女の”男批判”に表われる屈折した感情

■ 女の男批判は、愛情の裏返しである

 

女性が男性について語るとき、そこにその男性に対する心理が表われるのは当然なのですが、口からでる言葉自体はかならずしも彼女の本心を表わしているとはかぎらない場合があります。

とくに、彼女がその男性に対して、よかれ悪かれ特殊な感情を抱いているときは、ときとしてはむしろ言葉と裏腹の本音が、女性の心理の深層に隠されていることもあるのです。

最近は朝ドラを見ていませんが、当時、NHKの朝の人気ドラマ『落つくし』のなかにも、そうした複雑な女性心理を物語る一場面があった記憶があります。

ヒロインの姉にあたる女性が、彼女に好意を寄せる青年将校をことごとに批判し、あたかも関心がないかのごとき冷淡な態度をとり続けるわけです。

それに対して男のほうは、女の批判をいちいち真に受けて悩んだあげく、ついに自分は好かれていないと判断し、身を引こうとする分けです。

ところが、彼女は土壇場のときになって、彼に対して「鈍感な人ね、私は逃げながらあなたを追いかけているのに」と、初めて自分の真情を告げるのです。

「逃げながら追いかける!」とは何と素敵な言葉ではないですか。これは女の気持ちを読めなかった男へのまさに痛烈な一撃であるのですが、一方、男のほうにしてみれば、それならそうと逃げる姿ばかりを見せないで、すこしは本音もみせてほしかったと、グチのひとつも言いたくなるであろうと思います。

このように、女性が男性を批判する場合、じつは男に対する好意や愛情を逆説的に表現していることが多いのです。

女性特有のこうした態度は、一つには女性が男性よりはるかに慎重で用心深く、したがって万事に受動的な姿勢をとりがちなことと関係があるのです。

一般に女性のほうから進んで愛を告白することが少ないのも、たんに恥じらいや慎しみ深さといった道徳的なルールのためばかりではないようです。

自分の本心をさらけだしてしまうと、万一その告白が受け入れられなかった場合、自分が傷ついてしまうという、一種の打算が働いていることも少なくない分けです。

だから、多くの女性は、男が明らかに好意を寄せているとわかっていても、とことんそれを確かめずにはいられない。

そして、いざとなればいつでも身をひるがえして逃れることができるように、最後まで本心を押し隠し、ときには男批判という逆説的表現を用いて男の反応をうかがおうとすのです。

■ 男のだらしなさを批判する女性は、 母性本能をくすぐられている

これとよく似た話はわれわれの周囲に数多くあるのではないかと思います。私が知り合いのOLから聞いたケースも同様であったと記憶しています。

ある女性が同僚の男子社員のことを、服装が野暮でだらしないとか、髪がボサボサで不潔だとか、結婚したらぐうたらで締まりのない亭主になるだろうなどと、女子社員同士の雑談の場でことあるごとにあげつらい、いかにも軽蔑したような言い方をしていたのです。

このため、周囲の人たちは、てっきり彼女がその男性を嫌っているものと考えていたのですが、あにはからんや、ふとしたきっかけで交際が始まるやいなや、たちまち婚約から結婚へとゴールインしてしまったのだそうです。

じつは、以前から彼女は彼を好きだったのです。この場合、要するに彼女は、自分の内心の欲求を男批判という逆の表現法に託して、いわば隠れ蓑にすっぽりと包む形であらわしていたことになるわけです。

つまり、批判は好意の裏返しであり、その証拠に、社内には他に何人もずぼらな男たちがいたのに、彼女が批判するのはいつも彼一人だったということです。

ふつう、女性は不潔でだらしのない男を嫌うといわれるのですが、このケースで見るかぎり、かならずしもそうとばかりはいえないであろうと思います。

むしろ、彼女はそうした彼のずぼらさ、だらしなさに母性本能をくすぐられ、できればそばにいてこまごまと世話を焼きたいと願っていたにちがいない。

しかし、そうした気持ちをストレートに表わさなかったのは、そのことによって起こるかもしれないさまざまなリアクションを警戒するというわけで、さきにも述べた女性特有の警戒心が働いていたからであった分けです。

