私の容姿はまるで【こけし】のようだ。どこにでもいる普通の会社員。
毎月の給料は都内で生活するには贅沢をしなければギリギリ生活できるくらいもらっている。
年齢は人生の折り返し地点を迎えた。
結婚、離婚を経験しそれなりに人生の酸いも甘いもわかっているつもりだ。
気づけば何の欲もなくなっていた。
ここ何年も高価なものは買っていない。
洋服はリサイクルショップか若い女性向けのネットショップで購入。
たまに値下げされているGU。ユニクロは高くて買えない。
美容院は半年に1回、白髪はセルフカラーで染めている。
鞄や日用品はポイ活でためたアマゾンポイントで購入。
何か欲しいとか、どこかに行きたいとか、何か食べたいとか様々な欲求を知らない間に
押さえつけて生きていた。
今まではそれで良かった。何の不満もなかった。
しかし、コロナ禍になり自分と対話する時間が増えてしまい
私は急に不安になった。
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今のまま、ただ生きているだけでいいのだろうか?
元々男性経験が豊富なわけではなく、3~4年ほど何もなかった。
そんなあるとき、急に生理が止まった。
ストレスや過度なダイエットが原因ではなく、体が女性であることを忘れてしまったのだろう。
毎月の生理は厄介だし、面倒だけれど、いざそれがなくなると少し寂しい。なんとなく体毛も濃くなった気がする…
なんとかして女性である自分を取り戻さなければ!と思い立ち、女性用風俗をネットで検索したがなんだか怖いし、なにより値段が高い!
ホテル代とか諸々含めると普通の会社員が頻繁に払える金額では到底ない。
私の勤務している会社は副業が禁止なので、仕事終わりにバイトをすることはまず不可能である。
会社にバレないような仕事…
お酒が飲めず、会話も苦手、若くもないから水商売は無理だろう。
大学の時に風俗でバイトしている友達から、風俗は熊みたいな全身毛むくじゃらなおじさんが来ると聞いたことがある。
私は少し潔癖症で、だれかれ構わずそういったことをする根性がないから
風俗で働くことも無理だろう。
この資本主義の世の中で、お金がないということは選択肢を狭めることになる。
女性用風俗を利用できないし、大切な友人の結婚式に参加するのも一苦労。
会社の飲み会で5000円払う時は、胃と懐がキリキリと痛む。
人に誇れる資格や特技がない、誰でもできる仕事をしている私が転職したところで
今より給料があがる保障はない。
老後2000万円問題なんて、一生働いても今のままだと到底用意できるはずがない。
お金が必要だ
では、こんな自分にできることの選択肢として【パパ活】が浮上した。
パパ活という言葉自体は聞いたことがあった。けれど自分の人生と接点はないだろうと思っていたので深く調べたことがなかった。
むしろその言葉に嫌悪感を抱いてたくらいである。
簡単に要約すると、パパ活とは若い女性が自分の親の年齢くらいのおじさんとデートをして金銭的な援助を得ることだろう。
こういったことをしている人たちは普通の生活をしていると表面化して来ないから実際どのくらいの人たちがこのようなことをしているのかはわからない。
しかし、幸か不幸か私の周りにパパ活をしている人がいた。
実の父である。
父のパパ活
父は昔から女性関係は派手だった。娘である私が気づくぐらいだからよっぽどだと思う。
ここでは父のプライバシーに配慮して詳しく書くことは控えておくが、ある時父に
『俺の彼女~』といくつかのツーショット写真を見せられた。
明らかに私より年下の幼い風貌。大学生らしい。そこに写る父の姿は、私たち家族に普段見せているしっかりとした父の顔ではなく
すべての表情筋がゆるゆるに伸びきった赤い顔で満面の笑みの父親の姿だった。
世間では浮気、不倫、絶対反対!という風潮があるのは知っているが
こういった環境で育ってきたからなのか、私個人的には【やること】をやっていれば好きなことをしていいのではないか?と思っている。
ここで言う【やること】というのは、【ある程度仕事で成功していること】を指す。
もちろん他人に迷惑をかけないことが前提であるが…。
男性は~女性は~という議論をするのは今のご時世的に批判を受けるかもしれないが、
あえて言ってしまうと、男性はやはりもともと狩猟の血が入っていて、
何人も子供を作ろうと思えば何人もの女性を相手にして子孫を残すことができる。
しかし、女性は子供を妊娠している間は何人も追加で妊娠することは不可能である。
そういった体の構造からも女性と違って男性は複数の女性を相手にすることができるものだと私は勝手に思っている。
故に、ほぼほぼ大半の男性は浮気や不倫をしているのだと想像している。
だから父親のパパ活現場の写真を見てもショックは受けない。むしろここまで自分を育ててくれて、子供が親の手を離れた今、
第2の人生を謳歌してくれていることに安心感を感じる。そして相手の女子大生にも、
こんなおじいさんと食事に付き合ってくれてありがとうと感謝の気持ちを届けたい。
どのような形であっても誰かの役に立てるのは素直にうれしい。
私には、もうあの女子大生のような弾ける若さはないけれど、このパパ活とやらで私にも何かできないだろうか。
そしてその対価として少しでも金銭的に余裕ができたらうれしい。まさに一石二鳥である。
そうして私は静かにパパ活の扉を開いた。