通り過ぎた女性たち2 人妻篇前半

【人妻の取説】

 宇宙倶楽部には人妻がチラホラ登録している。プロフィールに既婚と明記している女性もいるが既婚であることを隠している女性会員も少なくないとジョーは睨んでいる。宇宙倶楽部には隠れAV嬢が散見されるように。
 揶揄している訳ではない。既婚であることを明記して顔を晒す方がよっぽどリスクがある。そのリスクを超えた事情があるのだろうけれど。同時にオトウサマ活動が世代的にも拡がってより一般的になったという証左でもあるのだろう。
 男性会員の既婚女性に対する好みは別れる。質問掲示板などを見ていると「既婚女性にオファーすることはないし、既婚と分かった時点で交際を中止する」という男性会員も一定数いる(むしろ多数派かもしれない)。
 彼らの言い分はいくつかあるだろうが、「危険過ぎる」というのもその一つのようだ。確かにバレた時の影響は未婚であった場合より遥かに大きい。独身同士なら倫理的な問題はともかくといて法的なレベルにまでもつれる?可能性は低いだろう。しかし危機管理能力が人一倍低いジョーは「危険」という理由で人妻との交際を避けることはない。第一「危険」は恋のエッセンスじゃないかと言いたくなる。
 と言いながらジョーは既婚者と分かっていてオファーしたことはない。しかしそれはただ単に好みではなかっただけのことで、もし好みの女性ならジョーは躊躇しない。
 実際オファーしてみたら既婚者だったということは一度や二度ではなかった。彼女たちが登録した理由はさまざまで金銭目的が基本であることは若いオトウサマ活動女子と変わらないが「旦那が女性として見てくれない」という理由もあるようだ。にわかには信じられないかもしれないが昔のようなときめきや性的な満足を得たいという既婚女性も少なくないというのがジョーの見立てだ。だから「実は私、既婚者なの」と告白されるといつも以上にムラムラする。ねえ、人妻って、なんか柔らかそうでしょ?性の喜びも知ってそうだし。違うかしらん?って誰に向かって言ってるの?
   既にコラムに登場させたことがあるが、ジョーにとって性の喜びを知り、柔らかそうな人妻は断然サツキだ。サツキとは宇宙倶楽部ではなく、ジョーの属する業界団体を通じて知り合った。付き合うまでは紆余曲折があり、簡単ではなかったし、時間も掛かった。いくかの制約があったが、最初その制約はむしろジョーには好都合だと思っていた。しかし実際にはそうではなかった。人の心は自分が思っているほど上手くコントールできないことをジョーはサツキとの付き合いの中で知ることになった。
 サツキは美人にカテゴライズして問題ないと思うが、それ以上に「エッチが好き相」は本人も含め、誰もが認めるところだ。ジョーがこれまでに出会った女性の中でも間違いなく、イチニを争う「エロ相」な女性だった。「エロ相」な女性が実際エロいとは限らないが、その点でもサツキは期待を裏切らなかった。「いい女だったな、サツキはエロくて」とジョーは今でも時々つぶやくことがある。そしてそのつぶやきは愛しい人との付き合いが終わるとき、いつもジョーの口から漏れた。
  エロいからといって、サツキはだらしのない女性では決してない。子供は年頃の女の子と口では「うるせえんだよ、バアバア!」と言いながらまだまだママボーイの男の子がいて、二人の良きお母さんでもある。旦那さんとの関係も悪くない。夫婦性活はほぼ毎週あり、サツキが満足する前に旦那が逝ったら翌日リベンジするというのが夫婦の決まりだという。そんなルールのある40代の夫婦をジョーは知らない。
 旦那さんは京都では名の通った会社の経営者だが、三代目で人は良いけど、ボンクラという評判だった。しかしサツキの支えにより旦那が社長になってから社業はむしろ順調で、実質的な社長はサツキだというのが、周囲の一致した意見だった。
 夫婦円満で、頑張り屋でもあるサツキがどうしてジョーの好意を受け入れてくれたかは今でも謎である。その点について問うとサツキからは「私、ジョーさんのようなお坊ちゃまに弱いのよ」という返事が返ってくる。    
 自分で言うのは憚られるが確かにジョーはお坊ちゃまだ。しかしお坊ちゃまには洗練されたお坊っちゃまとそうでないお坊っちゃまの二種類がある。当然ながら?ジョーはどう考えても後者だ。そしてサツキの旦那さんも同類だと思われる。普通、同じタイプは選ばないと思うのだが、そこがサツキの人の良さなのだろう。

