実録:私が交際クラブで働くことになったきっかけ

20代の頃は、とにかく新しい出会いにワクワクしていたと思う。

仕事後の飲み会、週末のクラブ、友達の友達が後から合流する終電過ぎ。

初めて立ち寄ったバーでたまたま隣に居合わせた常連。

 

初めましてから始まり、その場に合わせたそれなりの会話をそれなりにして、

飲み物おかわりどうする?と同じぐらいの軽いテンションで交わす連絡先の交換。

 

そのあとは、自分の中での合格ライン(基準)を満たした場合、

そのまま相手の家に寄るのか、ホテルに行くのか。

それとも、焦らしプレイと称して、次の週末の再会のために、社交辞令オンパレードの連絡を交わしながら新しい一週間を過ごすのか。

 

私は、いわゆる出会い系の経験は、ほぼないに等しい。

そもそも当時の出会い系は、今のように、安全性を謳うところは少なく、そして情報もなく、訳アリの男女が使うような印象だった。

 

とはいえ、これまでの恋愛遍歴で言えば、人並みの経験はあるので、

彼氏がいるいないに関わらず、セフレがいたこともある。

ここだからこそ書ける話だが

彼氏がいてもセフレはいたし、いわゆるワンナイトだけで通り過ぎて行った人もいた。

 

(今ここで倫理観を議題に上げる気はないので、自分の過去を包み隠さず書いていこうと思う)

 

20代はそれで良かった。

次々と人が通り過ぎて行くことは、

四季が変わるように、雨が降っては止むように、強い風が何かをさらっていくのと同じようなこと。

 

また私も、誰かの横を過ぎ去っていった。

ありふれた下の名前しか知らない、ワン切りした携帯の番号しか知らない。

それを知って何の意味があるのかとさえ思っていた。。用が住めば、関係が終われば二度とかかってこないのに。。。

 

そんな風に、気にとめもしなかったのだ。

 

その中で、今でも忘れられない一つの出会いがあった。

あれは、27歳の夏。

いつもの週末の夜だった。

 

大学時代の友人と飲んでから2軒目3軒目と移動して行くなかで、その日の銀座は異様な混雑だったことを覚えている。

今は満席だと何軒も断られて、やっと入れた店の店員に、この週末のために、立ち飲み席を無理やり作ったような奥のスペースに促された。

暑いからと連続ビールでアルコール摂取をすると、トイレが限界だ。

とりあえず生ではなく、とりあえずトイレで用足しをしたい。

 

トイレ待ちには先客がいた。

後ろ姿しか見えないが、すらっと高身長で業界人ぽい濃いネイビーストライプのスーツ姿。

 

その人は、誰かと電話をしていた。

その手につけている時計にはロレックスの文字。

しばらくすると、その男性が振り返り、ふと目があった。

一瞬で感じた、「何この人、ちょっとタイプかもしれない」という女の直感。

 

男性「さっきからずっと待ってるんですけど、前の人なかなか出て来ないんですよ。もしかしたら、中で潰れちゃってるのかもしれません」

 

私「あ、、そうなんですね。どうしましょうか。お店の人を呼んだ方がいい、、のかな?」

 

男性「困りましたよね。。そろそろ出てくるかな。。。

今日はお仕事帰りですか?お友達と?(来てるんですか?)」

 

ただの待ち時間の間に、予想外にテンポ良く会話が進む。

アルコールがほどよく回り始めたので、なんだか気分も良い。

ほどなくして、トイレの中から千鳥足の男性が出てきた。

 

そのタイミングで男性から「良かったら連絡先を交換しませんか?」

待ってましたと心の中で微笑む私。

もちろん躊躇うこともなく、その場で番号を交換したのだった。

 

その日は、そのまま別れ、次の週末の仕事帰りに再び会い、

なんとも自然に、体の関係を持った。

SEXをしても何もどうにも感じない相手もいるのに、この人とは相性も良く、また会いたいと感じる人だった。

 

