50才で童貞のパパがいました。
少しコミュ障で、大学を中退して父親の町工場の手伝いをしているうちに20年以上の月日が流れ、女性との関りも無く、この年になってしまった。
決して性格は悪いわけでは無く、人付き合いが苦手な点以外は、工場での仕事も真面目にこなすし、20年の月日は、仕事のお得意さんとのやりとりくらいは円滑にこなせる程度にまで、男性のコミュ障を改善させました。
その男性が40代の終わりから婚活を始めたんです。
年取ってきた両親を安心させたかったし、何よりも決して女性が嫌いという訳ではなかったから。
真面目だが友人はおらず、風俗にも行ったことがありません。
風俗童貞ですら無い、完全な「魔法使い」です。
婚活してみたものの、男性自身のスペックが大したこと無いので、綺麗で可愛い若い娘に相手されるわけも無い。
そのくせ、男性は面食いです。
ここはまあしかし、そういう嗜好なんだからしょうがないけど。
それで男性、婚活には見切りをつけて、実家暮らしで貯金もあることだし、思い切ってユニバースに登録してみました。
そこで出会ったのが由芽ちゃん、
母子家庭で、身障者で施設に入っている妹の面倒を母親と二人で見ながら、看護学部に通っている女子大生。
彼女には秘密があります。
それは、過去にアプリで出会ったガチ恋のパパさんにストーカーされて、本気に殺されそうになって刑事事件にまでなったこと。
以来、パパの選び方には慎重になりました。
男性は・・一応名前を山田さんと付けておこう・・アルバムの写真で見たよりも、はるかに美しい由芽ちゃんとの初デートで、ただただ見とれてどぎまぎするばかり。
由芽ちゃんはというと、目の前の男性(山田さん)が、自分にとって脅威とはならないか、まずはそこを見極めようと全集中です。
由芽ちゃんは美しい。
清楚系で目がぱっちりとしていて、きりっとしているけれども笑顔はあどけない。
由芽ちゃんの武勇伝はいくつもありますが、差し支えないところを紹介すると、夜の街のスカウトさんに声を掛けられて、ちょうどラウンジの体験入店してみようかなと思ってたところだったので、喫茶店に入ってお茶して話しているうちに、そのスカウトさんが本気で由芽ちゃんを好きになってしまって、「お店への紹介はもういいから、自分と交際してくれないか?お手当てはもちろん渡すから」、と言い出すレベル。
そういう女性もいるんです。
由芽ちゃんのような女性の場合、男性はお食事デートであるにも関わらず、自発的にお手当てを増やしていく。
もちろんテクニックみたいなものはあります。
1)ラインは決して面倒がらずにこまめに返す。
2)男性のことを嫌いではないことをほのめかす(「好き」とは言わない。それを言ったら安っぽく嘘くさくなるから)。
3)お金が必要で苦しいこと、しかし挫けずに頑張っていること、パパさんからのお手当はほんとうに有難いし助けてもらって感謝していることを繰り返し力説する。しかし、けっして自分からお手当ての増額を要求しない。
パパには二種類あります。
支払い能力のあるパパと、そうでないカツカツのパパ。
仮に初回デートのお店がショボくても、初回お手当ての額が少なくても、潜在的に支払い能力のある男性っていうのは存在する。
お金は持っていても、パパ活というものにまだ慣れていなかったり、お金で交際するということにどうしても心理的な抵抗があったり。
そういう男性たちに、女性にお金を渡す悦びを知ってもらう。
それが「育成」です。
由芽ちゃんは育成のプロと言っても良い。
交際慣れしていて最初から気前よく綺麗にお金遣ってくれるパパばかりが太パパじゃありません。
いわば太パパの原石を探すんです。
それで、山田さん、いともたやすく由芽ちゃんに型に嵌められてしまった。
都度のお食事デートのお手当ても、1万円が3万円になり、5万円10万円と増えていった。
山田さんに限らず、由芽ちゃんのお食事パパさんたちは、お手当てを渡したときに由芽ちゃんが「有難うございます」と答えながら見せる、まるで天使のような美しい笑顔、その一瞬のためだけに課金するんです。
もちろん大人交際への布石という意味もあるけど、いつの間にかその意味が消え失せて、単に由芽ちゃんにお金を渡して支援すること自体が快感になってしまったりする。
山田さん、童貞だし、そっちの快感を先に覚えてしまった。
そんな山田さんでしたが、幸せは長くは続きませんでした。
ある日、大黒柱の父親が脳卒中で倒れてしまった。
人並みに仕事はこなすようになってはいたものの、親方である父親の代わりが勤まるほどの人物ではありません。
取引も目に見えて減ってしまいました。
なおかつ、会社には設備投資の借金がかなり残っていることが判明。
それまで父親が防波堤となって、山田さんの人生はかろうじて安泰であったところが、次から次へと大波が押し寄せて、お小遣い、じゃなかった、それまでの給料を貯めていたお金で、何となく自分は裕福だと思っていた幻想が消え失せてしまいました。
山田さん、根は真面目です。
由芽ちゃんが、お金が目的で自分と会ってくれていることは十二分に承知している。
それで山田さんは由芽ちゃんにラインしました。
「由芽ちゃん。大事な話だからよく聞いて欲しい。実は、父親が倒れて、会社に借金がかなりあることも判った。これまでのように、高級なレストランに行ったり、高いお手当てを払って会うことは難しくなりそうです。本当に申し訳ない」
ここでクエスチョン。
由芽ちゃんは、どう対応したでしょう?
①未読削除して縁を切る
②これまで有難うございました、と送って終わらせる
③その他
正解は次のコラム記事で。
2022年8月22日
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Writer: マックさん
ユニバでの登録名も「マックさん」です。登録支店は名古屋。
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