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【ご質問】
四年来の友人(同性)がいます。彼女は私にとって、いわゆる親友と言える存在で、弱点やコンプレックスもさらけ出せるほど打ち解けていました。
昨年、彼女は10kgのダイエットに成功し、一方の私は、彼女と出会ってからの4年で20kg太りました。ただでさえ太った姿を見られるのは恥ずかしい上に、私とは逆に10kgもやせた彼女を見ると嫌でも自分の太い体型を実感してしまい、彼女に会いたくないとさえ思ってしまいます。
また、私が痩せていた頃に彼女を見下していたつもりはなかったのですが、「痩せている私」と「ぽっちゃりの彼女」という出会った頃の関係に無意識のうちに心地良さを覚えていたようで逆の立場になったことが耐えられないのだと思います。
しかし、「たかが体型」とも思います。そんなことで貴重な友人を失うのは勿体ないとも思います。
私が彼女にこのような気持ちを抱いてからも、彼女は、昔と変わらない態度で私に接してくれています。そして、今度その友人と1年ぶりに直接会います。
《上野さんへの質問》
①彼女と会うにあたり、上記の「会いたくない」という感情はどうすれば消えるか
②彼女を避けてしまったことを謝罪し素直に理由も話すべきか
【回答】
ご質問誠に有難う御座います。
ご友人様は10kgのダイエットに成功したそうですが、これは並大抵のことでは御座いません。強い意志がなければこんなダイエットは成功しなかったことでしょう。
それでは彼女の強い意志とは一体なんだったのでしょうか。
彼氏が出来たのかもしれません。
誰かに馬鹿にされたのかもしれません。
鏡を見て絶望したのかもしれません。
しかし、いずれにしても、それが「コンプレックス」に由来するものであったことは間違い無いでしょう。
もしも太っていることを気にしていないのであれば、ダイエットなんていう苦行をするはずがないのです。無論、健康のために痩せる方もいらっしゃいますが、それはそれで健康へのコンプレックスと言えるでしょう。
となれば、4年前に彼女と出会った頃、彼女の心の中にどのような感情が渦巻いていたのかご質問者様ならお分かりになるのではないでしょうか。
今のご質問者様と同じで御座います。スリムなご質問者様に嫉妬をし、自分の身体に絶望していたことでしょう。ご質問者様と一緒に写真を撮るたびに絶望していたかもしれません。
そんな彼女に私は敬意を抱きます。
彼女がダイエットに成功したからでは御座いません。嫉妬という感情を抑え込み、そしてご質問者様にその負の感情を察せられることもなく会い続けたその意思に私は敬意を示したいのです。
もちろんそれはその嫉妬を補ってもなお、ご質問者様に会いたいと思わせる魅力があったのも間違いありません。しかし例えそうだったとしても、心の中に渦巻く負の感情を一切漏らさなかった彼女の決意に私は深い敬意を抱きます。
生まれながらの金持ちに敬意は抱かない
もしも彼女が最初から何もコンプレックスを感じていなかったのであれば、私は彼女に敬意を抱くことはなかったでしょう。
それは良くも悪くも、ただ己の感情に従っているだけに過ぎないからで御座います。それが悪いことだとは全く思いませんが、敬意を抱くということもないでしょう。
しかし彼女は意思で感情と行動を曲げたのです。心の底から湧き上がるコンプレックスと、それによって生み出された負の感情を彼女は意思で押さえ込んだ。
その意思に私は敬意を示したいのです。理性で感情を押し殺すことこそが、人間が人間たる所以だとすら私は思っています。
ですので、ご質問者様にはそんな素敵な女性とどうか今後も仲良くしていて欲しいと願わずにはいられません。それが苦しい道であることは間違いありませんが、かつての彼女がその道を乗り越えたように、ご質問者様にもその道を歩んで欲しいと願っております。
自分の中に湧き上がる負の感情に苦しみながら歩み続けて欲しいのです。
ですが、どうか自分を軽蔑しないでください。負の感情が湧き上がってしまうこ人間が嫌な人なのでは御座いません。
負の感情を理性で抑え込めない人間が嫌な人なので御座います。
負の感情を撒き散らす人間は醜いでしょう。
そもそも負の感情を抱かない人間は本能に従っているだけの善人です。
湧き上がり続ける負の感情を、理性で押さえ込む人間こそが美しいと私は思いますし、ご質問者様にもそういう方になって欲しいと願わずにはいられません。
これは私の勝手な願いで御座います。苦しい道を歩めなんていう、まるで聖書の一文のようなお願いをするのも酷い話だと自覚しております。
しかし、どうか彼女のような素敵な人間をどうか大切にして下さいませ。
そしてどうか負の感情に苛まれる自分を軽蔑しないで下さいませ。
負の感情を理性で抑え込むご質問者様はとても素晴らしく、強く、そして魅力的な方だと思います。