少しパーソナルなこと聞いてみると、某有名な映画の配給会社の役員で、44歳。

既婚者で子どもがいるそうだ。

相手が言うのなら私も、、、と、それなりに長く付き合っている彼氏がいることを伝えた。

 

「そりゃ、可愛いから彼氏ぐらいいるよね」

「こんなに素敵なんですから、とっくに結婚して奥さんがいるのも納得ですよ」

 

笑いながらお互いに褒め合った。

 

奥さんとは、セックスしていないのかな。不倫とかよくしてるのかな

 

セックスの最中、相手に興奮をしながらも、自分の中で湧き上がる疑問を問いかけていた。

それを決して聞かないのが、大人としての立ち振る舞いだと認識し、良い子を演じる自分にも酔っていた気がする。

 

お互いの状況もあったので、会うのは週末の夜で、絶対に泊まりはしない。

 

いつの頃からか、終電過ぎて帰る際に、

男性がタクシー代と言って私に2万円をくれるようになった。

 

タクシー代にしては多過ぎるよと伝えると、

「いやいや、これぐらいは渡すの当たり前だよと」

本当にいいの?と念押しし、それを受け取った。

 

お互いのプライベートを守ったまま、気づいたら半年が経過していた。

 

いつものようにセックスが終わったあと、男性からこんな風に切り出してきた。

「デートクラブって聞いたことある?」

全く聞き覚えのなかった私は、すぐに聞き返す。

どうやらその男性は、デートクラブに入会して、20代女性とたくさんデートをしていたらしい。

デートクラブのシステムについても、興味深く教えてくれた。

 

私「なんだかすごい世界だね。今も活動しているの?」

 

すると男性は、

「今は、一旦辞めてるんだ。

実は、すごく好きになっちゃった子がいて。

お互い本気になっちゃって割り切ってつきあえないと思って、距離をとったんだよね。

っていっても、もう数年前の話なんだけど。

 

もしかしたら、〇〇ちゃん(私の名前)

デートクラブに登録してみてもいいかもね!

結構楽しいよ!」

 

彼が本気になってしまった見えない女性に少し嫉妬をしながらも、こんなに素敵な人が入会しているんだ。。なんて興味深い世界があるんだと感じたのを覚えている。

 

デートクラブでは、どうやら、お互いのプライベートは干渉せずに、ほどよい距離感を保ちながら、お互いが求めていることを埋め合える相手を探せるらしい。

 

ただの出会い系と違うのは、

経済的に余裕のある男性と、大人のルールをわかっている女性が出会うため、

話も早く、トラブルになりづらいのだとか。

実は、、、その男性から交際クラブを教えてもらい、その数年後私は、交際クラブのスタッフとして働くことになる。

 

なんともすごい話なのだが、本当に本当の話だ。

 

その男性とはその後、自然に会わなくなったのだが、今でも、良い思い出として残っている。

 

大人は、常に本気の恋愛がしたいわけではない。

大人は、常に新しい誰かを探しているわけではない。

理由がわからなくとも、何か自分にとっては魅力的で引っ掛かる相手と過ごす時間は説明の難しい特別なものだ。

 

関係性が永遠ではないとお互いわかっているからこそ、深入りはしない。

お互いの言葉の投げかけに深読みはしない。

ルールの確認をせずとも、暗黙の理解が一線を引く。

 

誰に自慢するわけでもない。

だとして、ただのセフレで片付けることの出来ない間柄。

 

同じ会社にいて出会えたのか?

隣近所に住んでいて言葉を交わしたか?

 

あの日あの時

雑多な街で巡り合った彼は、私と交際クラブの間に縁を繋いだ特別な人だ。

 

期間限定ではあったが、コロナが落ち着き始めたついこの間、銀座の街で飲んだ。

しばらくぶりに降り立った街で思いだす。

 

きっと男性とすれ違うこともないだろう。

でもきっと、変わらず上手く幸せに暮らしているだろう。

そんな風に勝手に想像する幸せを、今、私は手にしている。

 

今日は、私が交際クラブに出会った、スタートのお話。。。

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