毒親に育てられた天才
7年ほど前の初夏、定期さんがみんな生理になり、暇を持て余した私は数年ぶりぐらいに近所のホテヘルに出かけた。
お相手してくれた19歳HカップなのでHちゃんと書く、ラブホまで行く道が口数少なく暗い。きっと仕事で嫌な思い、いっぱいしているのだろう。あとで聞いたけど、本番強要ばっかりらしくて断れないと。
定期さんに絶対病気うつしたくないので、フェラチオは断って、膣はさわらずおっぱいとお尻ばっかりさわっていた。本番強要しなかったからか、ポツポツと明るく話してくれるようになった。手コキしかいらないという客も珍しくて目立ったのかもしれない。
好みのぽっちゃり体型にも惹かれて、店に2回行った。2回目につい連絡先を渡すと、たまに世間話をくれるようになった。定期さんに忙しく、もう店に行く気はなかったので、ペイペイで5,000円送ったりしていた。
4ヶ月経った秋、彼女から財布失くしたというLINEが来た。ここ10年で4回ほど財布を失くした話を聞いたけど、たいてい客やカネを呼ぶためのうそである。またその口だろうとはぐらかそうかと思ったけど、たまたまその日は暇だった。
「1万円あげるからご飯食べてくれますか?」
と誘うと、2つ返事で乗り気で来てくれた。
待ち合わせ場所聞いたら、なんと自宅の住所書いてきて車で来てくれていいと。思ったよりピュアな子かもしれない。店よりうちに近い、すぐ隣の駅に迎えに行き、ちょい落ち着いたただのファミレスに行った。
学費が払えなくて働かざるを得ないと。奨学金は、親が全部使い込んでしまった。父親からささいな事で理不尽に殴られて育ってきて、顔にも小さな傷がある。追い詰められて、手首にも少し傷がある。
中2まではバカだったけど、リビングに居るのが嫌で自室で勉強を始めた。そんなに美人でもないし、このまま行くと絶望的な未来しか見えない。家に居ると殴られるので、学校に午前5時に行って勉強するようになった。同情してくれた担任が、午前5時から勉強に付き合ってくれるようになった。この先生には、本当に今も感謝していると。
1年勉強して高校受験のころ、Hちゃんは学年でぶっちぎりの1位の成績になっていた。なにしろ、学校以外で1日10時間勉強しているのである。中3初めの内申点が悪かったこともあり、地域で3番目ぐらいの公立高校に行った。
高校でも勉強を続けた。トップ高ではなく3番手高なので、3年間影も踏まれないぐらい高校歴代類のない首席を続けた。大学の学費は親に期待できなかったので、ずっとアルバイトをして貯金していたが、その時間以外は午前2時までずっと勉強していた。
塾に行くお金は無いので、どうしても分からない時は学校の教師に聞いた。学校始まって以来の天才に一目置いてもらえ、親切に教えてくれた。あとは独学で、理解できるまで意地でも寝なかった。
ここで思ったのは、私は高校で勉強挫折したので、よく独学で偏差値79 センター模試で850点(芦屋市長に負けてない成績である)まで行けるのか。ずっと勉強していても参考書読んでも分からないものは分からない。Hちゃんの父は頭は悪くないらしい。母方の親族は高学歴が多い。サラブレッドのように、才能の血もあったのだろう。もちろん、彼女の努力が一番なのは言うまでもない。
東大理3もA判定だった高3になったが、学費どころか東京への引越し費用も何も出してもらえない。学費は奨学金で何とかするとしても、入学金も受験料も出してもらえない。それどころか、3年間アルバイトで貯めた頼みの貯金も親に使い込まれていた。
受験前にアルバイトでなんとか受験料と入学金をまた稼ぎ、彼女は東京は諦めて自宅から通える普通の大学に行った。
そして、大学2年で私に出会うのである。もうホテヘルは辛くて辛くてと。
なんでこんな優秀な努力する娘なのに愛せないのか。フィリピンバーの女に入れあげているというHちゃんの親を殴りつけてやりたい。信じられない。もう会うな、通帳を隠せと強く言った。父と母も仲が悪く、また母の立場が弱くて言い返せないと。父は結構年収があるのである。妻と娘にお金を使わず、フィリピンバーの女にお金を湯水のように使う。
もう身体も精神もおかしくなってきているようだし、中退も考えている彼女を一人前にしてやりたい。話を聞いて帰ってきた夜、思い出してシアトルは泣いてしまったよ。
たとえ作り話でもいい、お金を捨てることになっても仕方ない。こんな時のために稼いできたお金じゃないか。彼女を一人前にしたらきっと日本のGDPに貢献するし、社会貢献になるに違いない。
私は、Hちゃんのパパになる事に決めた。
彼女は初めての事が多かった。旅行初めて 北海道初めて 新幹線初めて ちゃんとした外食初めて いちご狩り初めて 遊園地初めて 海外旅行初めて
そりゃあ健全だけのパパじゃないけど、父代わりにいろいろ楽しんで貰えたんじゃないかと思う。
以下、大学3年 彼女が20歳の時にくれたLINE
*****金銭面での支援もすごい助かるけど、期待してくれる人がいるっていうだけでもすごいモチベーションになるし、勉強する時も、就活する時も心の支えになってる。
お金の関係だけじゃなくて、シアトルさんのことは本当に尊敬してるし、学ばせてもらってます!