また、よく女性が男に向かって口にする 「あなたってダメね」という言葉も、同様の心理作用によるものとみてよいと思います。

世間にはこれといった能力もなく、ぐうたらで無気力な毎日を送っているような男が、美人でしっかり者の女性と一緒になる例がよくあるのですが、これは一見不可解なことにみえて、そのじつ、うらに微妙な女心が潜んでいることが多いのです。

本当に駄目で無価値な男ならば、女性は無視して去っていくのが当然なのに、かえってそばにいて何くれとなく面倒を見るのは、「あなたには私が必要なのよ」という、母性本能にもとづく愛情表現のひとつなのだろうと察します。

つまり、この場合の女性の心理は、腕白な息子をもった母親が、口ではきびしく叱りながら、陰で目を細めて見ているあの心理とまったく変わらないということができる分けです。

■ 女は、自分が関心を持っている男を攻撃する

内心では好きな相手を公然と批判し、ときには悪口まがいの攻撃をする女性の態度は、男から見れば不可解の一語に尽きます。

だが、よく考えてみると、これはその女性の男への関心の高さを表わしているという見方も成り立つわけです。

にもかかわらず、多くの男性は、見当ちがいの対応をして失敗をくり返すのです。私が大学時代の友人から聞いた話も、そんな失敗談の一つであったと思います。

彼がまだ学生だったころ、同級の女子学生の一人に、何かにつけて彼を批判する女性がいて、しかもその批判の内容たるや彼の思想信条から日常の態度振舞いにいたるまで、ほとんど全人格に及んでいたのです。

このため周囲の友人たちは、彼女が彼に対して何か遺恨をいだいているのではないかと疑ったぐらいなのですが、そんな事実はなく、ただ無闇にからんでくるという風であったのです。

最初のうち彼は平然と受け流していたのですが、ついにたまりかねて、あるとき喫茶店に彼女を呼びだし問いつめようとしたところ、普段の彼女とは打って変わってしおらしく、ときにはむしろ媚びるような態度が見られたというのです。

つまり、彼女は入学当時から彼をひそかに好いていて、できれば恋人になりたかったのですが、その機会がなかったために、注意を自分に引きつけようとして批判攻撃していたのです。

一方、若かった彼にはそんな女性の心理がわからず、ひとしきり難詰したあげく、そのまま別れてしまったということです。

「いま思えばなかなかの美人で、惜しいことをしました」と彼は言うが、こうなってはもう後の祭りであろうと思います。

ところで、このような心理作用は、なにも女性に限ったことではないようです。通常、人間は自分にとってあまり興味のない相手に、むやみに批判攻撃は加えないものです。

これは人間関係に余計な波風を立てまいとする保身本能によるのですが、同時に、無駄なエネルギーを使いたくないという気持ちが、無意識のうちにはたらくからなのです。

実際、他人を批判することは、たとえばほめたり調子を合わせるといった行為にくらべて、格段のエネルギーを必要とするものです。

ただし、この点に関しては、男性より女性のほうがはるかにシビアで徹底しているようです。 女性は、自分にとって関心のない相手を、石ころのように無視することが容易にできるのだと思います。

われわれの周囲を見ても、つまらないことに腹を立てて、すぐに口論やつかみ合いを始めるのは例外なく男のほうであり、女性は自ら好んでそうした無意味なエネルギーを使うことはほとんどないようです。

にもかかわらず、女性があえて男を批判するという場合は、他ならぬその男に大きな関心を抱いているからなのです。

つまり、彼女は、他の大勢の男の中からわざわざ「彼」を選びだして、そこにエネルギーを集中していると考えられるからです。

無論、なかには本気で攻撃している場合もあるだろうが、その批判が男の本質的な価値にふれるものでないかぎり、それは女の関心、すなわち好意のあらわれと考えてまちがいないと思います。

いわゆる「批判」とはすこしニュアンスが違うのですが、女性が「わからない人」という場合も、相手の男に関心を寄せている場合が多いようです。

たとえば、女性同士が集まった席で、「彼ってよくわからない人ね」とか、「どうしてあんな行動をとるのか理解に苦しむわ」などと、さり気なく口にする女性がいるものです。

これは一見批判がましく聞こえるものの、そのじつ、彼女が興味しんしんで相手を見ている証拠なのです。

「わからない」と口にするのは、むしろ「わかりたい」という願望のあらわれであり、同時に、彼女が相手に対して少なからず魅力を感じていることの証しなのではないかと思えるからです。

