恋愛ワクチン 第十七話「純愛」

自分の造精機能が衰えていくなんて実感は想像できない

夜景の綺麗なコーナースイートルーム。L字型のソファが、突合せコーナーガラスの窓に向かって置かれていて、マックさんと女の子は高層階からの夜景を楽しむことが出来る。

しかしマックさんも女の子も、夜景を眺めてはいない。むしろ、夜景に「見られている」。

なぜなら、マックさんは着衣だが、女の子は全裸だからだ。恥ずかしそうにマックさんの胸に顔を埋めて抱かれている。

マックさんは彼女の長くて柔らかい髪と、背中からお尻にかけての曲線を撫でながら、もう小一時間もこうしている。
 

時折のささやくような会話。言葉での愛撫だ。


ふと窓の向こうの夜景を見て思う。マックさん年を取ったなあ。

30代40代の男性には、自分の造精機能が衰えていくなんて実感は想像できないでしょう。「ある日赤い玉が出て終わり」なんて話聞いて若い頃のマックさんも笑い飛ばしていた。

実際は、ある日終わるのではなくて、ゆっくりと井戸が枯れていくように、だんだん精液の量も濃さも落ちていく。

しかし、女性に対する心の中での渇望は変わらない。気持ちだけが取り残されていく。不思議な感覚です。

結果、女性に対する愛撫や前戯が長くなる。終電に間に合わせなければならない忙しい女の子にとっては厄介なおじさんだが、今日は馴染みの女の子とお泊りだ。時間をかけてじっくりと楽しむことが出来る。

ときどきお尻を撫でる手を少し先まで進めて、膣口の濡れ具合を確認する。もうトロトロだ。指先が触れるだけで全身がびくつく。
 

この子、初体験は高一だったそうだが、体が弱くて体育はいつも一人だけ教室で自習だった。

見回りが定年再雇用の老先生だったのだが、その先生がおとなしそうな彼女に手を出した。

週二回、会うたびに、髪を撫でて、キスして、ペニスを見せられて、触らされて、しゃぶらされて、それでも先生、彼女の処女に手をつけるのは躊躇していたようなのだが、じらされ続けているうちに、なんと彼女、処女なのに自分から「挿れてください」と懇願したそうだ。

だからこの子にとっても、じらしにじらされるのは懐かしい感覚のようで、マックさんとは相性がいい。
 

彼女に「絶対に浮気は許さない」と言っている

さて、こんな話を書いていて、どこが表題の「純愛」なんだ?といぶかしがるかもしれませんが、女子大生の彼女は最近、30代の彼氏との関係で悩んでいた。

彼氏に20代後半の彼女がいることが判ったからだ。

どうしたら、自分だけの彼にすることが出来るだろうか?自身は交際クラブでパパ活しているくせに虫が良い話だが、棚上げ行動と言うのは人間に付きものだし、奨学金を返さなければならないという建前もある。

20代後半の彼女とメールで直接対決して、彼氏にも迫ったそうだ。20代後半の彼女は地味な容貌で、絶対に自分のほうが魅力的だし、事実、彼氏も「別れたくはない」と言ってくれた。

しかし、どうもまだその彼女と別れてはいないようだ。

それで人生の先輩であり、男性の端くれでもあるマックさんに、助言を求めてきた。マックさん、女性から見るとよほど話しやすいのか、この手の相談受けることがとても多い。

「うーん、僕の経験だと、そういう風に男の人を追及すると、その場は解った解ったって言っても、あなたに対して嫌気が生じて心が離れていくと思うよ」

「じゃあ、どうしたらいいんですか?」

「そうだなあ・・僕の過去の女性で長く続いた人は、自分にとって嫌なこと悲しいことからは、自分で情報を遮断するタイプだったなあ。見なかった、聞かなかったことにする」

「そんなことできません。普通の女性は気になって追求しちゃいますよ」

「大多数はそうだけど、遮断できる子っているみたいだよ。空想癖があって、ぬいぐるみ相手に何時間でも一人遊びできるような変わった子だったけど・・器用に都合のいいところで現実逃避できるのかな?」

一方、彼氏もまた、彼女に男がいるのじゃないかと疑っているそうだ。

彼の直観は正しい。ただし、男といっても、私を含めた交際クラブのパパたちだが。

自分のことは棚に上げて、彼女に「絶対に浮気は許さない」と言っているらしい。どっちもどっちだ。

「私一人だけを愛してくれる浮気しない男性っていないのかなあ」

「自分のこと棚に上げてよく言うよ(笑)」

そう言いながら、マックさんは一人の男性を思い出した。
 

一人の相手と一途に、っていうのが一番しっくりくる

昔からの知人で、建築関係の社長だ。

マックさんと同じくバツイチなので、先日会った時に交際クラブのことを教えてあげた。

「へえ、そんな仕組みがあるんですか」

「僕も知人に教えてもらって入ったんだけど、いろんな子と会えて楽しいよ」

「興味はあります。実はいま、付き合ってる彼女がいるにはいるんですが、気は合うんだけど、どうも夜のほうが相性いまいちで」

「それなら早速入会するといいよ。仲間が増えると僕も楽しい」

「そうですね。二、三ヶ月待ってもらえますか」

「・・なんで?」

「彼女と別れてから入会するので時間ください」

「いや、交際クラブだよ。お遊びだから、彼女とは別腹と割り切って考えればいいんだけど」

「自分、そういうの駄目なんですよ。けじめをきっちり付けてからでないと次行けないんです」

竹を割ったような真っ直ぐな性格なのは知っていたが、ここまで筋を通すとは・・。

こういう男性もいるんですね。

「純愛」って、いろんな定義が可能なんでしょうが、一人の相手と一途に、っていうのがマックさん的には一番しっくりします。マックさんのように多数と同時進行可能な人間には、純愛って、経験不能なものなのかもですね。

彼によれば、一度に一人しか愛せないのは、彼自身の問題であって、相手の女性が浮気するのは、その人がそうしたいのなら仕方がないそうです。決して良い気はしないけど。

一方で、相手に対して自分一途を求める、マックさんが今抱いて撫でているこの女の子も、虫は良いようだけど、相手に対しても一途を求めないマックさんよりは「純愛」に近いのかもしれません。

マックさん、従業員に「情は深いが愛がない」とよく言われるのですが、この辺が関係しているのかなあ。職場の女の子には全て公平に接する癖がついています。

「もう駄目。お願い、挿れてください」

「まだまだ、今日はお泊りで夜が長いからね。もっともっとじらすよ。」

挿れずにじらし続けるの究極が、いわゆるプラトニックラブなんだろうな。それもまた「純愛」か。

マックさん、この先、勃たなくなっても、こうやって女の子を愛し続けるような気がします。心が求めるから。そうなったらマックさん初めて「純愛」を経験できるのかもしれません。



マック

※「恋愛ワクチン」に登場する女の子は、マックさんが実際にデートした複数の相手とのエピソードから再構成しています。まったく一致する女性会員は存在しません。またデリケートな話においては、重要な個所を変更しています。

このカテゴリーの関連記事

外部ライターさん募集