「アゲチン男」と「サゲチン男」
こんにちは、蝶々夫人です。
前回のコラムでは、女性の2つのタイプとして「アゲマン女」と「サゲマン女」について解説しました。それらを決定づけるのは、ずばりセックスであるということは前回述べた通り。一方で、女性にとっての「アゲチン男」「サゲチン男」がいることも事実です。
アゲチン男とは、女性を高みに導いてくれる人のこと。
それはセックスの良し悪しというよりも、その男性の持っている〝先見性〟で決まるのではないかと思います。
銀座クラブ時代には、私はたくさんのアゲチン男を見てきました。
あれは、ホステスになって間もない頃のこと。20歳そこそこの私に「同伴しよう」と誘ってくださったのは、ある有名企業の重役でした。
「何食べたい?」と聞かれ、上京したての私は「マクドナルドがいいな」と答えました。
おじさまは「えっ……」と絶句。
「マックを食べたいのは分かったけどさぁ(笑)、銀座なんだから美味しいところあるよ」と言われ、連れて行っていただいたのは、銀座5丁目にあったイタリアンでした。
今まで足を踏み入れたことのない豪華絢爛な空間に腰を下ろした瞬間、「この世界にこんな素敵なところがあるのか」と心底感動したことを覚えています。
そのとき、おじさまは私に、その店に連れて行く理由をさり気なく教えてくれたのです。
「これから君は日常的にハイクラスなお店に出入りしている方々を渡り歩いて行かなければならない。いつ誰と食事をしても失礼にならないよう、最低限のマナーと教養を身につけないとね」
これこそアゲチン男の真骨頂です。でも、高級店に連れて行ってくれるだけのおじさまなら珍しくありません。
さらに一歩進んで「なぜ、ここに連れてきたか」「なぜ、この経験をさせてあげたかったのか」を一緒に考えてくれるおじさまこそアゲチン男なのです。
「アゲチン男」をフイにする「サイテーな女」
銀座のクラブは、厳しい競争の世界です。地位も財力もあるお客様を掴み、店の売上がアップした途端、自分自身の〝社会的地位〟が格段に上がったと勘違いをするホステスも少なくありません。「たくさんのVIP客を持っている私はなんて偉いんだ」と。
まさに虎の威を借る狐となり、周囲のホステスやボーイにもきつく当たるようになります。
例えば、銀座ホステス時代にはこんなことがありました。同僚ホステスのA子は、有名大学を卒業後、一部上場企業に就職し、週末だけクラブでアルバイトをするヘルプのホステスでした。
ところが、ある日、ある組織のボス・X会長が彼女を見初め、愛人関係になったのです。ウブだった彼女はその後、こんなことを口走るようになりました。
「私と揉めないほうがいいよ。あの人(X会長)出てくるから」
「あの人(X会長)の紹介だったら財界系の有名人なんていくらでも会えるんだから」
彼女はみるみるうちに服装が派手になっていきました。ところが、それから1年後、彼女はX会長と破局。それからの彼女は惨めなものでした。彼女のまわりには人がサーッと去っていき、今まで虫けらのように扱われてきたホステスやボーイは総スカン。彼女は急激にお金回りが悪くなり、やがて銀座を去っていきました。
このエピソードからどのような教訓が導き出されるでしょうか。
X会長と付き合うようになり、彼女自身が本当にステップアップしたかのように勘違いしてしまったことが不幸の始まりでした。
そうではなく、自分自身を磨くことで価値を上げ、彼に相応しい女性になるように努力すべきだったのです。アゲチン男に出会っておきながら自分を高めることができなかった女性の悲劇でしょう。
私は「ヤクザの女症候群」と呼んでいますが、結局、「○○の女」と自称し、栄華が一生続くかのように振る舞っている女性は〝私個人〟として生きていないのかもしれません。賢い女性ならば、むしろ「○○の女」と言われることを嫌がり、肩書や属性ではなく「もっと私自身が評価をされないといけないな」と思うものです。
「俺、アゲチンって言われるんだよね」
一口に「アゲチン男」「サゲチン男」と言いますが、女性の皆さんはこんなことを言う男性に会ったことはありませんか?
「俺、よくアゲチンって言われるんだよね。1回、俺と付き合ってみない?」
私の経験上、自分から〝アゲチン申告〟をしてくる男性は、100%サゲチン男です。本物のアゲチン男はそんなアピールはせず、具体的な行動で女性を導いていってくれるもの。
「俺、セックス上手だから」と言う男性にセックス上手がいないのと同様です(笑)。能ある鷹は爪を隠す。過剰な自己アピールは自信のなさの表れとも言えるのです。
cちょうちょうふs