2018年6月2日
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ある日のデート:2

こんにちは。蜃楼です。

某教祖様が数年前に『身体が夏になる』と声高に歌っていたものをたまたま入った店内で聞き、妙に納得いたしましたので夏に向けてアップを始めました。

数年前に流行った某隊長に志願をし、シックスパック計画遂行中です。
 

エンカウント!!

あれは、Tさんと愛人契約をし3か月目に入ったあたりのことでした。

以前、Tさんは1人暮らしをされていらっしゃるとお伝えしたと思いますが、その日もTさんのご自宅で映画鑑賞をしようという予定になっていました。

キッチンをお借りして、摘まめるものと飲み物を用意して、ついでといっては申し訳ないですが、夕食時にお酒の肴になったらいいな、くらいの軽いおつまみを作ったりしていました。

Tさんもとても喜んでくださって、迷惑でなければまたお願いしたいとおっしゃってくださいました。

好きなものや食べたいものなどお聞きしながらリビングに戻って映画を観始めたのですが

ちょうど1時間すぎたあたりに、



ピンポ~~ン……
 



お互い、硬直。

 

コンシェルジュの方がいらっしゃるようなタイプのマンションではないのですが
こちらから解除しないとロビーに入れないしエレベーターも使えない。



二度目の、ピンポ~~ン……

 


一気に意識が覚醒しました。

まずやらなければならないこと!!

焦ってはダメだ、焦ってはダメだ。落ち着け~~!!

Tさんにインターフォンに出てもらい、相手を確かめていただきました。

宅急便かもしれないじゃない!平日昼間だもの…。

自分に言い聞かせます。



「息子が下まで来てる…」


 

Tさん、苦笑されていらっしゃいました。

確か、現在はご自宅を離れて東京で就職していらっしゃると聞いていました。

32歳になる一人息子さんで、2年ほど会ってなかったはず。

結婚はされていなくて、数年お付き合いしている彼女さんはいるけどなかなかうまくいかないみたいって笑っておいででした。



でも、今はそんなことは思い出してる場合じゃないのよ~~!!


 

とりあえず、私の使っていたグラスや食器類は速やかに洗う。そして拭く。片づける。

DVDは一時停止にする。

Tさんも内心焦っていたように見えますが、「息子になら紹介したいな」と恐ろしいことを言い出します。


いやいやいやいや、Tさん!!思い出して!!

私 た ち の 関 係 を  ! !


 

若干涙目になりつつTさんを見上げると、苦笑しながらも「そういうわけにはいかないからね」と抱きしめてくださいましたが、

違う、そうじゃない感がせめぎ合います…。

エレベーターがいくら下に止まっていなかったとしても、もう時間なんてない。

もし、このまま外に出て玄関先で鉢合わせ、なんてことになったら一番どうにもならないパターンになりかねません。

なんだか、こんな状況でもマイペースでいるTさんに呆れつつもおかしくて非常に冷静になりました、私。

いまだ抱きしめてるTさんを抱きしめ返して、ポンポンと背中を叩きました。



「Tさん、会社の名前の入った封筒とコピー用紙数枚貸してください」

 

息子さんをご自宅で迎え撃つことにしました(笑)

何をしても怪しさしかありませんけど。

とりあえず、不自然だけど不自然さしかないけど自然に玄関から出られる方法を考えます。

どこか別の部屋に隠れて、とも考えましたが静かに冷静に速やかにすんなり出られる自信がありませんでした。

Tさんに封筒と真っ白なコピー用紙を頂き、玄関口でスタンバイ。

ヒールを履いて顔をあげたところで、再びピンポーン…

Tさんが溜息交じりに開錠すると、目元がTさんそっくりな男性登場。

非常に驚かれた顔をされていらっしゃいます。

そうですよね、わかります。

怪しさしかないですよね。本当すみません。

にっこり笑ってまずはご挨拶。

「はじめまして。Tさんにいつもお世話になっております、○○市役所の○○と申します」

以前Tさんに教えていただいた私と雰囲気の似ている方情報です(笑)
 

髪型も同じくらいで、身長や体型は違うものの、雰囲気がよく似ているそうなのです。

勝手に拝借して御免なさい。でも若干お名前変えてあります。

「お休みのところ、申し訳ありませんでした。しかもご自宅にまで押しかけて…」

「い、いえいえ!書類の不備に気が付かなったのはお互い様ですから」

Tさん、苦笑しています。付き合ってください、もう少し(笑)
 

「最終確認していただいてもよろしいですか?」

「え?ああ、わかりました。(封筒からチラッと用紙を出す)……大丈夫です」

「ありがとうございます。では、このまま進めさせていただきますね。お手数おかけいたしました」

「わざわざ来ていただいて、すみません」

「私の確認不足でしたから。申し訳ありませんでした。お邪魔致しました。失礼いたします」

もう一度息子さんに頭をさげて挨拶をすると息子さんから、まさかの


 

「下までお送りします!」




やめてください、死んでしまいます、緊張で、私が!!


 

丁重にお断りし、そのままエレベーターでロビーへ…

封筒とコピー用紙は郵便受けへ入れさせていただき、少し離れた喫茶店で深い溜息を吐き出しました…。

怖かった…。

うまく切り抜けたとは全く思っていません。

怪しさしかない。逆に怪しすぎて怪しい。

これはもう終わったな……としか思えませんでした。
 

帰り道に思うこと

Tさんの自宅から我が家まで、2時間半かかりました。帰るの。

メールが何回も届いていましたが、自宅に着いてから返事をしようと。

最寄り駅に着いてからメールをすると、速攻電話が。
非常に心配してくださっていました。

そして、送りもせずそのまま一人で帰してしまったことや

息子さんという家族に会わせてしまったこと、

不安しか与えなかったことなど謝ってくださいました。

息子さんはコンビニへ出かけているということで電話をしてくださったのですが
改めて愛人という立場とリスクについて考える切っ掛けとなりました。

息子さんから私に対する突っ込みも追及もなく、

男女関係なくせめてマンションの下まで見送るべき。もしくはエレベーター前まで!、と叱られたとおっしゃっていました。

これからどうするか、ということについては後日改めてお話ししましょう、と。

実際、キャパオーバー気味で日常に1秒でも早く戻りたかったのが本音でした。

もし、今後も息子さんだけでなくご家族の誰やお知り合いに会ってしまった場合、一体どうするのが一番なのか。

外で出会った時はどうとでもなります。

たまたま出会ったことにでも出来ますし、取引先を装うこともできます。

しかし、今回の様なプライベートな場所で会ってしまった場合…。

想定できうる予測の事態であることなのに、それを怠った自分自身に腹が立ちました。

傾向と対策ではありませんが、完璧に油断していた自分に腹が立って仕方ありませんでした。

予定も確認もなく急に訪問されることだって、ありますものね!


何故、大丈夫だと思っていたのか。
 

大丈夫って思ってること自体がすでに大丈夫じゃないんですよ!!

大丈夫なんてことは世の中にはないんですよ!!


今年に入って一番の反省点。
 

後日、Tさんと話し合い、我儘を聞いてもらえるのであれば契約を続けていきたいとおっしゃっていただきました。

帰り道に思ったこと、今後どう対応していくのかなど真剣に話しました。

本来ならば、契約時点で話し合うべきことなのかもしれませんが。

しかし、私は、息子さん実は気付いているのではないかと、未だに思っています。


同じ過ちは繰り返さない!
同じ轍は踏まない!絶対にだ!!
 

と、戒めの意味も込めて、某隊長と向き合っております。



蜃楼

Writer: 
蜃楼とは蜃気楼のことです。

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