【40代サツキの場合】

 過去にジョーとお付き合いのあった、コイさんにしろ姫にしろ、結婚した時、「これでジョーと対等になれた」と言った。へえー、そういう考え方があるのかと思ったものだ。でもこの考え方は多分一般的とは言い難いだろう。少なくても日本ではまだまだジェンダーギャップが大きい。
  既婚者同士が不適切な関係を結べば、W不倫と人は呼ぶ。既婚者同士だからその罪は「対等」であるはずだが前述の理由でとても対等とは言えないだろう。
 一般に人妻の方が圧倒的に忙しく、家庭内の責任も重い。それに対して既婚男性は相手の忙しさに無頓着で、「お互い、既婚なんだから」という謎の言い分を印籠のように振りかざす傾向があるように思う(もしかしたらジョーだけかも)。そして関係がバレた時の影響は女性の方が大きいし、そもそも男性側はバレないと根拠なく信じて(願って?)いるように思う(これもまたジョーだけかも)。
 「お前が言うな!」と言われそうだが、他人の奥様と付き合う場合にはより慎重に行動しなければならないし、男性が想像する以上に女性の制約が大きいことを肝に銘ずるべきだ。しかしそれができる男性は多くはないだろう。そしてジョーもまた肝に銘ずることのできない男性の一人である。もちサツキを頻繁に連れ廻したわけではないが(物理的に不可能だった)突拍子のない、でもおそらく断りにくい魅力的な提案をジョーはしばしばしたのでサツキを困らせた。
 ジョーの誘いを受ける時間を作るためには家族に嘘をつかなければならなくなる。それはサツキには耐え難いことだった。多分普通ならここで交際は終わっていたことだろう。しかしジョーと付き合うためサツキは体操に例えればI難度「ナゴルニー後方屈伸3回宙返り」並の高度な技を使ったのだった。
 サツキは旦那さんにジョーの存在を告白した上で、付き合いの許可を懇願した。何が「普通」かは厳密にいえば簡単ではないけれど、この方法はどう考えてもやっぱり普通ではない。そしてサツキ自身も許可されるかは置くとしてもこの告白をしても夫婦関係が破綻することはないと知っていたから行動できたのだろう。
 サツキたち夫婦には謎のルールがあってお互い好きな人ができたら隠さないというものだ。実際に付き合えるかどうかは話し合いによる。今までこのルール?を過去旦那さんは2度発議し、サツキは3度発議した。話がややこしいのは発議=交際ではないことだ。国連の常任理事国のように拒否権があり、サツキは旦那さんによる発議に対して2度とも拒否権を行使して一度も認めなかった。思いのほかサツキは嫉妬深いようだ。旦那さんの方も2度行使し、サツキが実際に交際できたのは過去1度だけだ。よく考えてみれば(或いは考えなくても)夫婦で乳くり合っているともいえる。
 兎にも角にもジョーとの交際については旦那さんの拒否権が発動されることはなく、無事?サツキと付き合えることになった。

【サツキとの交際条件】

 まずはLINEグループが作られた。サツキとの交際に関して旦那さんはあれこれと注文をつける。
ルール1  グループライン以外でサツキと連絡を取らない
ルール2  逢瀬は月に2回
ルール3  シンデレラタイムの厳守ルール4  必ず中出し

