2020年10月21日
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アバズレ☆サンバ① 電気ネズミになりたい話(後編)

お次の舌打ち

※後編:セクシー注意

さぁ、リングイン(ベットインともいう)である。

さてさてどんなヤバいやつかなと内心ドキドキしているわけだが、
予想外にも甘い空気から始まった。

私の鼻すじから頬を胸を尻を、ゆっくりと優しく撫でていく。
「ロマちゃんいいよ~鼻すじが綺麗だぁ。あと色が白いね…胸も…うん、柔らかい…
 でもお尻だね…良いお尻だ…気に入った…気に入ったよ…」


私ごとだがロマネは尻がデカい。厳密にいうと骨盤がデカい。
産まれてこの方、引いたおみくじは全て「出産:安産。安心されたし。」と書かれてる。
どこの神も仏もそう言うのだからそうなんだろう。問題なのは安産するための相手がいないことだけである。合掌。

暫く私の身体を撫でまわし、最後に”試すように”私の尻を軽く叩く。
「うんうん。興奮してきちゃった。ねぇロマちゃん、こんなになっちゃったよ。
ロマちゃんのせいだよ?わかるね?だからね‥?」


男性が仁王立ちになり、ズイッと眼前にブツが現れる。
バッキバキのギンギン。中々のシロモノで無意識に身構えてしまう。

おずおずと顔を近づけ、その先っぽに唇を…


次の瞬間、物凄い力で後頭部を捕まれ目の前にあったはずのブツはあっという間に
私の喉を越え食道に収納された。ゴブッと排水溝が逆流したような音がする。

”イラマチオ”なんて生ぬるいものではない。これは挿入だ。

下の穴に挿入するのと全く同じような圧と速さで、上の穴にピストンをしてくる。

「喉の奥…気持ちよくなっちゃう///」などと言ってる場合じゃない。
酸素が足りない。明らかに許容量を超えたものが、喉の入口を優に超えてその先を塞いでいる。
息ができない、涙が滲み、胃液が込みあげてくる。
あ、ヤバいと思った瞬間、私の手が男性を突き飛ばしやっとブツは抜けた。
生存本能の勝利である。

ゴホゴホ咳込みながら酸素を胸いっぱいに吸い、
男性の様子を窺うとなんとも穏やかな”アルカイックスマイル”。
ニコニコと優しく笑いながら私をそっと押し倒し…
次は首が絞まった。

大男の大きい手が私の首を絞める。
絞める…絞める…絞め…え?まだ絞めんの?
1分ぶり、2回目の酸素が足りない状態である。

これはプレイではないのでは?殺人の予行練習かよという強さで
ゆっくりと確実に息の根を止めに来ている。
最初は苦しいですよぅなんて言う余裕もあったが、
間違いなく命の危険が迫っていることを感じる。
おかしい、なにかがおかしい。

みっともなく手足をばたつかせるも、
上から押さえつけてくる男に敵うわけもない。
抵抗むなしく視界が白くなり
ふっと意識が抜けたところで、漸く手が離された。
私がオちて、白目を剥いたからだ。


再びむせながら酸素を探す。
流石にこれはと睨みつけると男性は更に穏やかな優しい顔で私を見つめ、
ロマちゃんはキレイだぁ…キレイだぁ…やっと見つけた…好きだよロマちゃん…と
うわ言のように繰り返すだけである。


正直もう性欲なんてどっかにいってしまい、一刻も早くこの場を去りたい衝動だけが残ったが
男性は興奮してきたかな?じゃあ挿れようかと濡れてもいない下の穴に勿論”生”でぶち込もうとする。

「ゴムは付けて下さらないんですか?」
「ロマちゃんしたことない?生の方が気持ちいいんだよ?教えてあげる。」

あぁん♡今すぐ挿れてぇ♡と私が言うのを待つかのように、
入り口にすりすりと媚びるように擦りつけてくる。

しかしこちらだって、
そもそも誰を相手にしてもそうではあるが
とりわけこんなヤバいやつを相手に
生でどうぞとサービスしてやるはずがない。

「ゴムは付けて下さらないんですか?」
もう一度言う。

「…チッ」

仏の笑顔が一転、顔には”ま〇こ女がいっちょ前に喋るなよ”としっかりと書かれていた。

そしてもう不満を隠そうともせず、イラついた様子でゴムをつけると「ペッ」と、
潤滑液の代わりに私の入り口に唾を吐きつけてきたのであった。

ぶつかり稽古

勿論、まさかの挿入で相性抜群!!!びっくりするくらい蕩けちゃった♡なんてオチはない。
頭の中が帰りてぇなでいっぱいになり、心が死んでいるSEXというのはかくも空しいものなのか。
快感などなく、ただ出し入れされるち〇こに腰のリズムを沿わせるだけ。
それ以上もそれ以下もない。