■ 「くどい」「しつこい」と言う女性は、男のもう一歩の押しを望んでいる

ここまでは、女性の逆説的表現のなかでも、比較的裏表のはっきりした例をあげてきました。いってみれば黒を白といいくるめるのと同じであって、それがわかれば、女性心理の深層を読むことはさほど困難ではないであろうと思います。

ところが、女性がよく口にする”男批判”のなかには、より屈折した複雑な心理を表わしているものがあるようです。

その一例が、男に向かって「あなたってくどいわね」とか「しつこい人ね」などと言う場合です。 この「くどい」「しつこい」という言葉は、本来は肯定でも否定でもなく単なる形容詞にすぎないのですが、通常、男が女からこう言われた場合、「イヤ」 「やめて」という拒否の意味に解釈するわけです。

そこで、よほど無神経な男は別として、たいていはひるんで、伸ばしかけた手をひっこめてしまうのがつねであろうと思います。

ところが、女性は口では「くどい」「しつこい」と言いながら、じつは、もう一歩のくどさ、しつこさを意識下で望んでいることがあるのです。

こうした女性の心理は、冒頭で述べた「逃げながら追いかける」心理とまったく同じものということができるのです。

まえのコラムでもお話ししたように、女性の「NO」はかならずしも拒絶を意味するとはかぎらないわけです。

男はいやなことに対してはストレートに「NO」と表現するのです が、女性の場合、はたして「NO」なのか「YES」なのかさっぱりわからないということがしばしばあります。

さらに始末がわるいのは、この例のように「NO」がじつは「YES」だったという場合で、こうした複雑な女心を判断する方法としては、いわゆる「押しの一手」しかないのです。

また、本音がわかりにくいという意味では、女性のグチなどもその一つであろうかと思います。 たとえば、「彼ってすごく浮気っぽくて困るの」とか、「うちの主人はお金づかいが荒くて」といったグチをしきりにこぼす女性がおります。

このような女性には二つのタイプがあって、一つは男がそれほど浮気者でもないのに、被害妄想で焼きもちを焼いているにすぎないという場合です。

あるいは、どんなにすごい浪費家かと思えば、たまにパチンコで数千円スルだけのケチな浪費であったりする分けです。

ところが、もう一つのタイプは、口では「困った」と言いながら、じつはそれを自慢したがっている女性です。つまり、「浮気っぽい」「金づかいが荒い」とこぼすのは、言外に自分の男が外でいかにモテ、経済力があるかを相手に訴えたがっているのです。

その証拠に、こんな女性にかぎって、「困った」と言いながら、その舌の根も乾かないうちに夫や恋人ののろけ話を始めたりするのです。

このように、女性が男のことを語るときには、その心の深層に、言葉と裏腹の願望が潜んでいることが多いわけです。

ギリシャの哲学者エウリピデスは、「女の言うことは、たとえ真実を語っていても、けっして信じるな」と言ったが、世の男性は女性の言葉を一度は裏返して考えてみる必要があるといえように思います。

■ 男批判から女の本性を見抜く実例集をピックアップしてみました

※自分の男についてこぼす女性は、そのじつ、自分の男を自慢したがっている。

※女性が男のだらしなさを責めるときは、好意を持ち始めた証拠。

※男のずぼらさ、だらしなさを口にする女性は、その男に対して母性本能をかきたてられていることがある。

※女性の発する”あなたってダメね”は、一種の愛情表現である。

※女性が男のことを 「わからない」と言うのは、相手に魅力を感じていることの表われ。

※ 「くどい」 「しつこい」と言う女性は、もう一歩のくどき、しつこさを意識下で望んでいることがある。

※男まさりの女性は、女性的な男性か、超男性的な男性を求める。

それでは次回からのコラムは、女が関心をもつものから欲望度を測る。といった内容を項目別にお話したいと思います。最初は、女の”憧れ”に象徴される意外な欲望とは。と題してのお話をしたいと思います。

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