前回(パパの子を妊娠してしまった②)の続きです。
全てが知られた絶望の日
ちかちゃんはあの後、意識を失い倒れてしまいました。
毎日連絡を取っている彼氏の恭平くんが不思議に思い家に行って発見されました。
恭平くんと私は共通の友人として連絡先を知っていたので、恭平くんから私に連絡が入り、そして、ちかちゃんの家族へも連絡が行きました。
そして、ちかちゃんの今まで、現在の状態を私はちかちゃんの両親・恭平くんに伝えなくてはいけなくなりました。
翌日、ちかちゃんは無事に目覚め、おなかの子も異常はないと診断されました。
当然、両親・恭平くん・ちかちゃんそれぞれに気まずい空気が流れ、その日は家族で話すと言うことで、恭平くんと私は一旦病院を後にしました。
恭平くんの迷い
病院を後にした恭平君は私に、今までのことを詳しく聞いてきました。
そして恭平くんは「今年のクリスマス、プロポーズをする予定だった」とも言いました。
一通り、話し終わった後、「すこし考えてまた連絡する。でもちかのことが大切なことに変わりはない」と告げました。
親との絶縁・大谷さんへの連絡
後日お見舞いもかねて、一人で病院に行きました。
そして、病室でちかちゃんから「親(特に父親)と絶縁した」との報告も受けました。
ちかちゃんのお父さんは、厳しい方だったのでそこまでは驚きませんでしたが、現状どうすれば良いのか、助けてくれると思っていた自分の甘さに悔やんだと言いました。
2人で悩み、私はちかちゃんに「大谷さんにも言うように」と言いました。
ちかちゃんも、もうここまで来てしまったら怖い物は何もないようで反対はしませんでした。
ちかちゃんは来週退院するので、そのまま大谷さんと会うことにしました。
不安なのでついてきて欲しいといわれたので、当日同行することになりました。
大谷さんへの報告
大谷さんには事前に友人(私)も同行すると伝えていました。パパ活でパパが「呼んでいいよ」という以外では友人を連れて行くということは滅多になく、そのためか大谷さんはあったときから何かを感じていました。
その頃には、ちかちゃんのおなかは多少ですが服の上からでも分かる存在でした。
お店で全てを打ち明けました。大谷さんは、薬代もくれていたので責められる立場ではないのですが、このときはもう大谷さんに助けてもらうしかありませんでした。
「妊娠している・薬を飲まなかった・親と絶縁した」など全てを話し終わった後、恭平くん同様「すこし考えてまた連絡する。」と言いました。
正直、私もちかちゃんももう大谷さんに会うことはないと確信していましたが、引き止めようにも、ちかちゃんの自業自得の部分が多く何もいえませんでした。
恭平くんの決意
恭平くんはプロポーズをする気で、2人で住む家も目星を付けていました。
散々迷いましたが、ちかちゃんを好きという気持ちに変わりなく、おなかの子も自分の子どもとして受け入れる覚悟をしました。
その頃のちかちゃんは、親とは絶縁になったため、私のマンションで暮らしていました。
そこに恭平くんが来て、覚悟を告げると、今まで泣かなかったちかちゃんは初めて泣きました。その姿を見て、過去は消せないけど、これからいいことがあるような気がしました。
そして、恭平くんの希望もあり、恭平くんの親には言わないこと。と言うことが約束されました。ちかちゃんは正直に話して、許してもらえなくても謝り続けるといっていましたが、恭平くんの強い気持ちに納得しました。
大谷さんからの提案
ちかちゃんがマンションを出て行ってから数日後「大谷さんが会いたいといっている」とちかちゃんから連絡がありました。
あの日、二度と会うことはないと思っていたので、かなり驚きました。
大谷さんに会う日は、2人の希望もあり私も同行しました。
お店に着くと大谷さんがいて、とても優しい表情で「体調は大丈夫?大きくなったね」と声をかけてくれました。このときも、ちかちゃんは泣き、大谷さんとちかちゃんの関係を痛感しました。
そして「親と今でも絶縁なのか」と聞かれ、何も答えずにいると「僕の養子にならないか?」と思いも寄らぬ提案をされました。
大谷さんはあの後、家に帰り、奥さんに全てを話したようです。
もちろん関係も悪化し、離婚までなったのですが、2人には子どもがいませんでした。
多くの女性は、自分には子どもが居らず、旦那が浮気をして子どもを作ったら激怒しますが、大谷さんの奥さんは、適齢期の頃、子どもにまったく興味がなく、セックスレスの夫婦だったそうです。最近になり、還暦を向かえ、子どもがいたら・・・と2人で話すようにはなったのですが、いないのですこし寂しくも思っていたと後から聞きました。
大谷さんは奥さんのそんな気持ちを知ってか・知らずか「養子」の案を提案したようです。すんなりと受け入れる訳ではなかったですが、そのような気持ちもあり、奥さんはその提案も悪くないと思い始めました。
話を最後まで聞くと、ちかちゃんは一度断りました。
とってもよい話で、自分にとっては願ってもない言葉の次々。でも、大谷さんと恭平くんを会わせるわけにはいかないと言いました。私も同感でした。
大谷さんもそこは理解してようで、「いつでもいいから、また連絡欲しい」といって去っていきました。