ちなみに挿入中もタダでは終わらない。
〆はスパンキングである。

ほらケツ突き出せよ。突き上げてこいよ。と命令が下る。
まぁそう来るよねと素直に四つん這いで誘うように尻をフリフリと動かす。
程なくして、ぺしんっぺしんっではなくバツンッ、バツンッと手が振りぬかれる。

ロマネはあまりの気持ちよさで
「あんっ!」とか「うぅん♡」とか艶っぽい声…

の代わりに

「ウグッ…!」「アギィッ…」
激痛と、叩かれた振動で嫌でも口から押し出される”カエルの声”が響く。

ここまでくるともう驚きもしないのだが、恐らくこの男性は私と空気の入ったダッチワイフがスッと入れ替わったとしても気付くことはないだろう。
私がヒトであるかモノであるかは問題ではなくて、
唯々、欲望を発散させられたらなんでもいいのである。


ヒリヒリとした痛みなどとっくに超え、
針で刺されたような痛みに変わる。

ちなみに後から自分の尻を鏡に映したら赤い打ち身どころか、
肉が割けて血が滲んでいた。


ろまねはSMや特殊なプレイを否定する気はないけど、
どちらも双方の合意と信頼関係がなければやっちゃだめだと思う。
少なくともね、初めて会った女の子が自分から希望して言ってこない限り、
無体を強いるのは人としてダメ。

え?ろまね?今回一言たりとも言ってないけどね??????
あとアチシの性癖はスーパーノーマルなので特殊なプレイはちょべりばノーセンキューである。


皆様は私のしんどい話はこれで終わりだと思うだろうか。
はっきり言ってこんな程度の話はしんどくもなくて、
最後の舌打ちの内容こそが私にとって、
このコラムで一番しんどい話なのである。

試合終了

職業体験:ダッチワイフ の時間が終わった。
彼女(モノ)たちの苦労はこれほどのものか、忘れがたい経験をさせて貰ったものだ。

一方の男性はというと、
「ろまちゃんの穴、イイねぇ~。もう全部よかった!頑丈だね!多少のことじゃ壊れなさそうなところが俺好みだよ!
こんなに(都合の)いい子に出会えるなんてツイてるな~
また会おうよ!今後のお付き合い、考えてくれるよね?」

なんて呑気に言ってくるのである。随分気に入られたもんだ。
こっちは「このクソじじぃ二度と会わねぇぞボケナス」としか思っていないというのに。

その後も話は続き、バレーボール選手を組み敷いてやった時の高揚感、
デカい女が苦しそうに呻いて、涙を滲ませてやめて欲しいと懇願するのを見ながら
滅茶苦茶に腰を打ちつけて”中出し”してやるのが何にも変えられない快感だという話を聞いた。
(女がデカければデカいほど興奮するらしい)

ろまちゃんもこれから僕と付き合うなら中出しにも慣れて貰わないと~
ゴムは今回だけ特別だよ??と口を尖らせながら言う。

こいつのちん〇ん、腐ってもげねぇかな。
マジで。



しかし、満足げな空気が一転する事態が起こる。
それはベットの中で手を繋いでいた時の、何気ない一言だった。

「ろまちゃん、手大きいんだね?」
「そうですかね~?確かに普通の女の子と比べたら大きいかもしれませんね~」
「ふぅん」
妙ににぎにぎと揉んでいる。


また取り留めのない話をし、そろそろ帰ろうかとなったので
ベットにぶっ散らかったタオルをパンっと伸ばして軽く畳んでいると、
後ろから視線を感じる。

次にバスローブを布団から引っ張り出し、くるくると丸めていたらやはり視線を感じる。
振り返ると、男性が表情は冷たく、感情のない声で一言を発した。


「ねぇ、ろまちゃん俺に隠してることない?」
 

最後の舌打ち

さっきまでの猫なで声から一変し、何のことかと狼狽える。
何だろう?こなれた感じがする?男の影を感じた?
どこに綻びがあったのかと焦る私に、予想だにしていない答えが返ってきた。

「隠さないで欲しかったよ。正直に言って欲しかった。君のこと気に入ったから傷ついた。」

「でもね、俺みたいに気付く人は気付くから。騙されてあげられなくてごめんね。」





「ろまちゃん、君、本当は男なんでしょ?」



何を言われたのかわからなかった。後頭部を鈍器で殴られたような気持であることは確かだ。
血の気が引き、眩暈がする。
なんとか声を絞り出し、「なんでそう思うんですか?」と辛うじて聞いた。


男性は何かを確かめるようにペタリ、ペタリと私の顔に触れ、
そして胸を、尻を何かを探しているように揉んでくる。
「君、不自然なんだよ。全部。自分じゃわからないかな?」