ちょっと関係は彼女でもないし、娘でもないような曖昧な関係だけど、シアトルさんのことは一人の人間として、大好きです。
これからもよろしくお願いします。*****
私が応援したことは間違いじゃなかった。すごくすごく嬉しい。
それから2年、逃げた来たひとり暮らしのアパートの家賃、学費、短期留学の費用、通学する車代、投資のやり方を教えその資金、全部出世払いという事で貸すことにした。 全部で計727万円だった。
彼女は21歳で宅建の資格を取り、もっと難しい不動産の資格も射程に収め、山ほど取った内定の中から不動産の就職を決めた。英検1級、中国語6級(6級が最難関である)の資格も持っている。TOEICも990点満点である。篠原涼子のハケンの品格みたいに、たくさん旅行の資格とかも持ってる。
ある日、彼氏を紹介したいという事でうちに挨拶に連れて来た。私とのパパ活をやめない条件で、告白をOKしたらしい。シアトルさんが居ないと今の私は生きていないし、今も暮らすことは不可能だし、一緒に認めて欲しいと。
「あなたと私で、Hちゃんを応援して行きましょう。こんな優秀な女性は居ない。」
初対面の男とパパは意気投合して、不思議な関係が続いたよ。こんな事あるんだ。
好きなタイプ、主夫にできる男と昔から言っていて、その条件を満たす優しい男だった。
彼女は間もなく、ほんの間もなく彼と学生結婚してしまった。少しでも早く、親の(形だけの)扶養を外れたいと。気持ちは分からないでもない。結婚してからは、Hちゃんと大人関係をするのはやめた。いつも、シルバーの安いそして気持ちのこもった婚約指輪をしていた。
毒親には結婚した事は一切言っていない。家も教えていない。優秀な素敵な娘に親は、縁を切られてしまった。この親にそれを楽しむ資格など無い。
22歳大学4年。転勤は無いので家賃がもったいないので家を買いたいと。
学生でローン組めないので、私が4,000万円得意の出世払いで貸すことにした。
そして、26歳になったHちゃんが、いまどうなっているかと言うと。
もうすぐ幼稚園に行く3歳の元気なHちゃんそっくりの息子がいる。夫くんは、専業主夫としてすべての家事を引き受けている。
「Hちゃん、猫とうさぎの世話以外、何にもしてくれないんすよ。子守りの話聞いて欲しいのに、仕事で疲れてるからうるさいって。家庭を顧みないパワハラ夫みたいですよね。」
シアトルは、彼氏のグチを聞きながらの将棋友達である。
彼女は、2年で不動産会社をやめ、中国人に不動産や輸入を手配する会社を起業した。あっという間に、4,727万円は利息付いて価値3倍返ってきたと書きたかったけどそうはいかず、でももう半分近く繰上げ返済してきてるのである。
1年目から大きな黒字で回しているのは、大したものである。
Hちゃんは身体が弱い。よく風邪をひくし、若いのに胃潰瘍が持病である。もし医者をやっていたとしたら、厳しい研修医の時代に倒れていたんじゃないだろうか。
10年後どうしたい?と聞くと、
「手持ちの収益不動産を増やして、家賃だけで遊んで暮らせる状態に持っていきたい。シアトルさんが理想。猫とうさぎに囲まれてのんびり暮らしたい。そしたら、夫に内緒でグアム旅行しませんか?」
だって。君ならきっと、本気でやれば株式を上場できるんじゃないか。私よりずっと金持ちになるんじゃないだろうか。
残り人生、こんな娘にあと3人ぐらい出会って、お金貸しまくって死ぬのもいいなと思う。パパ活女子10人同時に沖縄旅行に連れて行くのが、死ぬまでの最後の目標です。