというか、飲んでいることが相手に伝わると、気を許している風に見てくれるっていうのもあってね。接待だね。」

 

ミキ「そうなんですね〜。でも今日は夜のPさんの弱いところが見れてよかったです」

 

(・・・弱いところ)

 

そのままミキを駅に送っていき、私は徒歩でホテルまで帰りました。

 

確かに私も田舎暮らしから、東京に出て来て、いつしか稼ぐことと、染まることに一生懸命になっていたかもしれません。自分自身を忘れたわけではないですが、社会に揉まれ、自分自身を大切にすることを忘れていたのかもしれません。

 

その日は、ホテルについたあとにミキから連絡がきていましたが、気持ち悪くて、そのままベッドにダイブし、朝まで寝ました。

 

次の日、午前は時間が余っていたのでゆっくり休むことにしました。

携帯電話が鳴り、電話に出るとミキでした。

 

ミキ「あ、夜のPさん、やっとでましたね!あの後ちゃんと帰れたかどうか心配になって連絡してたんですが、既読にならなかったので心配で・・・」

 

時計をみると朝の10時で、かなりの時間寝てしまったようです。

 

夜のP「起こしてくれてありがとう・・そして心配かけてごめんね。あ、今日の夜の食事は大丈夫かな???もし都合悪くなったら言ってね。」

 

ミキ「夜楽しみにしてます!あまり飲みすぎないようにしてくださいね笑」

ミキは優しいですね。

LINE一つ一つがとても心地よいです。

 

昼過ぎのアポイントがおわり、夕方はカフェで仕事をします。

コーヒーを飲みましたが、ミキとであった日を思い出しました。

 

そういう縁もあるんだなと、黄昏た記憶があります。

 

時間になったので、待ち合わせの場所にいくと、もうミキは待っていました。

 

ミキ「こんばんは!夜のPさん」

 

夜のP「こんばんは!きょうも可愛い服だね。素敵だと思うよ」

 

ミキの服装は、東京のそれではなく、この地方に合った少々地味めな格好でした。

でもそれが、逆に安心感が合って非常によかったです。

 

夜のP「じゃあ、行こうか」

 

予め予約しておいた、地元でも名店に足を運びます。

和食ではありますが、畳の部屋で、刺身や、焼き鳥が堪能できる店です。

 

一つのさらに、少しの料理しか乗っていない、料亭にも近い雰囲気の店です。

 

ミキ「こんなところにくるなら、もう少し良い格好して来ればよかったです(汗」

 

夜のP「そんなことないよ。格好素敵だと思うよ。」

 

ミキ「いえいえ、はずかしいです・・・」

 

食事をしながら、お酒も堪能します。

昨日飲みすぎたので、私はチェイサーを飲みながらゆっくり飲みます。

ミキは調子が良いようでした。でも顔色が全然変わらないタイプのようでした。

 

メインの食事を食べ、デザートが運ばれてきましたがミキは少し打とうとしているようでした。

 

デザートをたべおわり、ミキに声をかけます。

 

夜のP「今日はありがとう!そろそろ出ようか。」

 

ミキ「・・・あ、はい、すこしウトウトしていました・・・」

 

夜のP「会計してくるね。」

 

ミキ「はい、ありがとうございます。」

 

料亭を出ると、外はとても寒く雪が降っていました。

今日は、この後どうしようかなぁと考えていると、店を出た10メートルほどのところに物語にも出てきそうな渋いカフェ・バーがあることに気がつきました。

 

夜のP「ミキさん、ちょっとあそこ寄ってみない?バーもあるけど、カフェもやってるから雰囲気がいいかも」

 

ミキ「はいー。そうですねぇ。」

 

ミキは少し呂律が回っていないぐらいですが、背筋はピンとしており、しっかり立っていました。

 

店に入ると、某ジブリ映画のようなクラシックな佇まいで、美味しいコーヒーの匂いが漂ってきていました。

 

店主「いらっしゃい。好きなところに座ってー」

 

とても気さくな店主でした。

 

メニューをミキさんと2人でみます。

ミキさんは、コーヒーを注文しました。私は、コーヒーにブランデーか何かをいれたお酒を注文しました。

 

店主「お兄さん、チョイスが渋いね」

 

ーーーー5分後

 

暖かいコーヒーと、コーヒーにお酒が入ったものが運ばれてきました。

 

ミキ「美味しい!このコーヒー」

 

私も、飲み物に口をつけます。

 

都心に戻ってきてから、何度かこの味を再現しようとしてチャレンジしましたが、どうしても味のバランスが整いません。ブランデーなのか、ラムなのか、コーヒーにブレンドしてあったものを、店主に聞けばよかったと何度も後悔した記憶があります。

そのくらい、とても美味しい飲み物でした。

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