  難しかったのはルール2だ。
 ジョーは当初、ルール2の「2回」というのは「2回まで」という意味だと思っていた。母として妻としてそして時には恋人してサツキは多忙を極めていたから月に2回の逢瀬でも簡単ではない。だから「今月は難しいなあ」と思って鷹を括っていると、旦那さんから「今月はまだサツキを抱いてもらってないんですが」というLINEがきて、ジョーを驚かせた。
 その頃ジョーは京都在住で、お茶の稽古に行けばほぼ必ずサツキに会えた。彼女とのセックスはもちろん楽しみだったけれど、稽古の時、顔を見ることができて少しでも話ができればそれで十分満足だった。しかし旦那さんの思いは違っていた。
 何に対し性的興奮をするかは個別性が強く、他人の性癖をとやかく言うつもりはない。旦那さんは他人の残り香(精子)のするサツキ自身にしか自分の如意棒を挿入する気がしないという(そういう性癖の男性が少数派だがいるのは理解しているが外見に似合わず潔癖気味のジョーは信じがたい)。
 だからある月にジョーがサツキを一度も抱かないのは彼にとっては重要な問題だったのだ。しかしながらここが自分勝手というか不思議なところなんだけど、サツキが時間を作れるよう協力をするかといえばそうではない。サツキはとにかくスケジュールがタイトでお茶の先生でもあったし、社業、家事全般、そして子供達の習い事の送り迎えや、当番なども一人でこなしていた。その中の幾つかは旦那さんでも出来ることだが、積極的に関わろうとしない。そういう旦那さんにサツキはしばしば愚痴を漏らしていたが、サツキの言動を見ているとだらしない旦那を甘やかすことに快感を覚えているとジョーには思えた。

【サツキとの楽しい日々】

 いくつかの面倒なことはあったけれども、それでもサツキとの逢瀬はいつもエキサイティングだった。事前にLINEでおおよそのデートプランを示し、帰宅時間を付記した。旦那さんにとっては後者がより重要だった。なぜなら帰宅と同時に残り香のするサツキを襲うことが彼の楽しみだからだ。そしてジョーもまた彼の妄想に沿うべく予定よりも早く帰宅できるよう気を配った。互いの性癖は異なっていたが、同じ変態同士気持ちはよく分かっていたつもりだ。おかしな物言いだがある意味でサツキ以上に旦那さんとは相性が良かったかもしれない。
 サツキとの逢瀬ではセックスはマストだったし、帰す時間が決まっていたから時に慌ただしくなったが食事も必ず楽しんだ。気軽な店からフォーマルな店まで様々だったが、サツキは好き嫌いなくどの店も喜んでくれ、楽しんでくれたと思う。時間に余裕がある時にはバー巡りに付き合ってくれる程度にはお酒を飲めたこともサツキを特別な女性にした。
 これはもしかしたら意見が分かれるかもしれないが、京都の料理屋レベルは高いと思う。和洋中、ジャンルを問わず二人で楽しんだ店を思い浮かべることができる。基本一見さんお断りか超高額店は含まれていない。一度だけサツキのリクエストで予約困難な超高額店(支払いは2人で15万)に行ったことがあったが、味の点でも、そしてジョーの財布にとっても楽しめる店ではなかった。
 二人の好みは雰囲気の良い、こぢんまりした店だ。お酒のラインナップはそれなりであって欲しいけれど、それはマストではない。サツキと相談しながら次のお店を決める作業は楽しいものだった。グループラインでしか連絡を取り合えなかったから忍び逢う恋の秘匿性は皆無だったけれど。
 一度こんなことがあった。
 その日は食事の後in&outを楽しみ約束した帰宅時間には少し時間があったからタクシーを飛ばして二人の思い出の、そして一番お気に入りのバーへ立ち寄った。
 このバーについては何度かコラムに書いたことがある。祇園四條畷通り沿いを東へ一本入った通りにあるバーだ。元々はお茶の師範宅を改装した店で、京町家の典型的な文法法則を生かした店作りをしている。つまり間口が狭く、時にウナギの寝床と称される細い路が続くが、その先には入り口からは想像できないほど大きな本宅が現れるのだ。こういう作りは我々のような忍び逢う仲(本当は忍んでないけど)にこそ相応しいとジョーは思う。そんな二人を包むのは夜霧ばかりではないと裕次郎に言いたいなるくらいだ。
 まだサツキと付き合えるとは夢にも思っていなかった頃、初めて二人で食事をした後、立ち寄ったのもここだ。その時はカウンター席が満席で、奥にあるかつては茶室だった個室に案内された。そしてジョーには珍しく、積極的にアプローチし、初めてキスをしたのもこの店だった。
「ねえ、初めてここに来た時のこと覚えている?」
「もちろんよ。あの後鎮火させるのが大変だったんだから」
 その時別れた後にくれたLINEと同じセリフをサツキは再び呟いた。
   この日はいつも以上に激しく求め合った日で、二人とも満足し、鎮火した日だった(多分)。ジョーもサツキも和装だった。和装は脱ぐのはそれほどなくてももう一度綺麗に着こなすには時間がかかるものだ。男性の着付けはそれほど難しくないが、京都に来てからしばしば着物を着る機会があったから着付けも素早くなったし、綺麗に着こなせるようになった。サツキの方も着付けは免状を持つほどの腕前だった。少しだけジョーが手を貸せば思いの外時間はかからない。どうしてもこのバーに来たかったから前述したように素早く着替え、タクシーを飛ばしてここにやって来たのだった。
 こういう訳で、今宵の一杯はいつも以上に美味しく感じられる。サツキは洋梨のカクテルを、ジョーはなかなかお目にかかれない「あかし」のシングルモルトをツーフィンガーロックにして注文した。そして今宵の逢瀬について、はたまた互いのプライベートな話、例えばサツキの方からは、高校生になったお姉ちゃんに彼氏ができたらしく、その一挙手一投足が気になること、弟の方は野球に夢中で、試合での活躍が何よりの楽しみであること、ジョーの方からは画家である妻に絵の新規注文がいくつかきて調子に乗っていることやオサム君と始めた新規事業のことを話した。
 今から思えばこうした何気ない会話がジョーにとっては人生の宝物だったと思える。もちろんサツキとのセックスはいつも楽しかったし、エロいシーンもいくつか思い出すことができるがジョーの体に刻まれているのはなんと言ってもサツキの言葉だ。彼女の言葉をジョーはまるで手に取れるかのようにアリアリと思い返すことができる。と同時にそんな思い出に耽るときは精神状態が不安定なことが多いから、体の奥から後悔の念が湧いてくる。いや、正確にいえばジョーは後悔も反省もできない人間なんだが。