「顔、自然じゃない。鼻、弄ったんじゃない?注射は打ったの?いやぁ、女みたい。良く出来てるよ。騙されそうだった。」

「SEXもさ楽しかったよ。頑丈で、遠慮しなくてよくて(笑)でも君、男の感覚を分かってる気がする。多分、同じ男だから分かるんでしょ?されたら嬉しいこととかタイミングとか。そういうとこもね、不自然なんだよ。」

「なんていうかさ、ツメが甘い(笑)俺にすら男だってばれちゃうのはさ。でも惜しい!もうちょっとだよ(笑)」



視界がチカチカしてボヤける。
あまりの侮辱と屈辱で体中の臓器が熱を持ち、怒りと吐き気でぐちゃぐちゃになりそうになる。
でも、これだけは聞かせて。


「貴方は、実際に手術をした方と、関係を持ったことがあるんですか?」

人工的な穴とか、棒のあった跡とか私にその特徴の片鱗が少しでもあったのだろうか。


「あるわけないじゃん。俺、女にしか興味ないから。オカマ女なんて気持ち悪いし。」


「じゃあ、私が本当に男だったかどうかなんて分からないじゃないですか」




「…チッ」



舌打ちをされた。
そこで会話は終わり。男性は心底軽蔑した顔をしながら、
数枚の万札を私に渡し…いや、宙に向かって撒いた。


撒くならもっと枚数多く派手に撒いてくれよとぼんやりと思いながら、
男性は身支度を整え振り返ることもなく逃げるように部屋を出ていった。
 

電気ネズミになりたい話

本コラムの冒頭に戻ろう。
私には「忘れ得ぬ記憶」がある。
トラウマとまでは言わないにしても、私を私たらしめる「核」に棘のようにブッ刺さった根深いナニか。
事あるごとに脳裏を過ぎっては私の自尊心をぐちゃぐちゃにし決して消えることのないナニか。


ロマネにとっては小学生の頃に流行った”〇〇ごっこ”遊びが、それから20年経った今でも抜けない棘だ。

国民的アニメで、モンスターをポケットに入れて旅をする話と言えば誰でも分かるだろう。
小学校低学年、皆で可愛いキャラクターを取り合ったものだ。
でも一番人気だったのは主人公から無条件で愛され、いつでも傍に置いてもらえる
黄色い電気ネズミ。

女の子達は交代交代、赤いキツネやピンクの丸いの、そして電気ネズミとして
可愛いキャラクターに成りきり、飼い主役に撫でられ可愛がられていた。
私はそれがいつでも妬ましく、嫉ましく。
涙が出るほど羨ましかった。

だって図体のデカい、愛らしくもない私に回ってくるのは火を噴く犬や馬ならまだマシで、いけー!やっつけろー!と
青い亀や赤い龍の役を与えられることがほとんどだったから。

”普通の女の子”は優しく撫でられ愛されるのに、
”男みたいな女”の私は背中を叩かれ、皆を守れと真っ先に壁にされる。
いつも、いつも、いつもだ。



嫌なことを思い出したわねんと、ため息をつきながら万札が散らばったベットに大の字になる。

ロマちゃん鼻すじが綺麗だねって言ったじゃん。
穴も相性がいいかもって、ケツもデカくて最高だって言ったじゃん。
君とのSEXは気持ちいいよ、って言ったじゃん。

散々人の身体で面白おかしく好き放題やっといて、まさか「この嘘つきカマ野郎!全部作り物のくせによくも騙したな!」って
どんなオチだよ。

はぁ~あ。ヤんなっちゃうなぁ。
こんな気持ちになるのも久しぶりだぁ。



結局、ごっこ遊びが流行った数年間、一度たりとも言ったことはないけれど
私だって電気ネズミになりたかった。
鞭で従えられる畜生ではなく、首を垂れてやっと存在を許される猛獣ではなく、
ただそこにいるだけで認められ、愛される。


「私も電気ネズミになりたいの」



「女」を売るこんなところですら、「女」として扱ってもらえないとは流石のアチシも大誤算。
今日も随分派手に吹き飛ばされて…参ったネ!!と1人ガハハッと笑ってロマネは帰る。
lineなんて交換してないけど、一応、男性のショートメール宛に簡単なお礼と、
社交辞令で"また機会があったら宜しくお願いします"と入れておく。
心にもなく白々しいが、まぁ返信が返ってくることは未来永劫ないだろう。


1人でトボトボとホテルの出口を通る。
通りすがりのガラス扉に今にも泣きだしそうな「女もどき」が映ったような気がしたのは、また別のお話。

Writer: 
エロイムエッサイムエロイムエッサイム!!さぁ、みんなまとめて閻魔の前でサンバのリズムで踊ろうぜ!!!

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