恋愛ワクチン 第九十八話 善と悪(2)
「解離性障害」で精神科通院中の処女の菜緒ちゃん。
会話は普通だし、むしろ知性は高く感じる。
ただ、どことなく不思議な違和感がある。
―通常、人は自分の存在をつながったひとまとまりのものとして認識している。過去から現在までの記憶が途切れなく続いていると感じ、自分がどういう人間であるかというイメージをもつことが出来る。自分の身体が自分のものであることを実感出来る。
ところが、解離性障害では、意識、記憶、思考、感情、知覚、行動、身体イメージなどが分断されて体験される。たとえば、特定の場面や時間の記憶が抜け落ちていてその間に自分らしくない行動をとっていることがある。―
菜緒ちゃんに感じた「違和感」を正しく伝えるために、初めの頃のデートを思い出してなるべく細かく描写しておこう。
混浴温泉に向かうドライブの途中、菜緒ちゃんは景色を眺めることも無く、ずっとマックさんの横顔を見つめ続けて、髪の毛を触ったりしていた。
菜緒ちゃん「〇さん(苗字)って、下のお名前は何て言うんでしょうか?」
マックさん「△だけど」
菜緒ちゃん「それでは私これから『△さん』ってお呼びして良いでしょうか?」
マックさん「気恥ずかしいなあ。みんな○さんって呼ぶから○さんでいいよ」
菜緒ちゃん「嫌です。△さんって呼ばせてください」
そしてまたしばらくしてから、
菜緒ちゃん「△さん」
マックさん「何?」
菜緒ちゃん「△さん、私のファーストキスを買っていただけないでしょうか?」
唐突でびっくりした。
これこれ、こういう違和感。
マックさん「ああいいけど、僕は大人ありだとお手当て5、大人無しで混浴温泉行くとかエッチな遊びに付き合ってくれたときは3って決めているんだ。前に話した通り、僕は複数交際だけど、お手当ては全員一律がポリシーだからそこは御免。それでファーストキスだけど、大人無しデートだから3のうちに入るのでそれ以上は出せない。しかし今日は初回だけど、少なくともキスのためにもう一回は確実にデートするよ、そういうことでもいい?」
菜緒ちゃんは軽く頷いた。
混浴温泉に着いた。
駐車場に見覚えのある車があった。ノブさんだ。
マックさん「こんにちは」
ノブさん「こんにちはー。今日は新しい娘ですか?」
ノブさんは混浴温泉の常連のワニさん。
混浴温泉用語というのがあって、ワニさんとは単独でやってくる男性客のことを言う。
女性やカップルさんが来るのをお湯の中に潜んでじーっと待っているからワニさん。
マックさん「そう、この娘20才の処女さんで、男性の裸を見たこともなければ見られたことも無いんだって。もちろん混浴温泉は初体験」
菜緒ちゃんは恥じらってマックさんの腕にしがみついて顔を赤くしている。
菜緒ちゃん「恥ずかしいです」
ノブさん「いいですねー。ご一緒させていただいてもよろしいんでしょうか?」
マックさん「もちろん」
マックさん達は3人で屋根のある中くらいの温泉場に向かった。
この温泉宿には5か所の温泉場がある。日帰り入浴は一人2千円でどこに入っても構わない。
その日は他に客もおらず、3人で貸し切り状態だった。
脱衣所で菜緒ちゃんの服をマックさんとノブさん二人がかりで脱がせる。
マックさん「はい、バンザイして」
ノブさん「このスカートは、あ、ここにジッパーがあるんだね」
菜緒ちゃんの下着が見え始めた。
マックさん「これまた綺麗なの着てきたね・・これひょっとしてワコールのサルート?」
菜緒ちゃん「はい、よく御存知ですね」
マックさんは女の子の服や下着を選んであげるのが好きだ。よく一緒に買いに行く。見覚えのあるデザインだ。
ノブさん「勝負下着かな?(笑)気合い入れてきたね。いや、よく似合ってますよ」
マックさん「それにしても、これ高いでしょ?よく買えたね」
菜緒ちゃん「高校の時にバイトしたお金で買いました。誰にも見せたこと無いんです」
マックさん「せっかくだから撮影しよう。菜緒ちゃん、両手で顔隠して。腕を上げて。脇を見せるみたいに。そうそう、それで胸もしっかり撮れるよ」
下着姿をまずは写真に収めた。
下着を脱がせて全裸にした菜緒ちゃんを、ノブさんと二人で促して、お湯へと向かった。
ノブさんは身長が180cmを超えるが、一物も大きい。
マックさんもLサイズでそれなりに太さはあるが、ノブさんはLサイズのコンドームではきついそうだ。
聞けばXLサイズとのこと。
そんな巨根が半立ちである。
男性の裸を始めて見る処女さんには、教育上よろしくないような気もする。
マックさん「ノブさん、菜緒ちゃんの裸が綺麗で可愛いから、もう半立ちだよ」
菜緒ちゃん「恥ずかしいです」
マックさん「ノブさんのは、普通よりかなり大きいから、ちょっとびっくりしたかな?」
菜緒ちゃん「恥ずかしいです」
菜緒ちゃんを真ん中に挟んで三人で並んでお湯に漬かった。
マックさん「いやあ、暖かくていい気持だね。せっかくだから、ここでも撮影しよう。菜緒ちゃん、立ち上がってごらん」
菜緒ちゃん「恥ずかしいです」
さっきから、恥ずかしいです以外の言葉を発さなくなってしまった。
それでも指示には素直に従う。立ち上がって少し離れたところに移動してこちらを向いた。
マックさん「顔は隠していいよ。さっきみたいに腕上げて脇見せして胸はよく見えるようにして。そうそう、動画で撮るからそのまま一周回ってごらん」
ノブさん「パイパンですねえ。剃ってるの?」
菜緒ちゃん「薄いんです。剃って無いです」
よく見ると長い毛が申し訳程度に生えているが、縦筋はくっきりと見える。遠目には脱毛しているとしか思えない薄さだ。
腰も細いし、まるで思春期の少女みたい。
(続く)