くたくたのレナ
レナ、その日は早朝からピンチヒッターのお仕事が入っていて、一日お客様の対応でくたくたでした。
そもそも朝に強くないこともあって(若い女の子あるあるだと思う…)夕方5時くらいにはくたくたでした。
でも今日は交際クラブのあるおじ様からオファーがあり、あらかじめディナーの約束が入っていました。
大体ディナーの約束があると、コース料理なんだよなあ。
途中で眠くならないといいけれど。
交際クラブから「ダンディーな男性」と教わっていた今日のパパ、どんな人なんだろう。
そんなくたくたのレナも、マナーはわきまえてちゃんとオシャレしてお化粧直しして待ち合わせに向かう。
待ち合わせは東京駅隣接の東京ステーションホテル。
ここの地下には上品な雰囲気でおいしい料理屋さんがいくつかある。
高級だしレナは自腹で行ったことないけどね。
パパとの待ち合わせはロビーだったので複数あるレストランのうち、どのレストランでお食事かなとちょっとウキウキなレナ。
そういえばレナ、最近よく顔が疲れてるって言われるなあ。
お化粧の仕方を改めた方がいいかな。
パパとの待ち合わせ
今日のパパは、冬なのにサングラスをかけてスーツで決めていて強面。
レナのイメージする何とか刑事とヤクザのハーフみたいな格好だった。
オシャレなパパは好きだけど、強面だとびびっちゃう。
あとからパパの職業を聞いたら、不動産などなどやっているって言ってた。
「レナちゃーん!」と明るく話しかけてくれたパパは銀色のアタッシュケースを持ってて、いかにも~なレナの苦手なタイプ。
こういうタイプのパパの扱いうまい女の子いるよね、見習いたい。
上品なコース料理と下品な会話
パパとお店に入ると、顔パスだった。常連らしい。
レナの予想通り、おいしいお店のうちのひとつでのコース料理だった。
パパは分厚いお財布と大きめのスマホをテーブルにおいて、コース料理がスタートした。
コースを楽しみながら、パパはちょっと変わった人だなと思い始めた。
高級で上品なお店でまわりも落ち着いた方ばかりなのに。
出会ったばかりのパパは「レナちゃんエッチは好き?」「今まで何人とエッチしたことある?」「3Pしたことある?」とそっちの質問ばっかりだった。
もともと疲れていた上にコース料理でだんだんお腹いっぱいになってきたレナは、そのくだらない質問に疲れ途中で寝そうになってしまった。
だって、初対面で周りの人のことも配慮せずに上品な場所でお下品なお話しをするパパなんて、絶対お付き合いしたくないもん。
いつもはまじめなレナもこの日ばかりは頭がぽけーっとした。
レナに聞いてきたこの質問で、パパは相当変わった人だなと確信した。
「俺さ、この交際クラブで何人会って何人と大人の関係になったと思う?」って質問。
「うーん。3人くらいかな?」と適当にあしらうと、このパパ、交際クラブでの出会いで100人の女の子と寝るのを目標にしているらしい。
100人以上にオファーしデートしていて、ご飯食べてその日のうちにエッチできることがほとんどだよ、とのこと。
100人切りって。
世の中の男性には、寝た女の子の数を自慢する人もいるとか。
一方、パパ活が流行りだした頃ブログで、交際クラブで100人切り!みたいな記事を読んだことがあるけどまさか自分が会ってしまうとは。
眠たいレナはこれが現実ではなく夢なのかもと思うようになった。
夢ならばどれほどよかったでしょう…。
コース料理はまだ終わらないので、逃げ出すわけにはいかない。
こんなに上品なお店でこんなに下品な話をされるなんて、本当だったら逃げ出したい。
もう店員さんに顔向けできないし、恥ずかしくてまた来るなんてできない。
パパは回りも気にせず何も臆さずレナを口説いていた。
レナは魅力を感じない男性との食事がこんなにまずいものだと知らなかった。
いや、ご飯はおいしいはずなのに。
パパ活という名のゲームでしょうか?
実はパパはあまり食べる人じゃないみたいで、レナもコースの途中でおなか一杯になってしまったしコースの終わりは意外とスムーズだった。
最後にデザートをいただきながらレナは思った。
「この人はなぜレナを選んだんだろう、若い女性なら誰でもよかったんだろうか。」
パパにとってゲームみたいなもんなのだろうか。
交際クラブにとっては毎回新しい女の子にオファーが入り、いいお客さんだし遊びでパパ活をやっちゃいけないっていうルールもないもんね。
ただレナはちょっと真面目すぎるのかな、レナとは合わないなと思っちゃった。
車で移動したい
パパは今日は車で来ていて、このまま車で場所を移動したいと言ってきた。
レナが丁重にお断りすると、日本に数台しかないいい車で是非見てほしいと。
車の中にレナへのプレゼントも買ってあると。
断りにくいシチュエーションを作っていた。
レナは再度丁重にお断りしたけれど、パパの「じゃあ駐車場まで送ってよ」に折れてしまい、車のあるところまでいくことにした。
たしかにいい車だった。
レナはパパからお手当とプレゼントをもらい、電車で帰宅した。
近くまで車で送りたいともいわれたんだけど、その間もきっと一生懸命口説かれるんだろうなと思うと、電車でゆっくり寝てたいなと思った。
疲れていたのに、さらに疲れたお顔合わせでした。