  そろそろ店を出る時間になった。テーブルで会計を済ませる。
「店の前でタクシーを拾おう。その前にトイレに行ってくるからちょっと待ってくれない」
「ごめん、さっきから旦那が早く帰ってこいってうるさいのよ、ここで失礼してもいい?」
 正直にいえばトイレに何十分も掛かる訳ではないから、お別れのハグがキスをするためにも少しだけ待っててくれても良さそうだと思った。でもサツキにとって旦那の命令は絶対で最優先事項であることもジョーは知っていた。
「分かった。今日は楽しかったよ。この後は旦那と楽しんでね」
 できるだけ快活に言ったつもりだったが、ジョーが不機嫌なのはバレていたかもしれない。特に最後のセリフは嫌味だったからその言い方にはトゲがあっただろう。サツキは何も気にしないような様子で「いつもありがとう、またね」と言って店を後にした。

 これはずっと後になって知ったことだが、この時旦那さんは我々とは反対側のカウンターに座っていた。そしてサツキの携帯はオープンになっていてその会話を盗み聞きしていたのだ。会話内容が彼を刺激したのは間違いない。ジョーがトイレに行っている間、旦那さんはサツキをタクシーに乗せ,ジョーたちが先ほどまでIN&OUTを繰り広げていた同じホテルの同じ部屋に行き、互いに狂ったように求め合ったという。
 この時ジョーは全く気づいていなかったが、その後行動がエスカレートしていく旦那さんに対してかつては感じていたシンパシーより息苦しさを感じるようになっていった。

