恋愛ワクチン 第六十九話 女体盛り

板さん「女体盛りっていうのはね、料理人の夢なんっすよ」

マックさん「へえ、そうなの?」

板さん「自分、料理人として駆け出しのころに、師匠からそう聞いたんっす。『いいか、料理人ってのはな、どんな器であっても、そこに最高の盛り付けが出来なければ駄目だ。その究極が女体盛りだ』ってね」

寿司を握りながら訥々と語る。あごひげを生やして遊び人風ではあるが、仕事には真面目に取り組むお人柄と見た。

マックさん「じゃあ、女体盛りはずいぶんとやったんですか?」

板さん「それが、お恥ずかしいんですが、自分、まだやったことがありません。いつかはやってみたいです。料理人の夢っていうより俺の夢ですかね」

ここは一番、マックさんが一肌脱ごうじゃないですか。
いや、脱ぐと言っても、マックさんが器になるわけではなく、女の子を探してあげようって話ですが。

女の子たちに声をかけると、すぐにやりたいという娘が見つかった。それも3人もだ。
板さんも初挑戦であることだし、まずは一人で試してもらおう。
場所は某所。参加者は10人くらいかな。
板さん着流しの和服姿だ。
気合いが入っている。

マックさん「いよいよですね。師匠に追いつく日が来ましたね」

板さん「いや、実は師匠も女体盛りはしたことが無いんですよ。だから『料理人の夢』なんです」

マックさん「じゃあ、師匠を越えるわけだ。師匠越えですね」

女の子は鈴ちゃん。前にコラムで登場している。
体が柔らかく、最近ポールダンスを始めたらさらに体が締まった。
小柄ながら腹筋もお尻もぷりぷりしている。
変な話、鈴ちゃん自体が食材として美味しそうだ。

そうだ、SMバーのママさんも一度見たいと言っていた。
次回はママさんに縛りをお願いして、女の子のお腹に丸くローストビーフやソーセージをあしらい、女の子の腹を裂いてみんなで食べるみたいなカニバリズム的趣向はどうだろう?

そんなことを考えていたら、シャワーを浴びた鈴ちゃんが戻って来た。

マックさん「鈴ちゃん、じゃあタオルを取って、裸になってそこに正座して。動画で撮るから『今から私、女体盛りされます。よろしくお願いします』って言ってごらん」

鈴ちゃん「今から私、女体盛りされます。よろしくお願いします」

マックさん「はいよくできました。じゃあいよいよだ。仰向けで寝なさい」

鈴ちゃん「はい」

板さんが、あらかじめ用意した食材を箱から取り出し、鈴ちゃんに散らしていく。

マックさん「大根の細切りですか。ずいぶん長く切りましたね」

板さん「通常より太くしてあります。川の流れをイメージしました」

次いで大葉をあしらう。
なんか造形として綺麗だ。
これは想像以上に期待できるかも。


板さん、次いで刺身の花盛りを添える。

マックさん「なんだか綺麗だね。練習したの?」

板さん「いえ、自分の頭の中でのイメージです。肌色を意識して、色どりに特に注意して食材を選びました」

出来上がった作品がこちら。


見事に仕上げていただいた。
大根を桂剥きにしてやや太めに、そしてとても長く切りそろえた「つま」を川に見立てている。
その川には、細工寿司で作った二匹の緋鯉が泳いでいる。
川のほとりには色とりどりの花が咲き乱れる。刺身の花盛りである。
細工野菜の蝶が舞っている。さながら桃源郷だ。
みんなで頂きました。


性欲と食欲って言うのは、二大欲求であり、脳の中枢としては近傍にあるそうだ。
だから、少し関連がある。女性が食べるのを見て興奮する男性がいたりするのはそのためだ。
その一方で、相反もする。ご飯を食べながらSEXも楽しむというのは、基本的に出来ない。性欲中枢と食欲中枢を同時に活性化することは難しい。

今回の女体盛りは、いわば、性欲と食欲のガチ対決のようなものである。
性欲が勝るのか、それとも食欲が打ち勝つのか?
どう折り合いをつけるのかが関心ごとだったのだが、仕上がった作品を見て納得した。

参加したある女性が「鈴ちゃん、まるでドレス着ているみたい。可愛い」と言っていたが、これは衣装なんだね。
下着のようでもあり、ウエディングドレスのようでもある。結婚式の二次会でこれやったら、楽しいだろうな。
参加者全員の称賛を浴びて、板さんも大満足。
残りの食材で寿司握ってもらってみんなで食べました。

板さん、希望があれば、出張料理で女体盛りやりますよって言ってくれたので、この記事読んで関心持たれた方は、支店を通じて私に連絡ください。紹介します。
費用は直接板さんと交渉してくださいね。

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