2022年6月23日
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職に貴賤はないというけれど…

 

【ご質問】

ラブホのお仕事、大変そうですがそこでしか出来ない経験もありそうなのでとても興味があります。

 

お仕事をする上で年齢の限度はありますでしょうか。おばあちゃんになってからお仕事をするのは大変でしょうか?

【回答】

ご質問誠に有難う御座います。

 

特に年齢制限は課しておりませんし、私のホテルには70代の女性が1名仕事をして下さっております。ただ現実問題として、それなりに肉体労働であることは否めず、高齢の方の就職は体力的に難しい面があるのも否めません。お断りはしませんが、長続きしにくいというのが現実でしょう。

 

とは言え、この業界は基本的に人手不足で御座いますのでご応募は大歓迎で御座います。

 

ここまでがラブホテルの店長としての意見。ここから先は私個人の意見を述べさせて頂きましょう。

 

かつて福沢諭吉は職業に貴賎なしと言いました。言っていることは分かりますし、私は他の職業を卑しく見るつもりは御座いません。

 

しかしそれが建前に過ぎず、全くもって現実に即していないこともまた事実でしょう。現実問題としてラブホスタッフは卑しい職業と見做されます。無論、面と向かって「卑しい仕事」と仰る方はさすがに稀で御座いますが、それは実利が関係していない場面だからこそでしょう。

 

ローンの審査や賃貸の契約、結婚や友人関係のような実際に自分がリスクを負う場面にならなければ人間の本性なんて見えやしません。ご質問者様が銀行の融資担当だったとして、一般企業の社員とラブホの社員のどちらに融資をするかを考えれば、職業に貴賎があることくらいすぐにご理解頂けることでしょう。

 

私はラブホスタッフとして働いておりますが、この仕事が誇り高いとか、他の仕事と同等に尊いなどと言うつもりは一切御座いません。むしろその真逆。この仕事は貴か賎で言えば賎であり、世間様から嫌われ疎まれ敬遠される仕事でしょう。やっていることは完全にグレーであり、不倫に浮気、風俗にパパ活、そういった社会的にあまり良くないとされる人間の業を支えている産業であることを否定するほど愚かでは御座いません。

 

賎で良いしグレーでいい。疎まれていいし嫌われていい。むしろ社会から疎まれ嫌われる部分を担うことこそが、ラブホテルの最も重要な社会的使命であるとすら考えております。

 

「面接時刻にホテルに来たら採用、遅刻の連絡を入れてきたらVIP待遇」という話を私はよくしているのですが、これはやや誇張されているとは言え、必ずしも嘘では御座いません。おそらくこれまでに100名程度は面接の予定を入れたと思いますが、時刻通りに来る方はせいぜい1割か2割でしょう。面接に遅刻しそうになって電話を入れてきた方などお目にかかったことが御座いません。この産業はそういう次元で経営されているのです。

 

ですが世の中にはそういうレベルの方が少なからず存在しているのもまた事実。そんな方がまともな企業に就職できるはずもありません。それではそういう方を無職のまま公園に放り出すべきなのでしょうか。
 
言葉は大変悪くなりますが、無気力で無責任、そして職になるスキルを何も持ち合わせていない方を底辺とは言え社会の一員にする。この業界の最大の社会貢献はそこにあると私は思っています。
 
ですので他に仕事があるのであれば、こんなところに来ない方が良いでしょう。ここは社会の逸れ者達を底辺とは言え社会の一員にする施設で御座います。
 
もちろん、ラブホテル関係者が全員無責任で無気力というわけでは御座いませんが、他の産業と比べれば本来に社会の一員になることすら出来なかった方を、底辺とは言え社会人として受け入れている部分はあるでしょう。そしてそんなビジネスモデルが成り立っているのは、まともな方がこの産業を卑しいと見做し、敬遠するからに他なりません。

都内某所のラブホスタッフとして働いております。 Twitterやブログなどで恋愛指南をさせて頂いておりますが、今回はこうしてユニバース様でお悩み相談をさせていただくことになりました。 皆様のご来店を心よりお待ちしております。 著書「ラブホの上野さん」「恋愛下手な私が本命彼氏を作った31日」など ラブホの上野さんの相談室

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