【その後の経過】

 徐々に旦那さんの要求はエスカレートしていった。逢瀬の日時や場所も指定されるようになり、それにジョーやサツキが合わせなければならなくなった。今から考えるとそれは自分の都合を最優先させたもので、二人の逢瀬を都合よく監視できるように場所も指定したのだった。同じ変態として彼の妄想に付き合いたいという気持ちもあった。と同時に結局ジョーは彼ら夫婦の性生活の出汁に使われていると感じるようになり、面白くなかったし、自分が思い通りに逢瀬をコントロールできないイライラも募ってきた。
  それ以上にジョーを苦しめたのはサツキが旦那さんの提案に一切異議を挟まないことだった。もしかしたらサツキもまたジョーの気持ちを弄んでいるのではないかという疑念はジョーを何より不安にさせた。
 それでもサツキに会えば全ての疑念は嘘のように消えていった。なぜってサツキは待ち合わせの時、いつも満面の笑みを浮かべてやって来たから。そしてジョーを認めると大きく手を振りながら近づいて来たから。そしてハグ。時にはキス。旦那さんほどではないにしろ、サツキの顔は京都市内ではまあまあ売れているからハグもましてやキスは誰が見ているか分からない。いくら公認といっても問題がある。でもだからこそ、会う前は不信感でいっぱいだったジョーの心が100%の信頼へと変わっていったのだった。もちろんそんなサツキの態度が演技であるということは十分あり得る。でもこれが演技だとしたらジョーは何も信じられなくなるだろう。

 そろそろ反転攻勢だ。もう旦那さんの指図は受けない。サツキの誕生日が近づいていたので、グループラインで一つの提案をしよう。もしこの提案が受け入れらなかったら、サツキとの付き合いを辞めるつもりだった(でもこの時点ではできなかっただろう)。
 お茶の稽古の後、他のメンバーもいたが近くのレストランで恒例の食事会があった。普段は意識して遠く離れた席に座ったが、その日はサツキの隣席に座った。食事の途中、できるだけさり気なくサツキに尋ねた。
「もうすぐ誕生日だね。何か欲しいものある?」
「子供頃のように楽しみではなくなったわ。またおばあさんになるのね」
 いつもなら話を広げるところだが、そうするとエロいことを言いそうだったから無視してさらに尋ねた。
「何かプレゼントしたいんだよ。リクエストくれない?」
「気持ちだけで十分よ。貰ったら旦那に怒られるし」
 また旦那かい!ジョーの心に火がついた。
「じゃあ、その愛しの旦那さんに買ってもらう予定があるのかな?」
「メガネをおねだりしようと思ってる。まだ言ってないけど。フレームが緩くなっているし、そもそも度があんまり合ってないの」
 サツキは視力がものすごく悪い。普段はコンタクトだけど、メガネの方がモノがよく見えるという。サツキとの会話はここで終えたけど、 食事会の直後早速ジョーはグループLINEに次回逢瀬のプランを書き込んだのだった。

 【サツキの誕生日にそして…】

 LINEに次のような提案をした。
「サツキの誕生日である◯月◯日にメガネの街、鯖江へお連れします。サツキが気に入ったメガネをプレゼントするつもりです。鯖江で食事をし京都着は22時。いつものホテルに寄った後、日付が変わる前に解散します。ホテルまでの迎えをお願いします」
 わかりにくいかもしれないが、これまでの提案と比べればかなり攻めた提案だ。もっと早く帰ることもできるがあえて京都着最終のサンダーバードを選択した。これまで「ホテルまでの迎え」を提案したこともなかった。おそらく旦那さんはジョーと入れ替わりでホテルに入り、サツキを犯すだろう。という妄想はジョーを興奮させ、ささやかな優越感に浸らせた。
 旦那さんの方からは「お迎えの件了解です」とだけ返信がきた。いつもよりは遥かに短く素っ気ない返信だったがかえって彼の興奮具合を想像できた。
 当日は京都駅で待ち合わせた。本当は着物をリクエストしたかったけれど、鯖江では少し歩くかもしれなかったから、サツキは普段着でやってきた。ベージュのブラウスに薄緑のロングスカート、黒のジャケットを羽織っている。比較的シックな出立だが、顔の作りが派手だからかえって彼女のエロさが引き出されていた。服を脱げばガーター&Tバックだし。
 さあ、目指すは鯖江だ。怒涛の1日はこうして始まったのだった(後半に続く)。

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